OS-T:1385 熱接触を用いたピストンリングの熱伝導解析

ピストンリングは、エンジンのピストンの外表面に取り付けられており、ピストンからの熱をシリンダー壁に伝えます。

本チュートリアルでは、ピストンリングのセット(Figure 1)の熱伝導解析について説明します。

内側のリングはピストンからの熱流束(10.0W/m2)を受けます。シリンダー壁に接触するリングの外表面は0℃に保たれており、2つのリング間の熱接触定義を用いて熱伝導がモデル化されています。

熱境界条件、熱流束荷重と定常熱伝導サブケースは、初期ベースモデルに既に定義されています。このチュートリアルでは、リング間の熱接触を定義することに焦点を当てています。

rd2140_model
図 1. ピストンリングの構成
本チュートリアルには以下の演習が含まれています。
  • リング間の接触サーフェスの定義
  • 接触面における熱接触の定義
  • OptiStructソルバーによる熱伝導解析の実行
  • HyperViewでの結果のポスト処理

HyperMeshの起動とOptiStructユーザープロファイルの設定

  1. HyperMeshを起動します。
    User Profilesダイアログが現れます。
  2. OptiStructを選択し、OKをクリックします。
    これで、ユーザープロファイルが読み込まれます。ユーザープロファイルには、適切なテンプレート、マクロメニュー、インポートリーダーが含まれており、OptiStructモデルの生成に関連したもののみにHyperMeshの機能を絞っています。

モデルの読み込み

  1. File > Import > Solver Deckをクリックします。
    Importタブがタブメニューに追加されます。
  2. File typeにOptiStructを選択します。
  3. Filesアイコンfiles_panelを選択します。
    Select OptiStruct Fileブラウザが開きます。
  4. 自身の作業ディレクトリに保存したRings.femファイルを選択します。モデルファイルへのアクセスをご参照ください。
  5. Openをクリックします。
  6. Import、続いてCloseをクリックし、Importタブを閉じます。

モデルのセットアップ

リング間のセットセグメントの作成

本ステップでは、接触サーフェスが作成され、熱接触が定義されます。

  1. Modelブラウザで右クリックしてCreate > Set Segmentを選択します。
  2. NameにRING1 inner surfaceと入力します。
  3. Elements Selectionをクリックしてadd solid facesオプションをクリックし、図 3に示すように、RING1の内表面の面を選択します。


    図 2. ツールバーからのソリッド面の選択


    図 3. RING1の内表面の接触サーフェス
  4. 同様に、RING2の外表面に接触面を定義するために同じプロセスを繰り返します。
  5. NameにRING2 outer surfaceと入力します。


    図 4. RING2の外表面の接触サーフェス

リング間の熱接触の作成

本ステップでは、リング間の熱接触が定義されます。

  1. Modelブラウザで右クリックしてCreate > Groupsを選択します。
  2. NameにThermal contactと入力します。
  3. Property OptionでProperty Typeをクリックし、ドロップダウンメニューからFREEZEを選択します。
  4. SSIDにRING2 outer surfaceを選択します。
  5. MSIDにRING1 inner surfaceを選択します。
  6. CLEARANCE欄に0.0と入力します。
    これにより接触を閉じる指示がされて、接触面を跨いだ熱伝導が確実にできます。
    本チュートリアルの初めに記したとおり、熱伝導境界条件(Temp RING2 outer)と熱流束入力(Heat flux)は、モデルに事前定義されています。境界条件と流束を参照するOptiStruct定常熱伝導荷重ステップも、既に定義されています。熱伝導結果はLoadstepsパネルで要求されます。熱伝導境界、熱流束および出力要求については、チュートリアルOS-T: 1080をご参照ください。
    注: 熱接触がなければ、リングの接触面で熱伝達は起こりません。この場合、外側のリングは温度0のままで、内側のリングがすべての熱を奪うことになります。


    図 5. リング間の接触定義

ジョブのサブミット

  1. AnalysisページからOptiStructパネルをクリックします。

    OS_1000_13_17
    図 6. OptiStructパネルへのアクセス
  2. save asをクリックします。
  3. Save Asダイアログで、OptiStructモデルファイルを書き出す場所を指定し、ファイル名としてRings_completeと入力します。
    OptiStruct入力ファイルには、拡張子 .femが推奨されます。
  4. Saveをクリックします。
    入力ファイル欄には、Save Asダイアログで指定されたファイル名と場所が表示されます。
  5. export optionsのトグルをallにセットします。
  6. run optionsのトグルをanalysisにセットします。
  7. memory optionsのトグルはmemory defaultにセットします。
  8. OptiStructをクリックし、OptiStructジョブを開始します。
ジョブが成功した場合、Rings_complete.femが書き出されたディレクトリに新しい結果ファイルがあるはずです。何らかのエラーがある場合、Rings_complete.outファイルはデバッグを手助けするエラーメッセージを探すのに良い場所です。

結果のポスト処理

定常熱伝導解析の温度と流束結果がOptiStructにより計算されます。結果のポスト処理には、HyperViewが使用されます。
  1. OptiStructパネルから、HyperViewをクリックします。
    HyperViewが起動され、結果が読み込まれます。HyperViewにモデルと結果が正しく読み込まれたことを示すメッセージウィンドウが現われます。
  2. 表示されたら、Closeをクリックし、メッセージウィンドウを閉じます。
  3. ResultsツールバーでresultsContour-16をクリックし、Contour panelを開きます。
  4. 下に示すようにLoad Case and Simulation Selectionウィンドウで、Subcase 1 - heat transferを現在の荷重ケースに選択します。
  5. Result typeの下の1つ目のプルダウンメニューで、Grid Temperatures(s)を選択します。
  6. Applyをクリックします。
    温度コンタープロットが現れるはずです。
  7. Result typeの下の1つ目のプルダウンメニューで、Element Fluxes(V)を選択します。
  8. Applyをクリックします。
    流束と温度の両方の結果が下のように表示されます。

    rd2140_results
    図 7. 節点温度のプロット


    図 8. 要素流束のプロット