はんだ疲労解析
はんだ疲労を使用して、任意の部品とプリント回路基板(PCB)とのはんだ接続部の疲労損傷を解析して予測できます。
- 局所的な熱膨張係数の不一致に起因する損傷。
- 鉛フリーはんだ接続部
- ボールグリッドアレイ(BGA)はんだ接続部

図 1. はんだ接続部
局所的な熱膨張係数の不一致に起因する疲労損傷を評価します。MAT1バルクデータエントリ上の熱膨張係数フィールド(A)の値を必ず指定する必要があります。
- せん断力。
- 断面積。
- MATFATエントリのフィールドで設定した損傷のクリープエネルギー密度。
デフォルト値は0.0019です。の値をユーザー側で設定する場合、MATFATで設定した応力単位による値とする必要があります。のデフォルト値はMPa単位に基づいています。ユーザーがMATFATで設定した応力単位がMPaでない場合は、OptiStructによって変換係数がデフォルト値に適用されて正しい値が取得されます。
正しいデフォルトのは、デフォルトのに、MATFATの応力単位をMPaに変換する係数を乗算した値です。
入力
疲労解析でサポートされているはんだ接続部入力タイプ。
鉛フリーはんだ接続部
鉛フリーはんだ接続部をアクティブにするには、FATSDRエントリでSDRTYPフィールドをXLEADに設定します。この接続部は、ソリッド要素を使用してモデル化されます。同様に、部品、パッケージ、PCBはソリッド要素を使用して理想化されます。
部品またはパッケージを指定する要素セットIDを、FATSDRエントリのSIDPKGフィールドで設定する必要があります。
PCBを指定する要素セットIDを、FATSDRエントリのSIDPCBフィールドで設定する必要があります。
FATSDRエントリのSOLDER継続行で指定できるSDRiは2つのみです。
パッケージまたは部品当たり2つのはんだ接続部のみを設定できます。1つのFATDEFエントリに複数のFATSDRエントリを設定できます。
FATEVNTエントリには、FATLOAD参照を1つのみ設定できます。
荷重は、熱膨張係数を設定した静的荷重とする必要があります。
パッケージとPCBで入力温度を同じにする必要があります。
FATSDRのDIM継続行を設定していない場合、OptiStructによって、有限要素メッシュに基づいてこの継続行の値の測定が試されます。
ボールグリッドアレイ(BGA)はんだ接続部
BGAはんだ接続部をアクティブにするには、FATSDRエントリでSDRTYPフィールドをBGAに設定します。この接続部は、ソリッド要素を使用してモデル化されます。
部品またはパッケージを指定する要素セットIDを、FATSDRエントリのSIDPKGフィールドで設定する必要があります。
PCBを指定する要素セットIDを、FATSDRエントリのSIDPCBフィールドで設定する必要があります。
FATSDRエントリのSOLDER継続行では、SDRiを1つのみ設定できます。
パッケージまたは部品当たり複数のはんだ接続部を設定できます。
FATEVNTエントリには、FATLOAD参照を1つのみ設定できます。
荷重は、熱膨張係数を設定した静的荷重とする必要があります。
パッケージとPCBで入力温度を同じにする必要があります。
FATSDRのDIM継続行を設定していない場合、OptiStructによって、有限要素メッシュに基づいてこの継続行の値の測定が試されます。BGA接続部の場合は、設定したはんだSETが1つである場合を除いて、FATSDRでPKGLENを設定しないことをお勧めします。PKGLENを、はんだとパッケージの重心間距離と想定します。
この手法を使用するには、FATPARMで、SOLDERフラグに続くMETHODフィールドでDIFFCTEを選択する必要があります。
出力
疲労解析でサポートされているはんだ接続部出力タイプ。
損傷と寿命から見た一般的な疲労を出力できます。
はんだ接続部のクリープ変形に起因する損傷
この手法では、はんだ接続部の変形に起因して、はんだ接続部が損傷すると想定しています。このはんだ接続部の損傷は、クリープひずみまたはクリープひずみエネルギー密度を使用して計算できます。
クリープひずみを使用した損傷計算
- 安定した1回のサイクルで蓄積されるひずみ。
- クリープ延性の逆数。
- 指数。
の値は-1で、OptiStructによってデフォルト値として設定されています。
この手法を使用するには、FATPARMで、SOLDERフラグに続くMETHODフィールドでSYEDEPSを選択します。
クリープエネルギー密度を使用した損傷計算
- 次の式を使用して、はんだ接続部の寿命を計算します。
(5) ここで、- 安定した1回のサイクルで蓄積されるクリープエネルギー密度。
- 損傷が発生するクリープエネルギー密度。
- 指数。
の値は-1で、OptiStructによってデフォルト値として設定されています。クリープエネルギー密度は、要素のクリープエネルギーをその要素の体積で除算することで求められます。
クリープエネルギー密度の単位は応力の単位と同じであることに注意が必要です。したがって、クリープエネルギー密度の単位は、FATPARMで応力の単位として設定します。の値をユーザー側で設定する場合、MATFATで設定されている応力単位による値にする必要があります。
のデフォルト値はMPa単位に基づいています。ユーザーがMATFATで設定した応力単位がMPaでない場合は、OptiStructによって変換係数がデフォルト値に適用されて正しい値が取得されます。
正しいデフォルトのは、デフォルトのに、MATFATの応力単位をMPaに変換する係数を乗算した値です。
この手法を使用するには、FATPARMで、SOLDERフラグに続くMETHODフィールドでSYEDWを選択する必要があります。
- Darveaux2は、亀裂成長の概念に基づいてはんだ接続部の寿命を計算しています。
- 亀裂発生:
(6) - 亀裂成長:
(7) - 寿命:
(8)
ここで、- FATSDRで設定した、境界での接続部直径。
- K1、K2、K3、K4
- 定数。
- 平均クリープエネルギー密度。
上記の4つの定数は、FEAモデルで選択した要素サイズに依存しています。これらの定数が要素サイズに依存する度合を最小限にするために、体積平均化法(Volume Averaging Technique)の使用をお勧めします。この手法については以降のセクションで説明しています。体積平均化法を適用すると、K2とK4は要素サイズに依存しない量になります。通常のK2の範囲は-1.4~-1.6、同様にK4の範囲は0.98~1.25です。K1とK4は引き続き、メッシュサイズとクリープ材料構成則に依存します。これら4つの定数は材料定数ではないので、MATFATではなくPFATSDRで設定します。最終的な亀裂サイズは、境界での接続部直径と同じです。
平均クリープエネルギー密度の単位は、応力の単位と同じです。K1とK3の寸法の単位は、FATPARMで設定した長さと応力の単位と矛盾していないことが必要です。K1の寸法は、サイクル数/応力K2です。K3の寸法は、(サイクル当たり長さ)×(1/応力K4)です。例えば、FATPARMで設定した長さ単位と応力単位がそれぞれmmとMPaであれば、K1とK3の単位を、それぞれサイクル数/MPaK2および(サイクル当たりのmm)×(1/MPaK4)とする必要があります。
この手法を使用するには、FATPARMで、SOLDERフラグに続くMETHODフィールドでDARVを選択します。境界での接続部直径を、FATSDRで設定する必要があります。K1からK4の各定数をPFATSDRで設定する必要があります。
- 亀裂発生:
体積平均化法

