基礎的なランダム振動が発生していなくても、十分な数のサイントーンが同時に発生していれば、その振動をランダム振動と見なすことができます。
損傷計算
マルチサイントーンの振動に起因する損傷を計算する手順は、通常のランダム振動による疲労の場合に類似しています(ランダム応答疲労解析をご参照ください)。スペクトルモーメントに応力PSDが及ぼす効果がないことに起因する差異を考慮すると、スペクトルモーメントに対する効果は複数の同時サイントーンによるもののみとなります。
これらのモーメントは次のように計算できます。
(1)
ここで、
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- モーメントの次数。
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- FATLOADのHARMO継続行で設定したサイントーンの周波数値。
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- サイントーンを構成する周波数の数。
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- FATLOADのHARMO継続行で設定したi番目の振動のサイントーンに起因する応力振幅。
以降のサイクル数計算はランダム疲労の場合に類似しています。ランダム応答疲労解析をご参照ください。
入力
周波数応答解析は、マルチサイントーンに起因する振動疲労の基礎的なサブケースです。特定のFATEVNTエントリでは、周波数応答解析を参照するFATLOADエントリを指定する必要があります。
周波数応答解析を参照するFATLOADデータでは、対象とする各周波数(Hz)とその振幅因子もHARMO継続行に記述する必要があります。
周波数応答解析サブケースの例としてSUBCASE 20を考えます。次の設定は、マルチサイントーンに起因する疲労をアクティブ化する様子を示しています。
FATLOAD,200,,20
+,HARMO,1.0,0.1,15.0,1.0,20.0,1.1
FATEVNT,1000,200
この設定では、3つのサイントーン周波数値として1.0、15.0、20.0を使用し、これらに対応する振幅因子をそれぞれ0.1、1.0、1.1としています。
出力
損傷と寿命から見た一般的な疲労を出力できます。損傷の出力は、FATSEQバルクデータエントリで設定した、振動に対する曝露時間Tで乗算されたうえで報告されます。