マトリックスの直接入力(スーパーエレメント)
マトリックスの直接入力(スーパーエレメント)のセクションでは、次の概要を示します:
有限要素解析(スーパーエレメント)
解析タイプに応じて、これらのマトリックスを使用したシステム方程式が解かれ、構造の挙動がシミュレートされます。これは、直接マトリックス入力またはスーパーエレメントと呼ばれています。
有限要素解析の過程で、構造の剛性、質量、減衰、および荷重のマトリックス表現が生成されます。マトリックスは、入力ファイルのバルクデータセクションで提供される情報に基づいています。わかりやすくするため、この項では、このようなデータを表現するのにスーパーエレメントを使用します。
たとえば、線形静解析では、連立線形方程式の解が求められます。ここでは、の解が求められます。
- 剛性マトリックス
- 荷重ベクトル
- 未知の変位のベクトル

図 1. スーパーエレメントとレジデュアル構造の選択。
スーパーエレメントを使用したモデル解析は、OptiStructで他のモデルを実行する方法とは異なります。そのため、このような解析でよく使用されるいくつかの基本的な用語を最初に理解しておくと有益です。
マトリックスの直接入力(スーパーエレメント)
スーパーエレメントは、構造または構造の一部の挙動とパフォーマンスの縮退表現です。
DMIGは、節点における直接マトリックス入力(Direct Matrix Input at Grid points)の頭字語です。このマトリックスは、1つのヘッダーエントリと1つまたは複数の列エントリで定義されます。DMIGバルクデータエントリを使用して、モデルに含めるマトリックス(剛性マトリックスや質量マトリックスなど)を直接定義できます。DMIGエントリは、モデルへの組み込みのためにK2GG、M2GG、B2GGエントリなどを使用してケースコントロールセクションで選択できます。
レジデュアル構造
スーパーエレメントが作成された後に残るフルモデルの一部がレジデュアル構造(または単にレジデュアル)です。
縮退した荷重、質量、剛性、および減衰マトリックスは、以降の項で示す複数の方法を使用して生成することができます。なお、スーパーエレメントを使用したモデルの解析に関係する基本的なプロセスについては次に示すとおりです:
スーパーエレメント生成実行
フルモデルが慎重に検証され、スーパーエレメントとして縮退可能なセクションまたはパートが特定されます。スーパーエレメントとレジデュアル構造間の境界が結合 / インターフェースポイント(ASET/BNDFIX/BNDFREEなど)を使用して識別されます。モデルの特定のセクションをスーパーエレメントにすることの決定には、さまざまな要因(たとえば、計算速度の向上、縮退マトリックスの稀薄性または密度、スーパーエレメント縮退法のタイプ、解析のタイプ(静的か動的かなど))が関係します。スーパーエレメント生成実行を工学的な洞察や知識を使ってセットアップすれば、モデルを繰り返し実行する能力およびその大幅な速度向上が可能になります。インターフェースポイントを特定したら、残りの構造(レジデュアル)をフルモデルから削除できるようになります。選択されたスーパーエレメント作成方法に応じて、対応するエントリ(CMSMETHやCDSMETHなど)が追加されます。これで、このモデルがOptiStructで実行され、スーパーエレメントを生成します。
- 静的縮退(PARAM、EXTOUT、またはCMSMETH(GUYAN)) は代数的な代入を通して線形マトリックス方程式を構造のインターフェース自由度に縮小します。加えて、荷重ベクトルがインターフェース自由度に縮小されます。これは、点や圧力荷重だけでなく加速度による分布荷重(GRAVとRLOAD)からの荷重ベクトルも含まれます。OptiStructで静的縮小を実行する方法は2種類あります。
- ASETとPARAM,EXTOUTを定義する。
- CMSMETHバルクデータエントリ(METHODフィールドをGUYANに設定)とCMSMETHサブケース情報エントリを使用する。
モデル内で適用された荷重は、CMSMETHバルクデータエントリのLOADSET継続行のUSETYPEフィールドを使用して縮退できます。USETYPEフィールドはREDLOAD/RESVEC/BOTHに設定できます。
静的縮小では、使用できるエントリはASETのみです。注: この方法は剛性マトリックスに関しては正確な方法ですが、質量マトリックスに関しては近似になります。 - 動的縮退では弾性体の有限要素モデルをインターフェース自由度とノーマルモードのセットに縮小します。縮退マトリックスは、静的モードだけでなく、ノーマルモード解析からのモードにも基づいて生成されます。
