RD-E:4802 クラッシュボックス内のソリッドおよびスプリングスポット溶接
この例題の目的は、スポット溶接結合にソリッド要素モデル化を導入することにあります。
使用されるオプションとキーワード
- 剛体と境界条件
クラッシュボックスの1端は剛体でモデル化され、併進と回転を用いてこの剛体は完全に拘束されます。
- 剛壁
インパクタはX方向の強制速度(5 m/s)を持つ移動剛壁としてモデル化され、他の併進と回転は拘束されます。
- インターフェース
構造の相互作用はTYPE7インターフェースを用いて構造全体での自己接触でモデル化され、そのメインサーフェスは構造全体を用いて定義され、セカンダリ節点グループはメインサーフェスを用いて定義されます。
入力ファイル
必要なモデルファイルのダウンロードについては、モデルファイルへのアクセスを参照してください。
モデル概要
単位: mm、s、Mg、N、 MPa
- 材料特性
- 初期密度
- 7.8e-9 [Mg/mm3]
- ヤング率
- 210000
- ポアソン比
- 0.3
- 降伏応力
- 250
- 硬化パラメータ
- 350
- 硬化指数
- 0.3
この結合材料(/MAT/LAW59)で、応力 - 塑性ひずみ曲線を用いることができ、スポット溶接の材料特性を記述します。破壊モデル(/FAIL/CONNECT)でソリッドスポットの破壊を記述する2つの異なる破壊基準を用いることができます。
- 材料特性
- 初期密度
- 7.8e-9 [Mg/mm3]
- ヤング率
- 210000
- 法線方向の破壊相対変位
- 1.0
- 接平面の破壊相対変位
- 1.8
この例題では、ソリッドスポット溶接の線形挙動だけを仮定しました。より正確な結果は、スポット溶接と非線形挙動を物理的な実験とCAEでの検証を通して与えることで得ることができます。
モデリング手法
- /MAT/LAW59で材料を定義
- /FAIL/CONNECTで破断基準を定義
- /PROP/TYPE43でスポット溶接プロパティを定義、これは/MAT/LAW59でのみ使えます。
- /INTER/TYPE2でスポット溶接とシュートメタルの間の結合を定義
- このスポット溶接モデルではサーフェース1(節点1、2、3、4)とサーフェス2(節点5、6、7、8)が定義されています。法線方向はサーフェース1からサーフェス2方向に定義されています。
- それぞれのソリッドスポット溶接のサーフェス1と2は常にシェル要素に結合しています。ソリッドスポット溶接の1つの面がシェルに結合していない場合、その剛性が正しく計算されず、エラーが起こるかもしれません。
結果
ここで、モデルには法線方向の最大相対変位 EPS_N_MAX=1.0がオプション/FAIL/CONNECTで定義されています。これにより、2つのスポット溶接(赤い円で囲まれている)は、この基準に達した後破壊しています。
パフォーマンス
スプリングビームスポット溶接モデル化と比較して、以下のパフォーマンスを観察することができます:
- 粗いシートメタルメッシュサイズでは、ソリッドスポット溶接モデル化とスプリングビームスポット溶接モデル化で同様の変形と荷重-変位曲線が得られています。
- しかし、シートメタルのシェル要素をリメッシュして細かいメッシュサイズ(例えばここでの2.5mmメッシュサイズ)にすると、ソリッドスポットモデリングでは同様の変形と荷重-変位曲線が得られますが、スプリングビームスポット溶接モデル化ではそうではありません。このことは、この新しいソリッドスポット溶接モデリングはシートメタルメッシュサイズへの依存性がより小さいことを意味しています。
- ソリッドスポット溶接要素は時間ステップフリーです。要素の安定性はその節点結合で保障されます。ソリッド要素の節点は結合されている必要があります(タイドインターフェース、共通節点、剛体結合)。
- ソリッドスポット溶接高さ(局所Z方向の長さ)は0になることもでき、スポット溶接の結果はその高さとは独立しています。
- ソリッドスポット溶接のひずみ速度を考慮することができます。