板厚マッピング

板厚マッピング機能を使用すると、外部成形結果ファイルからOptiStruct内の対応するモデルに板厚データをマッピングすることができます。

シートメタル成形から得られた部品を、成形からの板厚の変化を考慮した上で、アセンブリモデルでさらに解析する必要がある場合を考えてみましょう。

このようなシナリオの例としては、HyperFormによる自動車用ドアパネルのスタンピング、それに続くOptiStructによる車両全体耐久性解析などがあります。そのようなケースで、OptiStructの板厚マッピング機能を使用することができます。


図 1. 板厚マッピング機能の概要
注:
  • OptiStructモデルファイルでは、初期板厚を定義する必要があり、板厚マッピング機能は、板厚マッピング定義で指定された要素の新しい板厚分布を用いて上書きします。
  • 成形結果ファイルとOptiStructモデルファイルの間で以下の属性が異なる場合でも、板厚マッピング機能は機能します:
    • メッシュ – 要素タイプ、要素ID、節点ID、要素順序
    • マッピングされるコンポーネントの向き(位置変更がある場合)

問題の設定の例

入力ファイルでの板厚マッピングプロセスの例。
.
.
$ USING ASSIGN TO REFERENCE THE FORMING RESULT FILE
ASSIGN, MAP, 100,"forming_result.k"

$ REQUESTING THICKNESS OUTPUT FOR VISUALIZATION
THICKNESS(CORNER)=ALL

BEGIN BULK
$ DEFINITION OF MAP ENTRY
MAP, 1, THICK, 12, 100

$ SET OF ELEMENTS TO WHICH THE MAPPING MUST BE APPLIED
SET, 12, ELEM, LIST    
+, ALL  
.
.
図 2 は、異種メッシュタイプにまたがるマッピングを示しています。


図 2. (a) 板厚データをマッピングする必要がある成形結果ファイル (b) 板厚データがマッピングされるOptiStructモデルファイル

位置変更

位置変更の手法(RELOC)は、成形結果ファイル内のモデルとOptiStruct内のモデルの向きや位置が異なる場合に使用され、その場合、通常のマッピングは機能しません。

入力フォーマット

位置変更はMAPバルクデータエントリで継続行のかたちで指定できます。
(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10)
MAP ID TYPE SID ASID SCALE        
  RELOC RTYPE PA1 PA2 PA3 PB1 PB2 PB3  

位置変更には、以下に説明する2つの方法が用意されています。

MATCHオプション

成形結果とOptiStructモデルの間で方向が異なる場合、通常のマッピング処理が機能しないことがあります。

そのような場合、MATCHオプションでの位置変更は、継続行でRTYPE = MATCHと指定することで使用できます。MATCHオプションで位置変更を行うには、OptiStructモデルではPAi、成形結果ではPBiと呼ばれる3つのマッチング節点IDペアを定義する必要があります(i =1, 2, 3)。

これら3つの節点IDのペアは、マッピング操作を実行するための参照として使用されます。


図 3. 異なる方向にマッピングする場合のRELOC(MATCH)の原理

PA1PA2PA3で定義された節点IDが、それぞれPB1PB2PB3を用いて定義された節点IDと一致しない場合、OptiStructはエラーメッセージを発します。

成形結果ファイルとOptiStructモデルファイルが同じ形状であるにもかかわらず方向が異なる場合を考えてみましょう。


図 4. (A) 成形結果内のモデル、(b) OptiStructモデル
図 5 は、OptiStructモデルおよび成形結果ファイル内の節点IDペアの定義を示しています。


図 5. MATCHによる位置変更の場合の節点IDペアの定義
図 6 は、成形結果ファイル内の板厚分布を示しています。


図 6. 成形結果ファイル内の板厚分布

MATCHによる位置変更の効果は、図 7(a)の板厚が正しくマッピングされているところに見ることができます。

図 7(b)は、成形結果ファイルとOptiStructモデルの向きが異なる場合に、正規のマッピング(位置変更なし)が上手くいかないことを示すために、正しくマッピングされていない板厚を示しています。


図 7. MATCHオプションでの位置変更の効果. (a) 位置変更を伴う正しいマッピング、(b) 位置変更を伴わない不正確なマッピング

MIRRORオプション

前述のMATCHによる位置変更方法では、成形結果ファイルとOptiStructモデルファイルが鏡像であり、マッピングを行う必要がある場合は上手くいきません。

そのような場合、継続行でRTYPE = MIRRORと指定することで、MIRRORオプションでの位置変更が使用できます。

MIRRORオプションで位置変更を行うには、OptiStructモデルではPAi、成形結果ではPBiと呼ばれる3つの節点IDペアを定義する必要があります(i =1, 2, 3)。

節点IDのペアは、PA1PA2PA3で定義された点がそれぞれPB1PB2PB3の鏡像となるように定義されなければなりません。板厚は、成形結果ファイルからPB1PB2PB3で定義された平面について鏡面コピーされます。

成形結果ファイルとOptiStructモデルファイルの形状が同じではあるがお互いに鏡像(XZ面についての)になっている場合を考えてみましょう。


図 8. (A) 成形結果内のモデル、(b) OptiStructモデル
図 9 は、OptiStructモデルおよび成形結果ファイル内の節点IDペアの定義を示しています。


図 9. MIRRORによる位置変更の原理. 鏡面は、節点PB1PB2PB3に基づき自動的に定義されます。
図 10 は、成形結果ファイル内の板厚分布を示しています。


図 10. 成形結果ファイル内の板厚分布

MIRRORによる位置変更の効果はで、図 11(a)の板厚が正しくマッピングされているところに見ることができます。

図 11(b)は、成形結果ファイルとOptiStructモデルファイルが互いに鏡像である場合に、MATCHによる位置変更が上手くいかないことを説明するために、誤ってマッピングされた板厚を示しています。


図 11. MIRRORオプションでの位置変更の効果. (a) MIRRORによる正しいマッピング; (b) MIRRORが使用できない際の不正確なマッピング