CMSMETHバルクエントリとケースコントロールエントリが、動的縮退の入力を指定するために使用されます。動的縮退に対してサポートされるMETHODタイプは、CBN(Craig-Bampton節点法)とGM(一般法)です。GM法では、生成されたマトリックスが必ず対角マトリックスになり、インターフェース自由度に物理的に結合されません。そのため、レジデュアルランでMPCが生成され、マトリックスをインターフェース自由度に結合します。CSETを使用したCBNでも対角マトリックスが生成されます。これは、CSETを使用したGMと等価です。
CSETを使用したGMまたはCSETを使用したCBNは、PFMODEエントリを使用したCMSモードの寄与を理解する上で役に立つ可能性があります。
モデル内で適用された荷重は、CMSMETHバルクデータエントリのLOADSET継続行のUSETYPEフィールドを使用して縮退できます。USETYPEフィールドはREDLOAD/RESVEC/BOTHに設定できます。静的荷重のみ縮退可能で、METHOD=GMの場合はサポートされません。注: CBN法とGM法は、質量マトリックスを正確に捉えることから、動的解析に適しています。 - 区分動的解析(CDSMETH)スーパーエレメント生成 は、レジデュアルランが複数回繰り返されるモデルに有効です。スーパーエレメント生成時間は、区分モード合成より長くなる可能性がありますが、レジデュアルランは速くなります。CDSMETHでは、生成実行にMETHOD, FREQi、およびCSET/CSET1/BNDFRE1,BNDFREEが必要です。レジデュアルランでは、直接法による周波数応答解析のみがサポートされます。
スーパーエレメントの保存
- .pchフォーマットでスーパーエレメントを出力するには、PARAM,EXTOUT,DMIGPCHを使用します。
- .dmgフォーマットでスーパーエレメントを出力するには、PARAM,EXTOUT,DMIGBINを使用します。
- .op2フォーマットでスーパーエレメントを出力するには、PARAM,EXTOUT,DMIGOP2を使用します。
- .op4フォーマットでスーパーエレメントを出力するには、PARAM,EXTOUT,DMIGOP4を使用します。
- CMSMETHエントリ(バルクおよびサブケース)が存在し、OUTPUT,H3D,NO が設定されていない場合は、常に、スーパーエレメントが.h3dフォーマットで出力されます。
表 1. スーパーエレメントの説明と使用ガイドライン 縮小タイプ バルクデータ 説明および使用ガイドライン 静的縮退 METHOD=GUYANを使用したCMSMETH 静的解析にのみ使用する必要があります。静的縮退では質量マトリックスが近似されるため、動的解析にはお勧めしません。 PARAM,EXTOUT 動的縮退 METHOD=CBNを使用したCMSMETH 動的解析にお勧めします。この方式では、固定境界と自由境界の両方を使用できます。ただし、動的縮退で固定境界を使用した場合は、最終的に縮退される質量マトリックスと剛性マトリックスに非対角項を含めることができます。 METHOD=GMを使用したCMSMETH 生成されたマトリックスが必ず対角マトリックスになり、インターフェース自由度に物理的に結合されません。そのため、レジデュアルランでMPCが生成され、マトリックスをインターフェース自由度に結合します。モードの寄与を理解するために、PFMODEバルクデータエントリを使用した診断実行をお勧めします。 PARAM,EXTOUT,DMIGOP4は、GM法には適用できません。
区分動的解析 CDSMETH レジデュアルジョブは区分モード合成よりはるかに高速です。これは、レジデュアルラン内のアクティブな自由度の数がモードの数に依存しないためです。この方法は、レジデュアルランが複数回繰り返されるモデルに有効です。 注: レジデュアルランは直接動的解析に対してのみサポートされます。そのため、レジデュアルランでの自由度の数を少なくする必要があります(結合要素のみにすることをお勧めします)。
レジデュアルラン
生成実行で作成されたスーパーエレメントがレジデュアルランで使用されます。実行のタイプに応じて、縮退された質量、剛性、および減衰マトリックスがレジデュアル構造に含められます。結果は、要求されたレジデュアル構造グリッド、要素、その他の属性、およびインターフェースポイントで取得されます。スーパーエレメントの内部の結果を要求するには、生成実行でMODELエントリと対応する入出力エントリの両方を指定する必要があります。詳細については、出力をご参照ください。
スーパーエレメントの包含
図 2.
