RD-E:0100 ねじれた梁

三角形と四角形メッシュで異なる要素定式化(QEPH、QBAT、DKT18)でモデル化されたねじれた梁の曲げテスト。



図 1.

この例題のテーマは、異なるシェル要素(4節点シェルおよび3節点シェル)の品質(メッシュ密度)、感度およびコストに関する比較と検討です。シェル要素は、シェル構造の有限要素計算で高い支持を得ており、自動車の衝突モデルの少なくとも90%はシェル要素でできています。シェル要素には、膜、曲げおよびせん断変形が含まれます。板厚全体を通して、法線応力は常に0です。低次数要素のメッシュは簡単に生成することができます。数値的な例として、左側が固定され、右側はねじりと曲げが連成する荷重を受けるシェル要素でモデル化された梁が使用されます。シミュレーション結果は解析解と互いに比較され、検証されます。

解析における問題は、つり合いへの速い収束を可能にする収束の方法を必要とする静的アプローチでの、梁の端部に適用された集中荷重から構成されます。動的緩和オプションが効率的に準-静的応答を得ることを可能にします。

結果は2つの別の観点から比較されます:
  • シェル要素定式化(BATOZ、QEPHおよびDKT18)
  • メッシュの影響 (三角形または四角形メッシュが3つの異なる要素密度を用いて比較されます: 4x24、2x12と1x3)
複数の結果が取り出されます:
  • 荷重点のX方向変位
  • 荷重点のY方向変位
  • 荷重点のZ方向変位
  • エネルギー誤差
  • CPU時間

比較は理論解の変位とシミュレーションの間でなされます。

結果は、QEPHとBATOZ要素定式化で最も正確な結果が得られ、メッシュが細かくなるほどより正確な結果になることを示しています。このテストをパスするには、要素定式化のよりよい曲率表現が必要で、BTアワグラスタイプ4の定式化はこの条件を満たしていません。QEPHは、準-静的解析に対して有用で、精度とコストの比較において良いバランスをもたらします。DKT18はコストのかかる要素定式化になっています。

使用されるオプションとキーワード

  • /PROP/TYPE1(SHELL)Ishell= 4節点シェル(Q4)と3節点シェル(T3)
  • QEPH、QBATおよびDKT18
  • メッシュ密度、弾性
  • 線形問題
  • 集中荷重(/CLOAD
  • 動的緩和(/DYREL

入力ファイル

必要なモデルファイルのダウンロードについては、モデルファイルへのアクセスを参照してください。

本例題で使用されるモデルファイルは下記のとおり:

TWISBEAM*.rad

モデル概要

この例題の目的は、ねじれと曲げが連成する問題において、メッシュ密度を考慮しながら要素定式化を比較することにあります。

単位 in、s、slinch、lbf、psi

ねじれた梁の一端が固定され、他端に集中荷重を受けます。

用いられた材料は線形弾性則 (/MAT/LAW1)に従い、以下の幾何学的特性を特定の単位系なしで擁します:
材料特性
初期密度
7.34 x 10 4   slinch in 3 MathType@MTEF@5@5@+= feaagKart1ev2aaatCvAUfeBSjuyZL2yd9gzLbvyNv2CaerbuLwBLn hiov2DGi1BTfMBaeXatLxBI9gBaerbd9wDYLwzYbItLDharqqtubsr 4rNCHbGeaGqiVu0Je9sqqrpepC0xbbL8F4rqqrFfpeea0xe9Lq=Jc9 vqaqpepm0xbbG8FasPYRqj0=yi0dXdbba9pGe9xq=JbbG8A8frFve9 Fve9Ff0dmeaabaqaciGacaGaaeqabaWaaeaaeaaakeaacaaI3aGaai OlaiaaiodacaaI0aGaamiEaiaaigdacaaIWaWaaWbaaSqabeaacqGH sislcaaI0aaaaOGaaeiiamaalaaabaGaae4CaiaabYgacaqGPbGaae OBaiaabogacaqGObaabaGaaeyAaiaab6gadaahaaWcbeqaaiaaboda aaaaaaaa@46A6@
ヤング率
2.9x107 psi
ポアソン比
0.22
板厚
0.32 in
長さ
12 in
1.1 in
荷重ケース
Fy = 1.0 lbf
右側で、中央の節点Mに1つの集中荷重が与えられ(メッシュAとメッシュB)、2つの集中荷重がビーム端部の角の点に与えられる必要があります(メッシュC)。

1c-twistedbeam
図 2. 初期メッシュ(4x24)

この単純なテストは、ねじれた(ワープされた)要素によって生じるねじりと曲げが連成するため、特にシェル要素定式化に対して厳しいものです。

以下の点を確認します:
  • 変位は非常に小さい。したがって、線形問題として当たることができます。
  • Fy = 0とFz = 1 lbfを用いたもう1つの荷重ケースも考慮されますが、追加の結論を提起するものではありません。

荷重が素早く与えられるため、静的結果を得るために動的緩和が用いられます。*_0002.radファイルの/DYRELオプションを用いて、動的荷重は対角減衰マトリックスの導入により減衰されます。

緩和係数 = 1、減衰時間 = 0.0025

節点Mの変位は静的応答で安定化されます: t = 0.035。

シミュレーションの反復

梁は、4節点シェルおよび3節点シェルメッシュでモデル化されます。

それぞれのモデルに対して以下がテストされます:
  • 3つのシェル定式化:
    • QEPH定式化(4節点シェル要素、Ishell = 24)
    • QBATOZ定式化(4節点シェル要素、Ishell = 12)
    • DKT18定式化(3節点シェル要素、Ish3n = 30)
  • 各シェル定式化内の3つのメッシュ密度
    • メッシュ A:4 x 24要素
    • メッシュ B:2 x 12要素
    • メッシュ C:1 x 3要素


図 3. メッシュの概要(4節点シェルメッシュと3節点シェルメッシュ)

結果

節点MのX、Y、およびZ方向変位成分が、種々の要素で複数のメッシュ密度が用いられたときのパフォーマンスを理解するために、1からの梁理論結果と比較されます。
理論解
X変位
= 0 in
Y変位
= 0.00175 in
Z変位
= -0.00179 in
図 4 は、点Mの静的解に向けて安定化されるまでの変位の振動を示しています。

rad-ex-fig_1-2
図 4. 点M変位の時刻歴プロット(メッシュ A / QEPH)
  • t = 0.05でのエネルギー誤差:
    QEPH
    0.1%
    BATOZ
    0%
    DKT18
    0%
  • CPU(正規化)
    QEPH
    1
    BATOZ
    1.69
    DKT18
    1.58
  • 比率(シミュレーションの変位/理論による変位):
    rad_ex1_nodal_displace

まとめ

  • QBATとQEPHは理論よりも良い結果を与えます。
  • DKT18は、メッシュが細かい時には良い結果を与えます。
  • QEPHは最良の要素定式化です。非常に良い精度-コストの比が得られます。
  • QBATは、良好な曲率表現です。コストはQEPH定式化を用いた場合と比べて4%高くなっています。
  • DKT18:準-静的解析では、コストはQEPH定式化を用いた場合と比べて60%高くなっています。
1 Batoz & Dhatt, "Structural Modeling Finite Elements", Vol. 3, Hermès, Paris, 1992