RD-E:0700 振り子

この例題の目的は、初期に相互に接触し、複数の衝撃を受ける複数の物体を通るエネルギー伝播と運動量伝達を検討することです。衝撃における衝突のプロセスとエネルギー挙動が3次元モデルを用いて表現されます。


振り子
図 1.

この例題では、一列に配置された一連の振り子の一端に衝撃を受けた時の振動と波動伝播をシミュレートします。材料は弾性です。モデルの質は最初にどのように接触が取り扱われるかに依存します。このモデルには、ペナルティ法を用いたTYPE24接触インターフェースが使用されます。

使用されるオプションとキーワード

  • 3次元解析、トラス(スレッド)、ソリッド要素とソリッド要素(六面体要素)
  • /INTER/TYPE2
  • /INTER/TYPE14
  • ペナルティ法を使用した一般的な節点対サーフェスの接触インターフェース(/INTER/TYPE24)
  • 弾性、運動量伝達、衝撃波の伝播、複数の衝撃。
  • 重力(/GRAV
  • 並進および回転移動に対する節点グループ上の境界条件(/BCS

入力ファイル

必要なモデルファイルのダウンロードについては、モデルファイルへのアクセスを参照してください。

本例題で使用されるモデルファイルは下記のとおり:

pendulum_*.rad

モデル概要

線上に並べられた4つの振り子が初期に相互に接触し、5番目の振り子により衝撃を受けます。衝撃波と振動の移動が観察されます。

単位: g、ms、mm、MPa

最初は互いに接触して一列に並んだ4つのボールに金属ボールが衝突します(図 2)。運動量が振り子から振り子に、反対側の最後の振り子に到達するまで伝達されます。系には重力が作用されています。


図 2. 初期状態の3次元メッシュ
初期状態では、左の振り子が鉛直方向に対して 45°の角度を成しています。ボールの材料はアルミニウム合金で、衝撃の間、線形弾性則(/MAT/LAW1 (ELAST))に従ったような挙動を示します。
プロパティ
ヤング率
70000 [ MPa ] MathType@MTEF@5@5@+= feaagKart1ev2aqatCvAUfeBSjuyZL2yd9gzLbvyNv2CaerbuLwBLn hiov2DGi1BTfMBaeXatLxBI9gBaerbd9wDYLwzYbItLDharqqtubsr 4rNCHbGeaGqiVu0Je9sqqrpepC0xbbL8F4rqGqFfpeea0xe9vq=Jb9 vqpeea0xd9q8qiYRWxGi6xij=hbba9q8aq0=yq=He9q8qiLsFr0=vr 0=vr0db8meaabaqaciGacaGaaeqabaWaaeaaeaaakeaadaWadaqaai Gac2eacaGGqbGaaiyyaaGaay5waiaaw2faaaaa@3BE6@
ポアソン比
0.33
密度
0.0027 [ g m m 3 ] MathType@MTEF@5@5@+= feaagKart1ev2aaatCvAUfeBSjuyZL2yd9gzLbvyNv2CaerbuLwBLn hiov2DGi1BTfMBaeXatLxBI9gBaerbd9wDYLwzYbItLDharqqtubsr 4rNCHbGeaGqiVu0Je9sqqrpepC0xbbL8F4rqqrFfpeea0xe9Lq=Jc9 vqaqpepm0xbba9pwe9Q8fs0=yqaqpepae9pg0FirpepeKkFr0xfr=x fr=xb9adbaqaaeGaciGaaiaabeqaamaabaabaaGcbaWaamWaaeaada WcaaqaaiaadEgaaeaacaWGTbGaamyBamaaCaaaleqabaGaaG4maaaa aaaakiaawUfacaGLDbaaaaa@3BBC@
幾何学的特性:
トラス
長さ
124.6 mm
ボール
半径
25.4 mm
質量
169.7g

TYPE24接触インターフェースでは、線形接触剛性によるペナルティ法を使用して、ボールどうしの接触をモデル化します。すべてのボールどうしの自己接触定義を使用して、節点と要素表面との接触をモデル化します。ペナルティ法を用いたインターフェースは、メイン / セカンダリ処理に基づいています。