図 3.
OP4H3DフォーマットのスーパーエレメントはASSIGN,OP4DMIGを介してレジデュアルランに含められます。OP4DMIGを介して含められたOP4スーパーエレメントでは、マトリックスの名前を指定しない場合、OP4ファイル内のすべての縮退マトリックスが使用されます。特定のマトリックスの名前を指定した場合は、そのマトリックスだけが使用されます。
現時点で、.op2スーパーエレメントの包含はサポートされていません。
外部点変換
H3Dスーパーエレメントを使用したレジデュアルランにSEINTPNTエントリを使用して、スーパーエレメントの内部点(自由度)を外部点に変換することができます。この変換後、これらの自由度が解析 / 最適化自由度の一部になり、最適化中の結合点、荷重自由度、および応答自由度として使用できます。
スーパーエレメントの変更
レジデュアルラン内のスーパーエレメントはDMIGMODバルクデータエントリを使用して変更できます。これは、H3Dフォーマットのスーパーエレメントにのみ適用されます。
減衰
減衰は、縮退のタイプと関連するモデルの属性に応じて別々に処理されます。減衰がDMIG生成実行で縮退される場合もあります。以降の項では、縮退タイプに基づく減衰の処理方法について説明します:
静的縮退と動的縮退における減衰
- CVISC、CDAMPiおよびCBUSH(BをPBUSHバルクデータエントリで指定)要素。
構造減衰は、材料エントリ(MATiなど)のGEまたはPBUSH、PELASエントリのGEとして定義されている場合、デフォルトで、縮退することができます。PARAM,Gによるグローバル構造減衰を縮退するために、追加パラメータPARAM,CMSGDMP,YESをPARAM,G経由で指定する必要があります。
減衰のタイプ | 生成実行で縮退されるか | コメント | |
---|---|---|---|
粘性減衰 | CVISC, CDAMPi, CBUSH(PBUSHのBを介して) | ○ | 縮退マトリックス名はBA##になります。ここで、##はデフォルトでAXです(これはDMIGNAMEを使用して変更できます)。 |
SDAMPINGを介したモーダル法による粘性減衰 | No | SDAMPサブケースエントリがレジデュアルランで指定されている場合は、それがモデル全体に適用されます。 SDAMPをレジデュアルランのDMIGで適用する必要がある場合は、DMIGMODのHYBDAMPオプションを使用できます。 |
|
レイリー減衰(PARAM,ALPHA1とPARAM,ALPHA2経由) | No(デフォルト) Yes (PARAM,CMSGDAMP,YESが指定されている場合) |
|
|
構造減衰 | MATiのGE、GEをともなうPBUSH、GEをともなうPELAS | Yes | 縮退マトリックス名はK42##になります。ここで、##はデフォルトでAXです(これはDMIGNAMEを使用して変更できます)。 |
PARAM,G | No(デフォルト) Yes (PARAM,CMSGDAMP,YESが指定されている場合) |
|
区分動的合成における減衰
静的縮退や動的縮退と違って、モデル内の減衰(粘性減衰要素、SDAMP、構造減衰など)は、区分動的合成(CDSMETH)用の縮退マトリックスに含められます。
質量
PARAM, WTMASSは、モデルに読み込まれるスーパーエレメント(.h3dまたは.pch)には適用できません。MAT#エントリで質量の単位が正しくなく、PARAM, WTMASSで構造質量マトリックスの更新が必要な場合、作成実行においてこれを行う必要があります。
出力
スーパーエレメントは、モデルの複雑さの低減、ランタイムの短縮、およびさまざまなチームや会社とのモデル共有での機密保持に使用されるツールの1つです。そのため、デフォルトでは、レジデュアルラン後の出力はレジデュアル構造にしか使用できません。
スーパーエレメントの一部のセクションの出力が必要な場合は、MODELエントリと対応する出力エントリを使用して要求することができます。出力は、MODELエントリと対応する出力エントリで参照されるエンティティのセットの共通部分に対して生成されます。
例
図 4. 生成実行
図 5. レジデュアルラン

図 6. レジデュアル構造(のみ)の変位結果
図 7. 生成実行

図 8. レジデュアルラン

図 9. レジデュアル構造とスーパーエレメント内の要素10722の変位結果。