図 2. はんだ接続部
- 境界要素のサイクル当たり平均ひずみエネルギー密度。
- 境界層の各要素が占める体積。
- 境界層の各要素に1サイクルで蓄積されるひずみエネルギー密度。
ここで、は、境界層の各要素に1サイクルで蓄積されるひずみです。
平均クリープひずみエネルギー密度(SYEDWによる手法とDARVによる手法)と平均ひずみ(SYEDEPSによる手法)を寿命の計算で使用します。
境界要素の寿命と損傷の報告
- クリープひずみまたはクリープエネルギー密度が最大である要素については、その平均量を使用して計算した寿命と損傷が報告されます。したがって、この場合の損傷は最大損傷と最短寿命です。
- クリープひずみまたはクリープエネルギー密度が最小である要素については、最小のクリープひずみまたはクリープエネルギー密度を使用して計算した寿命と損傷が報告されます。
- 境界層にある他の要素については、上記の2つの要素のクリープひずみまたはクリープエネルギー密度を対数線形補間して寿命と損傷が推定されます。
- 上記の処理によって、はんだ接続部の正しい最大損傷と最短寿命が得られると同時に、はんだ接続部で最大の損傷が発生している箇所を特定できます。

図 3. はんだ接続部の最大損傷箇所を示す損傷コンター
安定したサイクル

図 4.