以下の情報は、すべての弾性体生成の手法に共通するもので、それに関わる初期分割についての詳述しています。
動的縮退(Dynamic Reduction)は、マルチボディダイナミクス解析に弾性体として含めるために、弾性体の有限要素モデルを取り付け自由度およびノーマルモードのセットに縮小する目的で使用されます。
縮退マトリックスの合成の目的で、変位ベクトル
はインナー
およびアウター
のインターフェース / 結合自由度の変位に分割される場合があります。<equation-figure
id="direct_matrix_input_theory_r_equation-figure_nhd_hnc_rz"></equation-figure>
(1)
ここで、サブスクリプトはインナー自由度、はインターフェース自由度(ASETエントリなど)を表します。ここで、サブスクリプトはインナー自由度、はインターフェース自由度(ASETエントリなど)を表します。
モード形状構築のための区分モード合成プロセスで使用される取り付け節点は、後続のマルチボディダイナミクス解析内での荷重を受ける節点のセットに一致しなくてはなりません。マルチボディダイナミクスモデルでは、弾性体は、その節点に結合または適用されるジョイント、拘束条件または荷重要素を介してモデルの他のコンポーネントと作用します。弾性体の重力または加速度による物体力を除き、マルチボディダイナミクス解析内の拘束条件または適用荷重となるすべての節点は、荷重を受ける節点としてとして記されます。
CMSについて取り付け節点を指定する目的は主に、取り付け節点にかかる拘束条件または適用荷重による静的変形を考慮することにあります。これらの静的モードを考慮しない場合、非常に多くの固有モードが必要になります。ボディの慣性力による変形と比べ、拘束荷重による弾性変形はほとんどの拘束されたモデルで顕著になる場合が多く、そのため、取り付け節点としてすべての荷重ベアリング節点を含めることは、後続の弾性マルチボディダイナミクス解析で正確な結果を得るために必須の手順です。
静的つり合いは、次式で与えられます:
(2)
ここで、
- 剛性マトリックス
- 対応するサブスクリプトがインナー / インターフェース自由度に基づく分割を表している力ベクトル
対角質量マトリックス
を用いたボディのノーマルモード解析についての固有値問題は、以下のように表されます:<equation-figure
id="flexible_body_generation_intro_r_equation-figure_qfb_gw2_rz"></equation-figure>
(3)
ここで、はシステムの分割された固有ベクトルです。非結合自由度に関する固有ベクトルのみが、後続のモーダル法による組み合わされたマトリックスの生成に使用されます。
弾性体生成の目的は、下記の縮退構造の変位
を表す直交モード
のセットを求めることです:
(4)
ここで、は、解析により決定されるべきモード座標またはモード寄与度係数のマトリックスです。
Craig-Bampton法およびCraig-Chang法の2つの動的縮退法が用意されています:
Craig-Bampton法
固定インターフェースシステムのノーマルモード解析からは、固有値の対角マトリックスと固有モードのマトリックスが得られます。
ノーマルモード解析では、解くべきモードの数またはカットオフ周波数を選択することができます。これは、 のカラムサイズを決定します。
さらに、静解析を実行して静的モードを生成します。取り付け自由度が制約されている場合、各取り付け自由度内の単位変位で静的解析が実行され、他のすべての取り付け自由度は固定されます。取り付け自由度が制約されていない場合、各取り付け自由度内の単位荷重を適用することにより、慣性リリーフ解析が実行されます。これは、静的変位モード / マトリックスとインターフェース荷重を生み出します。
縮退モーダル剛性と質量のマトリックスは、次の式を用いて生成されます:
変位マトリックスは次のように記述されます:
(5)
これにより以下が生成されます;
(6)
(7)
を直交モードのセットに変換する直交化手順が実施されます。詳細については、固有ベクトルの直交化をご参照ください。
Craig-Chang法
この手法は拘束されていない(フリー-フリー)システムを使用し、したがって、6つの剛体モードを有します。システムのノーマルモード解析からは、固有値の対角マトリックス および固有モードのマトリックス が得られます。
ノーマルモード解析では、解くべきモードの数またはカットオフ周波数を選択することができます。これは、
のカラムサイズを決定します。剛体モードに関連付けされた固有モード
が、次式のとおり質量マトリックスを基準に正規化されます:
(8)
平衡化荷重マトリックス
は次のように計算されます:
(9)
前のセクションで述べたとおり、
は、アタッチメント点における荷重ベクトルです。Craig-Chang法では、アタッチメント点の荷重は、結合点の各自由度に従った単位荷重を除きすべてゼロのエントリを有するアタッチメント荷重ベクトルの集合体です。平衡化荷重マトリックス