スーパーエレメントの内部エンティティに関して導出される結果(応力など)は、生成実行中に対応する必要なデータが計算され、保存されるため、計算量が多くなる可能性があります。そのため、その時点での解析に不可欠なスーパーエレメントの内部セクションに関する結果のみを要求することをお勧めします。
理論
次の情報は、すべてのスーパーエレメント生成法に共通しており、縮退マトリックスの生成に関係する初期分割手順について詳しく説明しています。
静的縮小 / 縮退は例外で、この項で示す固有値問題は求解されません。
ここで、サブスクリプトはインナー自由度、<equation-inline><mathml> <m:math> <m:semantics> <m:mi>a</m:mi> <m:annotation encoding="MathType-MTEF">MathType@MTEF@5@5@+= feaagKart1ev2aqatCvAUfeBSjuyZL2yd9gzLbvyNv2CaerbuLwBLn hiov2DGi1BTfMBaeXatLxBI9gBaerbd9wDYLwzYbItLDharqqtubsr 4rNCHbGeaGqiVu0Je9sqqrpepC0xbbL8F4rqqrFfpeea0xe9Lq=Jc9 vqaqpepm0xbba9pwe9Q8fs0=yqaqpepae9pg0FirpepeKkFr0xfr=x fr=xb9adbaqaaeGaciGaaiaabeqaamaabaabaaWcbaGaamyyaaaa@36DE@ </m:annotation> </m:semantics> </m:math> </mathml></equation-inline>はインターフェース自由度(ASETエントリなど)を表します。
ここで、は剛性マトリックス、は力ベクトルで、対応するサブスクリプトがインナー / インターフェース自由度に基づく分割を表しています。
CBN法とGM法では、固有モードを生成するために固有値解析も実行されます。
ここで、はシステムの分割された固有ベクトルです。非結合自由度に関する固有ベクトルのみが、後の組み合わされたモードマトリックスの生成に使用されます(Craig Bampton節点法(CBN)と一般法(GM))。
静的縮退(PARAM、EXTOUT、またはCMSMETH(GUYAN))
を右記について解くと;
縮退した線形静解析問題の解は厳密解を提供しますが、縮退した固有値問題 の解は、拘束条件を満たすベクトルのみが解に含まれるようになるため、完全な固有値問題の解の近似値しか与えません。このことは、変位マトリックが静的変位モード(によって表される)のみから成ることを示すことにより説明されます。静的縮退では固有モード(で表される)が計算されないため、縮退質量マトリックスは近似になります。
縮退モデルのコンプライアンス結果
外部荷重がモデルから縮退された自由度に適用されている場合、全体モデルについてのひずみエネルギーまたはコンプライアンス値は、縮退モデルについてのひずみエネルギーまたはコンプライアンス値と一致しません。
2つの方程式を比較すると、縮退モデルのコンプライアンスから項がなくなっていることが見てとれます。
外部力がモデルから縮退された自由度に適用されていない場合、が0に等しく、縮退モデルについてのひずみエネルギーまたはコンプライアンス値は、全体モデルと一致します。
動的縮退(CMSMETH(CBN/GM))
動的縮退は、静的モードと固有モードの両方で構成されます。
モード形状構築に使用される取り付けまたは境界自由度は、後続の解析内での荷重を受ける自由度のセットを表している必要があります。有限要素の場合、これは、剰余構造またはその他のスーパーエレメントアセンブリのいずれかに結合された節点群のことです。
取り付け自由度に対してサポートされているバルクデータエントリは、ASET/ASET1、BSET/BSET1、CSET/CSET1、BNDFIX/BNDFIX1およびBNDFREE/BNDFRE1です。これらのバルクデータエントリによって、拘束または解放される取り付け自由度が定義されます。
CMSについて取り付けまたは境界自由度を指定する目的は主に、取り付け自由度にかかる拘束条件または適用荷重による静的変形を考慮することにあります。これらの静的モードを考慮しない場合、非常に多くの固有モードが必要になります。ほとんどの拘束されたモデルでは、ボディの慣性力による変形と比べ拘束荷重による弾性変形が支配的になる場合が多く、そのため、取り付け自由度としてすべての荷重を受ける節点を含めることは、後続の解析で正確な結果を得るために必須の手順です。
