RD-E:5400 カット手法
カット手法の目的は、フルモデルの変形をより小さいモデルに適用することにより、モデルの一部分を考察することにあります。
使用されるオプションとキーワード
- 断面(/SECT)
- 弾性材料(/MAT/LAW1 (ELAST))
- 弾塑性材料(/MAT/LAW36 (PLAS_TAB))
- 剛壁(/RWALL)
- 自己衝撃接触(/INTER/TYPE7)
- タイド接触(/INTER/TYPE2)
- 剛体(/RBODY)
- アドバンストマススケーリング(/AMS)
- 境界条件(/BCS)
入力ファイル
必要なモデルファイルのダウンロードについては、モデルファイルへのアクセスを参照してください。
モデル概要
単位: mm、ms、Kg、N、 GPa
剛性板背後のクラッシュボックスを重点的に検討するために、フルモデルからサブモデル(図 3に青色で表示した領域)を切り出します。サブモデルとフルモデルで同じ挙動が得られるようにするため、選択した領域の境界における力と変位が必要です。/SECTを使うことで、断面力または変位を保存し読み出すことが可能です。
断面内の節点グループと要素グループは、力の間の一貫性が確保されるよう、フルモデルとサブモデルで同じでなければなりません。HyperMeshを使用して、フルモデルに/SECTを作成し、フルモデルから要素を削除してサブモデルを作成することもできます。
結果
フルモデル | サブモデル | 比率 サブモデル / フルモデル |
|
---|---|---|---|
CPU | 1 | 1 | |
要素数 | 16722 | 9730 | 58.19% |
時間ステップ[ms] | 0.1500E-02 | 0.1500E-02 | 1 |
経過時間 [s] | 498.62 | 272.16 | 54.58% |
このシミュレーションでは、使用した要素と接触の数が少ないので計算時間が短くなっています。
この2つのシミュレーションでは、クラッシュボックスの断面力がほとんど同じです。サブモデルの結果がフルモデルの結果と大幅に異なる場合は、/SECTのを小さくしたために、SCファイルに保存された断面出力の結果が増加していることが考えられます。または、フルモデルから取り込む領域が大きくなるように断面の位置が変更され、サブモデルの変形量が影響を受けている可能性があります。
まとめ
カット手法では、より小さいモデルを実行することにより計算時間を短縮することが可能となります。その主な制限事項は、切り出したモデルで選択したパートと選択していないパートとの相互作用を十分に小さくする必要があることから発生しています。相互作用を小さくするのは、選択していないパートによって、選択したパートの挙動が大きな影響を受けないようにするためです。フルモデルとサブモデルが同等になるように、両モデルの断面力(またはモーメント)を比較することが重要です。
クラッシュダミーによる車のシミュレーションをはじめとする産業分野の用途では、ダミーおよびその直接環境のみをサブモデルとして保持することをお勧めします。車のフルモデルと比較し、CPUコストの約90%が節減されます。低速衝突または高速での衝突の初めでは、変形エリアのみをサブモデルとしてキープすることが推奨されます。車のフルモデルと比較し、CPUコストの約30%が節減されます。