は、剛体モードを削除するために、慣性リリーフ静解析に適用されます。平衡化荷重マトリックスは次のように適用されます:
(10)
結果のモードは、慣性リリーフアタッチメントモードと呼ばれます。
縮退モーダル剛性および質量マトリックスは、変位マトリックスを用いて次のように生成されます(静的モードと固有モードを剛性):
(11)
縮退マトリックスは次のように計算されます:
(12)
(13)
を直交モードのセットに変換する直交化手順が実施されます。詳細については、固有ベクトルの直交化をご参照ください。
弾性体への荷重
OptiStructで弾性体に荷重がかけられる場合、モーダル分散荷重として縮小され、MotionSolveへの入力として提供されます。
変換は次のように行われます:
MotionSolveでは、弾性体の任意の変位の状態は次のように近似化されます:
(19)
ここで、は1モーダルの寄与ベクトルごとのです。
はFEモデルで定義される
番目の分散荷重(
は1ベクトル毎の
x 1 ベクトルで、
は荷重が適用される節点の数)、
は対応する変位の状態、
は弾性体の任意の変位の状態であるとします。
による仮想作業は次のとおりです:
(20)
任意の変位の状態の方程式の両辺にある変数を取ると、次のようになります:
(21)
を置き換えると:
(22)
ここで、モーダル分散荷重を次のように定義します:
(23)
各モーダル分散荷重は、x 1ベクトルです。
上記のモーダル分散荷重とFEモデルでのそれぞれの荷重IDを、OptiStructで事前に計算し、新しいモーダル分散荷重ブロックとして.h3dファイルに書き込む必要があります。さらに、対応する変位の状態をCMSプロセスでモード形状に入力する必要があります。
MBD解析結果の回復
MotionSolveの実行後、疲労解析用の.op2および.h3d結果ファイルを生成するために、OptiStructで弾性体の変位、速度、加速度、応力およびひずみ結果をリカバリーすることが可能です。
その手順を以下に示します。
MotionSolveを実行した後、
MotionSolveからのモード寄与度に基づいて、弾性体内の内部節点および要素の変位、速度、加速度、応力およびひずみ結果をリカバリーするために、レジデュアルランを行います。
MotionSolveの実行後、結果の
<filename>.mrfファイルが生成されます。このファイルには、過渡解析について、弾性体の各タイムステップにおけるモード寄与度係数を含んだ
MotionSolve結果が含まれます。レジデュアルランでは、弾性体
<filename>_recov.h3dファイルおよび
.mrf結果ファイルが、
ASSIGNデータを使って指定されます:
ASSIGN,H3DMBD,30101,’pfbody_1_recov.h3d'
ASSIGN,H3DMBD,30102,’pfbody_2_recov.h3d'
ASSIGN,MBDINP,10,’pfbody.mrf'
ASSIGN,MBDINPデータ内の10
は、MotionSolve結果が使用されるSUBCASEに対応します。SUBCASE 10
では、過渡解析を実行する代りに、OptiStructはMotionSolveからの結果を使用します。
ASSIGN,H3DMBDデータ内の30101
および30102
は、.mrfファイル内の弾性体IDを参照します。
過渡応答解析では、過渡応答解析ランでの時間ステップの数と、
MotionSolve解析で用いられた時間ステップの数が一致する必要があります。過渡応答解析データは無視されますが、何らかのダミー荷重データ(
TLOAD、
DAREA、
TABLEDデータ)が必要です。過渡応答解析ランのサンプル入力データを以下に示します:
OUTPUT OP2
OUTPUT H3D
ASSIGN,H3DMBD,30103,MBD_pfbody_BODY_2_PROP_6_recov.h3d
ASSIGN,H3DMBD,30102,MBD_pfbody_BODY_1_PROP_9_recov.h3d
ASSIGN,H3DMBD,30104,MBD_pfbody_BODY_3_PROP_10_recov.h3d
ASSIGN,MBDINP,1,MBD_pfbody_mbd.mrf
SUBCASE 1
TSTEP(TIME) = 4
DLOAD = 3
DISPLACEMENT = ALL
STRESS = ALL
SPC = 1
$
BEGIN BULK
GRID 9999999 $ Dummy GRID since at least one GRID is required
$------+-------+-------+-------+-------+-------+-------+-------+-------
TSTEP 4 300 .0003333 1
TLOAD1 3 3 DISP 2
TABLED1 2 LINEAR LINEAR
+ 0.0 1.0 10.0 1.0ENDT
$
$ Dummy load on the dummy grid
SPC 1 9999999 1
SPCD 3 9999999 1 -200.0
ENDDATA
ダミー節点とダミー荷重がOptiStruct解析ランに追加されました。