CMSMETHバルクデータエントリのMETHODフィールドをCBNまたはGMに設定してアクティブにすることができます。
Craig Bampton節点法(CBN)
固定インターフェースシステムのノーマルモード解析からは、固有値の対角マトリックスと固有モードのマトリックスが得られます。ノーマルモード解析では、解くべきモードの数またはカットオフ周波数を選択することができます。これは、 のカラムサイズを決定します。
さらに、静解析を実行して静的モードを生成します。取り付け自由度が制約されている場合、各取り付け自由度内の単位変位で静的解析が実行され、他のすべての取り付け自由度は固定されます。取り付け自由度が制約されていない場合、各取り付け自由度内の単位荷重を適用することにより、慣性リリーフ解析が実行されます。これは、静的変位モード / マトリックスとインターフェース荷重を生み出します。
縮退モーダル剛性と質量のマトリックスは、次の式を用いて生成されます:
一般法(GM)
この方法でも、CBNと同様に、静的モードと固有モードの両方が必要です。ただし、GMには、対角縮退マトリックスを生成するための追加の正規直交化プロセスが含まれています。
ここで、は、恒等行列です。
マトリックスの生成
構造について静的縮退と動的縮退が実行され、後続の解析で使用できるよう縮退マトリックスがファイルに書き込まれます。
ここに示す特定のバルクデータおよび入出力オプションエントリを含めることによって、構造について静的縮退と動的縮退が実行され、後続の解析で使用できるよう縮退マトリックスがファイルに書き込まれます。
PARAM,EXTOUTは、縮退マトリックスを書き込むファイルフォーマット(.pch、.dmg、.op2および.op4のいずれか)を制御します。CMSMETHを使用すると、OUTPUT,H3D,NONEが定義されていない場合、縮退マトリックスが.h3dファイルに出力されます。I/OオプションエントリのDMIGNAMEは、.pchおよび.dmgファイルに書き出されるマトリックスの名称のコントロールをユーザーに与えます。これはオプションのエントリで、使用されない場合は、接尾部AXがマトリックスに与えられます。
静的縮退は2種類の方法で実行できます。1つは、PARAM,EXTOUT(CMSMETHなし)を使用してASET/ASET1を指定する方法です。もう1つは、PARAM,EXTOUTを使用して、または使用せずに、ASET/ASET1 and CMSMETH (METHODフィールド=GUYAN)を指定する方法です。
動的縮退では、剛性、質量、静的荷重、構造減衰と粘性減衰、および流体-構造連成マトリックスがすべて生成できます。
動的縮退は、入出力オプションCMSMETHの存在によってアクティブ化されます。この入出力オプションはCMSMETHバルクデータエントリを参照し、用いられるマトリックス縮退の方法(CBN法またはGM法が動的縮退に適用されます)を定義します。縮退方式としてCBNまたはGMが選択された時、計算される周波数範囲またはモードの数とモードデータを格納する開始SPOINT IDもCMSMETHで定義されます。GUYANでは、この追加情報は無視されます。
.h3dファイルへのモデルのエクスポートは、MODEL出力ステートメントによってコントロールすることができます。これによって、モデルの小さな部分のみ、または“表示モデル”(PLOTELから成る構造の粗い表現)にエクスポートが可能です。
.h3dファイルに書き出される動的縮退スーパーエレメントに対しては、内部節点または要素はデフォルトでは保存されません。しかし、MODELデータを、レジデュアル計算での変位、速度、または加速度結果のための内部節点、応力、ひずみ結果のため内部要素指定に用いることができます。SEINTPNTデータでレジデュアル計算において内部節点を、最適化での結合点や載荷点、応答の点として用いることができるように、外部節点への変換に用いることができます。
有限要素解析におけるマトリックス
.h3dファイルに書き出された縮退マトリックスを使用するには、そのようなマトリックスに名称を割り当てるためにASSIGN I/Oオプションを使う必要があります。
