単位系

多くの場合、OptiStructの実行は単位に依存しないので、モデルを定義する基準となる単位系を明示的に指定する必要はありません。単位はモデルに間接的に組み込まれます。例えば材料データを使用して、そのデータがモデルの寸法に関連付けられます。

一般的に、OptiStructの1回の実行から終了まで、入力データの指定には整合性のある単位系を使用する必要があります。詳細については、整合性のある単位系をご参照ください。

実行で使用する単位系を明示的に指定することが必要になる場合もあります。このような事例をいくつか以下に示します:
  • マルチボディ区分モード合成(CCまたはCBによる弾性体生成を設定したCMSMETH

    CMS弾性体生成を使用して、MotionSolveなどの別のソルバーで使用する弾性体を出力する場合は、その弾性体に関連付ける単位を指定することが重要です。そのためには、DTI,UNITSバルクデータエントリまたは同等のUNITS入出力エントリを使用します。

  • MotionSolveで使用する弾性体H3Dの生成

    モデル定義の基準とした単位を、DTI,UNITSエントリで指定する必要があります。CMS弾性体(CMSMETHバルクデータエントリのCCオプションとCBオプション)は、必ずキログラム、ニュートン、ミリメートル、秒の各単位で出力されます。弾性H3D出力の単位は常に固定されています。それと異なる単位をモデルの単位としてDTI,UNITSで指定した場合は、弾性h3dファイルの生成時に、DTI,UNITSで指定した単位からKg/N/mm/sに出力単位がOptiStructによって変換されます。

    MotionSolveでは、単位群Kg/N/mm/sを使用して弾性h3dファイルが生成されることが必ず想定されています。
    注: これらの単位は、互いに整合性のある単位ではありません。

    MotionSolveの中でマルチボディモデル向けに異なる単位群を指定した場合は、弾性体h3dの単位が、Kg/N/mm/sからマルチボディ実行向けにユーザーが設定した単位にMotionSolveによって変換されます。

  • 陽解法動解析(Radiossとの統合を通じた解析 – EXPDYN)

    ANALYSIS=EXPDYNサブケースを使用してRadiossと統合することで陽解法動解析を実行する場合は、OptiStructモデルの単位系を明確に指定することが重要です。そのためには、DTI,UNITSバルクデータエントリまたは同等のUNITS入出力エントリを使用します。

  • 疲労解析
    OptiStructでの疲労解析では、それに先立つ解析(線形静解析など)の実行で得られた応力結果を使用して疲労計算をいくつか実行し、対応する疲労寿命と疲労損傷の結果を出力します。以下の疲労モジュールのセクションでは、モデルの単位系を明確に把握することが求められます:
    FATPARMSTRESSU
    先行するFE解析から得られた応力テンソルの単位を特定します。この特定が必要な理由は、解析から得られた応力とは異なる単位系に基づいてSN/EN曲線(FATPARMエントリ)が設定されている可能性があるからです。したがって、特定の応力レベルに対応する疲労寿命をSN曲線上で確認する前に、応力を変換する必要があります。UNITSまたはDTI,UNITSを指定している場合は、UNITSエントリまたはDTI,UNITSエントリによってSTRESSUのデフォルト値が決まります(UNITSDTI,UNITSよりも優先して考慮されます)。UNITSDTI,UNITSSTRESSUのどれも指定していない場合、STRESSUのデフォルト値はMPaです。UNITSまたはDTI,UNITS、およびSTRESSUを指定していても、これらに整合性がない場合はエラーが発行されます。
    MATFATUNIT
    MATFATエントリの降伏強度(YS)フィールド、最大引張強度(UTS)フィールド、SRI1フィールド、疲労限界(FL)フィールド、Sfフィールド、Kpフィールドで設定された応力値の単位を特定します。
    FATPARMLENUNIT
    GRDFKM法の応力勾配効果に適用できます。
    これにより、モデルで使用されている単位を疲労モジュール側で知ることができます。疲労モジュールでは、この単位に基づいて、計算に必要な1mmの深さの位置を特定することにより、GRDFKM法の応力勾配効果を計算できます。
    MATFATLENUNIT
    GRDCD法に適用できます。
    これにより、CRTDISフィールドで設定した臨界距離値の入力で適用された単位を疲労モジュール側で知ることができます。
    デフォルトでは、LENUNITFATPARMの応力単位に基づいています。モデルで応力にMpa単位を使用している場合、そのモデルではmmの単位が使用されます。
  • 空力弾性トリム解析

    デフォルトでは、TRIMバルクデータエントリで重力(g)の単位による加速度が指定されます。この単位は、PARAM, AUNITSエントリを使用して他の単位(m/s2など)に変換できます。

  • 音圧

    デシベル単位で音圧レベル(SPL)を計算する場合は、PARAM, SPLREFDBエントリで基準音圧値を設定します。基準音圧の単位は、UNITS入出力オプションエントリで指定します。

  • 放射伝熱温度

    放射伝熱の温度の単位はケルビンと見なされます。このデフォルトに基づいて、PARAM, SIGMAの値をシュテファン-ボルツマン定数のSI単位値と等しくなるように設定できます。

    入力温度とSIGMAが互いに整合性のある単位で設定されているので、入力温度の単位が摂氏または華氏であればPARAM, TABSを使用できます。

  • SIMPACK弾性体生成

    MotionSolve向けの弾性体生成に関する説明と同様に、PARAM, SIMPACKを通じたSIMPACK弾性体の作成時に、DTI,UNITSエントリを使用して単位を指定できます。

  • 空力弾性フラッター解析

    空力弾性フラッター解析における速度は、PARAM, VREFで指定した値で除算されます。これによって速度の単位を変換できます。