ボールのモデル化にはソリッド要素を使用します。TYPE24インターフェースでは接触ギャップが不要です。

重力が全ての節点に与えられます。Z方向の重力加速度の定義には、時間に対する重力の関数が適用されます。重力は/GRAVオプションでアクティブになります。

トラスの上端では、X、Y、Z各方向の並進およびYとZの各軸を中心とした回転が拘束されています(X軸を中心とした回転は自由です)。

結果

このモデルの運動エネルギーの変化を考慮すると、この系は単純な1つの振り子としての挙動を示します(図 3)。

振り子の質量を解放するt=0の時点では、端にあるボール5のポテンシャルエネルギーは最大で、運動エネルギーは0です。ボール5の速度は、他の4つの振り子に衝突する直前に最大値に達します。極端でない場合、即ちエネルギーロスのない場合:(1) E p o t = E k i n m g h = 1 2 m v 2 MathType@MTEF@5@5@+= feaagKart1ev2aaatCvAUfeBSjuyZL2yd9gzLbvyNv2CaerbuLwBLn hiov2DGi1BTfMBaeXatLxBI9gBaerbd9wDYLwzYbItLDharqqtubsr 4rNCHbGeaGqiVu0Je9sqqrpepC0xbbL8F4rqqrFfpeea0xe9Lq=Jc9 vqaqpepm0xbba9pwe9Q8fs0=yqaqpepae9pg0FirpepeKkFr0xfr=x fr=xb9adbaqaaeGaciGaaiaabeqaamaabaabaaGceaqabeaacaWGfb WaaSbaaSqaaiaadchacaWGVbGaamiDaaqabaGccqGH9aqpcaWGfbWa aSbaaSqaaiaadUgacaWGPbGaamOBaaqabaaakeaacaWGTbGaam4zai aadIgacqGH9aqpdaWcaaqaaiaaigdaaeaacaaIYaaaaiaad2gacaWG 2bWaaWbaaSqabeaacaaIYaaaaaaaaa@46E4@
ここで、
h MathType@MTEF@5@5@+= feaagKart1ev2aaatCvAUfeBSjuyZL2yd9gzLbvyNv2CaerbuLwBLn hiov2DGi1BTfMBaeXatLxBI9gBaerbd9wDYLwzYbItLDharqqtubsr 4rNCHbGeaGqiVu0Je9sqqrpepC0xbbL8F4rqqrFfpeea0xe9Lq=Jc9 vqaqpepm0xbba9pwe9Q8fs0=yqaqpepae9pg0FirpepeKkFr0xfr=x fr=xb9adbaqaaeGaciGaaiaabeqaamaabaabaaGcbaGaamiAaaaa@36E3@
ボール中心の鉛直変位
v MathType@MTEF@5@5@+= feaagKart1ev2aaatCvAUfeBSjuyZL2yd9gzLbvyNv2CaerbuLwBLn hiov2DGi1BTfMBaeXatLxBI9gBaerbd9wDYLwzYbItLDharqqtubsr 4rNCHbGeaGqiVu0Je9sqqrpepC0xbbL8F4rqqrFfpeea0xe9Lq=Jc9 vqaqpepm0xbba9pwe9Q8fs0=yqaqpepae9pg0FirpepeKkFr0xfr=x fr=xb9adbaqaaeGaciGaaiaabeqaamaabaabaaGcbaGaamODaaaa@36F1@
速度
m MathType@MTEF@5@5@+= feaagKart1ev2aaatCvAUfeBSjuyZL2yd9gzLbvyNv2CaerbuLwBLn hiov2DGi1BTfMBaeXatLxBI9gBaerbd9wDYLwzYbItLDharqqtubsr 4rNCHbGeaGqiVu0Je9sqqrpepC0xbbL8F4rqqrFfpeea0xe9Lq=Jc9 vqaqpepm0xbba9pwe9Q8fs0=yqaqpepae9pg0FirpepeKkFr0xfr=x fr=xb9adbaqaaeGaciGaaiaabeqaamaabaabaaGcbaGaamyBaaaa@36E8@
質量
上記の式(式 1)を使用すると、この系の解析上のポテンシャルエネルギーは73.1365mJです。


図 3. 振り子の移動
列の端にある2つの振り子が半周期ずつ交互に振動します。


図 4. ボール5とボール1の間での運動エネルギー伝達
図 4では、接触によるエネルギーの減衰に伴って、振り子を構成するボールの運動エネルギーが減少する様子がわかります。衝撃の間接触でエネルギーが消費されるため、系の運動エネルギー保存は完全には満足されていません。他のボールと接触する直前のボール5の最大運動エネルギーは73.135mJです。これは、解析上のエネルギー73.136mJにきわめて近い値です。612.5ミリ秒後に戻ってきたボール1からボール5に伝達される運動エネルギーは69.187mJです。


図 5. グローバルな内部エネルギーと運動エネルギー
この系のグローバルなエネルギーをプロットした図 5では、ポテンシャルエネルギーが部分的に系の内部エネルギーに変換されていることがわかります。


図 6. ボール5とボール1の速度曲線

まとめ

Radiossを使用して、一列に並んだ振り子のグループの振動と波動伝播を検討しました。このモデルでは、3D要素の粗いメッシュを使用して演算時間を短縮しています。接触は、ペナルティ法を使用した/INTER/TYPE24でモデル化しました。その結果を、この振り子の系を単純な1つの振り子と解釈して得られた解析解と比較しました。シミュレーションにより得られた結果と理論が、Radiossによって得られた数値結果の妥当性を示します。