.pchまたは.dmgフォーマットで保存された縮退マトリックスは、INCLUDEバルクエントリを使用してレジデュアルランに含めることができます。.pchや.dmgフォーマットで保管されたマトリックスとは異なり、.h3dファイルに保管されたマトリックスは、作成時ではなく、読み出し時に命名されます。ASSIGN,H3DDMIGコマンドは、そのファイルから読み出されたマトリックスに接尾部“matrixname” を与えます。.h3dファイル内のマトリックスに名称が割り当てられると、下記にリストされたサブケース情報エントリの1つを使って参照されることが可能になります。.h3dファイル内の全てのマトリックスは、解析にデフォルトで用いられます。いくつかのマトリックスのみが用いられる場合は、K2GG、M2GG、K42GGとB2GGデータを用いて使用されるマトリックスを指定します。この場合、参照されていないマトリックスは使用されません。
.pchファイルに書き出された縮退マトリックスは、DMIGバルクデータ入力として保管されます。これらの縮退マトリックスは既に、認識された入力フォーマットであるため、ファイルは単にINCLUDEステートメントによって、バルクデータセクション内に含められる必要があります。
.dmgファイルに書き出された縮退マトリックスは、バイナリフォーマットで保管されます。.pchファイルと同様、これらの縮退マトリックスは単に、INCLUDEステートメントによってバルクデータセクション内に含められる必要があります。
マトリックスは名称によって参照されるため、複数の縮退マトリックスが使用される際には、それぞれが固有の名称を有していることを確実にすることが重要です。マトリックスは、剛性、質量、減衰または荷重マトリックスのいずれかとして、下記のサブケース情報エントリの1つを介して選ぶことができます。
SEINTPNTは、生成での実行においてMODELデータで指定された内部節点を、レジデュアル計算において最適化での結合点や載荷点、応答の点として用いることができるように、外部節点への変換に用いることができます。
K2GGサブケース情報エントリは、名称によりマトリックスを参照し、それが剛性マトリックスであることを示します。剛性マトリックスは対称でなければならず、すべてのサブケースに適用されます。
M2GGサブケース情報エントリは、名称によりマトリックスを参照し、それが質量マトリックスであることを示します。質量マトリックスは対称でなければならず、すべてのサブケースに適用されます。デフォルトでは、レジデュアルランで重力荷重と遠心力荷重が外部質量マトリックス(M2GG)から生成されます(これは、PARAM,CMSALOADで調整できます)。重力荷重および遠心力荷重は、DMIG実行でも縮退荷重(P2G)として生成できます。M2GGを使用した重力 / 遠心力荷重の影響とP2Gからの影響が重ならないように注意する必要があります。
B2GGサブケース情報エントリは、名称によりマトリックスを参照し、それが減衰マトリックスであることを示します。粘性減衰マトリックスは対称でなければならず、項は拘束条件が適用される以前に追加されます。
K42GGサブケース情報エントリは、名称によりマトリックスを参照し、それが構造要素減衰マトリックスであることを示します。構造要素減衰マトリックスは対称でなければならず、項は拘束条件が適用される以前に追加されます。これは、材料カードで指定された材料GEからのみ生成できます。
P2GおよびP2GSUBサブケース情報エントリは、名称によりマトリックスを参照し、それが荷重マトリックスであることを示します。荷重マトリックスは列ベクトルでなければならず、項は拘束条件が適用される以前に追加されます。重力および遠心力荷重は、外部質量マトリックス(M2GG)上では考慮されません。重力および遠心力荷重は縮退荷重の生成に含まれなければなりません。P2GとP2GSUBは、正確な静的結果を得るために、DMIG入力で使用されます。P2Gは最初のSUBCASEの前に指定する必要があります。複数の荷重ベクトルがDMIGにある場合、それらが全て用いられるか、全ての静的サブケースが荷重ベクトルを持つまで継続するサブケースに対して作用されます。P2GSUBは特定のサブケース内で用いられます。DMIGに1つかそれ以上の荷重ベクトルがある場合、 P2GSUBをどの荷重ベクトルがサブケース内で用いられるかを指定するために用いることができます。
