RD-E:0602 流体流れ

燃料タンクの転倒による流体流れのシミュレーション。リザーバータンクの転倒が水平に作用する重力を用いてモデル化されます。タンクのコンテナは変形しないものと仮定し、タンク内部の水と空気のみがALE定式化を用いて考慮されます。

タンクが転倒する際の流体流れが検討されます。この例題はALE(Arbitrary Lagrangian Eulerian)定式化と流体力学2相材料則(/MAT/LAW37)が水と空気、タンク表面との間の相互作用のシミュレートに用いられます。タンクコンテナは変形しないと仮定され、モデル化されません。

使用されるオプションとキーワード

ALE境界条件(/ALE/BCS)では、拘束条件が以下に対して与えられます:
  • 材料速度
  • グリッド速度

境界内部の全ての節点はグリッドと材料速度がZ方向に固定され、右と左側面の節点は材料速度がXとZ方向に固定され、上と下の面の節点は材料速度がYとZ方向に固定されます。グリッド速度は境界で完全に固定され、材料速度が角で固定されます。

関数がX方向の時間に対する重力加速度回転の効果をシミュレートするために定義されます。重力は/GRAVでアクティブになります。選択される加速度関数により、2つのケースが検討されます:

ex6-fig9and10
図 1. 左:可変加速度関数1: 右: 一定の加速度関数2
重力は全ての節点に考慮されます。
  • 両方のALE材料: 空気と水は/ALE/MATオプションを用いてALEとして宣言される必要があります。Lagrange材料は自動的にLagrangeが宣言されます。
  • グリッド速度を計算するために/ALE/GRID/DONEAオプションでJ. Doneaグリッド定式化がアクティブにされます。このオプションの詳細については、Radioss Theory Manualをご参照ください。

入力ファイル

必要なモデルファイルのダウンロードについては、モデルファイルへのアクセスを参照してください。

本例題で使用されるモデルファイルは下記のとおり:

PFTANK_IMP*.rad

モデル概要

矩形のタンクが部分的に水で満たされ、残りは空気で補充されています。タンクはY軸上で回転します。転倒は、液体と気体の境界面に平行なX方向に重力場を定義することで達成できます。全ての重力が他の方向に作用されます。初期の圧力分布は既知で一様であると仮定されます。タンクの寸法は460 mm x 300 mm x 10 mmです。

rad_ex_fig_6-7
図 2. 問題の詳細

この例題では2つの荷重ケースを扱います: 燃料タンクの90度の瞬間的な回転(重力関数1)と漸進的な回転(重力関数2)です。

ALE 2相空気水の主な材料特性は:
材料特性
空気密度
1.22x10-6 [ g m m 3 ] MathType@MTEF@5@5@+= feaagKart1ev2aaatCvAUfeBSjuyZL2yd9gzLbvyNv2CaerbuLwBLn hiov2DGi1BTfMBaeXatLxBI9gBaerbd9wDYLwzYbItLDharqqtubsr 4rNCHbGeaGqiVu0Je9sqqrpepC0xbbL8F4rqqrFfpeea0xe9Lq=Jc9 vqaqpepm0xbba9pwe9Q8fs0=yqaqpepae9pg0FirpepeKkFr0xfr=x fr=xb9adbaqaaeGaciGaaiaabeqaamaabaabaaGcbaWaamWaaeaada WcaaqaaiaadEgaaeaacaWGTbGaamyBamaaCaaaleqabaGaaG4maaaa aaaakiaawUfacaGLDbaaaaa@3BBC@
水の密度
0.001 [ g m m 3 ] MathType@MTEF@5@5@+= feaagKart1ev2aaatCvAUfeBSjuyZL2yd9gzLbvyNv2CaerbuLwBLn hiov2DGi1BTfMBaeXatLxBI9gBaerbd9wDYLwzYbItLDharqqtubsr 4rNCHbGeaGqiVu0Je9sqqrpepC0xbbL8F4rqqrFfpeea0xe9Lq=Jc9 vqaqpepm0xbba9pwe9Q8fs0=yqaqpepae9pg0FirpepeKkFr0xfr=x fr=xb9adbaqaaeGaciGaaiaabeqaamaabaabaaGcbaWaamWaaeaada WcaaqaaiaadEgaaeaacaWGTbGaamyBamaaCaaaleqabaGaaG4maaaa aaaakiaawUfacaGLDbaaaaa@3BBC@
気体の初期圧力
0.1 [ MPa ] MathType@MTEF@5@5@+= feaagKart1ev2aqatCvAUfeBSjuyZL2yd9gzLbvyNv2CaerbuLwBLn hiov2DGi1BTfMBaeXatLxBI9gBaerbd9wDYLwzYbItLDharqqtubsr 4rNCHbGeaGqiVu0Je9sqqrpepC0xbbL8F4rqGqFfpeea0xe9vq=Jb9 vqpeea0xd9q8qiYRWxGi6xij=hbba9q8aq0=yq=He9q8qiLsFr0=vr 0=vr0db8meaabaqaciGacaGaaeqabaWaaeaaeaaakeaadaWadaqaai Gac2eacaGGqbGaaiyyaaGaay5waiaaw2faaaaa@3BE6@

モデリング手法

2相材料、空気-水が流体力学材料則(/MAT/LAW37)で記述されます。完全な入力データを含むこの材料則の情報については前のセクションを参照してください。

この荷重ケースはタンクのコンテナのメッシュとモデル化を必要とせず、空気と水がALE定式化を用いたソリッド要素で構成されます。

rad_ex_fig_6-8
図 3. 空気と水のメッシュ(ALEソリッド)

ALE定式化を用い、ソリッドメッシュはタンクの変形によってのみ変形し、水がメッシュ内を流れます。Lagrangeシェル節点は材料のポイントに一致し、要素は材料と共に変形します。これはLagrangianメッシュです。ALEメッシュでは、境界上の節点は境界に留まるために固定され、内部節点が移動します。

結果

曲線とアニメーション

表 1. 一定加速度のモデル (重力関数1) - 時間 = 170 ms
密度

ex6_density-170_zoom53

速度

velocity-50_zoom59

表 2. 一定加速度のモデル (重力関数1) - 時間 = 280 ms
密度

ex6_density-280_zoom59

速度

velocity-70_zoom59

表 3. 可変加速度のモデル (重力関数2) - 時間 = 50 ms
密度

ex6_density-50_zoom62

速度

velocity-170_zoom61

表 4. 可変加速度のモデル (重力関数2) - 時間 = 70 ms
密度

ex6_density-70_zoom61

速度

velocity-280_zoom59

まとめ

この例題では、ALEとEulerian定式を使用した流体力学的2層材料をRadiossのLAW37を用いて検討しています。ALE定式化での境界条件の適用と流体-構造相互作用の取り扱いについて議論されます。加えて、得られた結果は物理的問題を正しく表現しています。