A2GGサブケース情報エントリは、名称によりマトリックスを参照し、それが流体-構造連成マトリックスであることを示します。流体-構造連成マトリックスは、1つのインスタンスのみが許されます。
例1:静的縮退

図 10. 設計および非設計コンポーネントと境界節点群を示す例題モデル
最初に、構造全体について線形静解析が実施されます。この解析から変位およびフォンミーゼス応力結果が得られます(図 12)。

図 11. 非設計コンポーネントの縮退
取り付け節点(図 10)におけるすべての自由度が、境界自由度として選択されます。これを表すにはASETまたはASET1バルクデータエントリが使用されます。縮退マトリックス出力は、PARAM,EXTOUT,DMIGPCHバルクデータエントリを含めることで要求されます。モデルはOptiStructにサブミットされ、縮退マトリックスを含むASCIIフォーマットのファイルfilename_AX.pch
が生成されますPARAM,EXTOUT,DMIGBINが使用された場合、縮退マトリックスはバイナリフォームでファイルfilename_AX.dmg
に書き出されます)。
- 非設計コンポーネントの節点および要素についてバルクデータエントリを消去します。
- 非設計コンポーネントのみに適用されるすべての荷重および境界条件を削除します。
- 縮退マトリックスを含むファイルをバルクデータセクションに含めます。
- サブケース情報エントリK2GGを有する縮退剛性マトリックスを選択します(この例では、縮退剛性マトリックスにはデフォルトの名称KAAXがついています)。
- サブケース情報エントリP2Gを有する縮退荷重ベクトルを選択します(この例では、縮退荷重ベクトルにはデフォルトの名称PAXがついています)。

図 12. 構造全体の線形静解析の結果 (a)変位; (b)フォンミーゼス応力

図 13. 縮退マトリックス置換を含んだ線形静解析の結果 (a)変位; (b)フォンミーゼス応力 結果

図 14. トポロジー最適化の密度結果 (a)構造全体; (b)縮退マトリックス置換
例2:静的縮退とCBNの関係
図 15 は、CBNを使用して静的縮退と動的縮退の精度を比較するためのノーマルモード解析を実行する有限要素モデルを示しています。結果は、フルモデルの結果に照らして比較されます。

図 15. ノーマルモード解析モデル
固有モード | フルモデル | 静的縮退 | 動的縮退(CMSMETH、CBN) |
---|---|---|---|
1 | 110.67 | 444.66 | 110.67 |
2 | 167.00 | 765.31 | 167.00 |
3 | 352.39 | 769.06 | 352.39 |
4 | 1272.95 | 2547.13 | 1272.96 |
5 | 1614.57 | 2923.56 | 1632.78 |
区分動的解析(CDSMETH)スーパーエレメント生成
CDSスーパーエレメントは非常に大きなモデルで高い周波数域まで検討するために、多くの数のレジデュアル計算実行が想定される問題に使用します。
例えば、このアプローチは、自動車のモデルで周波数範囲400から800 Hzで様々な入力を検討するような場合に用います。レジデュアル解析の実行の速度をできるだけ上げるためには、非常に小さなものを除いた全てのコンポーネントを、CDSスーパーエレメントに変換します。このアプローチの主な制約は、他のスーパーエレメント生成法に比べて、CDSスーパーエレメントの生成にはより長い時間がかかることです。また、解析は、CDSスーパーエレメント生成時に指定された固定の周波数のセットで実行されなければなりません。CDSスーパーエレメントの主な利点は他の方法で生成されたスーパーエレメントよりもレジデュアルの実行がずっと速いことです。
車体CDSスーパーエレメント生成の例として、以下のホワイトボディの入力をご覧ください。この入力の特別なデータは、ケースコントロールデータのCDSMETH = 1、レジデュアル解析を特定の周波数のみに制限するFREQカード、CDSMETHデータ(CDSMETHカード定義を参照)、コンポーネント上の外点を定義するBNDFREEデータです。
CDS 車体スーパーエレメントの例
MODEL = NONE
TITLE = BODY-IN-WHITE CDS MODEL
$-------------------------------------------------------------------------------
SUBCASE 1
FREQUENCY = 1
METHOD = 2
CDSMETH = 1
BEGIN BULK
$==01==><==02==><==03==><==04==><==05==><==06==><==07==><==08==><==09==><==10==>
FREQ1 1 1.0 0.2 94
FREQ1 1 20.0 0.5 159
FREQ1 1 100.0 1.0 99
FREQ1 1 200.0 2.0 200
EIGRA 2 1000.0
CDSMETH 1
BNDFREE1 123456 1000000 through 1006001
INCLUDE '/MODELS/BODY/BODYNEW.dat'
ENDDATA
CDSスーパーエレメントは、次のファイルに保存されます: XXX_CDS.h3d
インターフェースポイント(外点)はコンポーネントが他のスーパーエレメントに直接つながるか、残りの構造とつながる点です。これらのインターフェースポイントは、自由度が独立している必要があります。RBE3の従属点がある場合RBE3要素に参照される独立節点の一つにRBE3定義のUMデータを用いて、またはPARAM,AUTOMSET,YESの使用により、その従属性を独立に変換する必要があります。RBE3のバルクデータセクションでは、UMパラメータで従属性の再定義の方法について示しています。RBE3はRBE2に変換することも可能ですが、これは結果として局所的に剛性を上げる可能性があります。
スーパーエレメントが生成されるためには、コンポーネントFEAは完全である必要があります。スーパーエレメントに参照される全ての節点はコンポーネントモデルファイル内にある必要があります。これは局所座標系の節点も含みます。コンポーネントに参照されるすべてのプロパティと材料もそのコンポーネントに含まれる必要があります。コンポーネントモデルはそのモデル自身で解析可能なものでなければなりません。
CDSMETHエントリのOSETフィールドは、CDSスーパーエレメントの内部節点から応答を回復するために使用できます。
CDSスーパーエレメントを用いたレジデュアルラン
フルモデルのレジデュアルランは直接法によるアプローチで行われる必要があります。また、レジデュアルランではCDSスーパーエレメント生成時に指定された周波数と同じかサブセットの周波数を用いる必要もあります。
CDSMETHからの縮退マトリックスは、ASSIGN,H3DCDSを介してレジデュアルランで使用されます。CDSMETHについては、K2GG等の非DMIGセレクターエントリは適用可能ですが、H3Dファイル内のマトリックスはすべて、レジデュアルランで使用されます。
$ FOLLOWING CARD RETRIEVES THE H3D FILES FOR THE CDS SUPER ELEMENTS
ASSIGN,H3DCDS,AX,’myfile_CDS.h3d’
$
TITLE = P/T FULL VEHICLE ANALYSIS
SUBTITLE = FVM DIR H3D
SPC = 1
MPC = 406
SUBCASE 1
LABEL = UNIT LOAD INPUT INTO CDS MODEL
DLOAD = 110
FREQUENCY=1
SET 2 = 1006001,9106012
ACCELERATION (PUNCH,SORT2,PHASE) = 2
$
BEGIN BULK
$
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FREQ1 1 1.0 0.2 94
FREQ1 1 20.0 0.5 159
FREQ1 1 100.0 1.0 99
FREQ1 1 200.0 2.0 200
EIGRL 1 800.0
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INCLUDE '/LOADS.dat'
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INCLUDE '/CONNECTIONS_BETWEEN_COMPONENTS.dat'
$
INCLUDE '/NON_CDS_COMPONENTS.dat'
ENDDATA