材料特性が温度の関数であるシステムにおける温度分布を計算します。
(1)
ここで、
-
- 熱伝導マトリックス
-
- 自由伝達による境界伝達マトリックス
-
- 未知の節点温度
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- 放射交換マトリックス
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- 次で定義した、絶対温度のスケール: PARAM, TABS
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- 温度荷重ベクトル
方程式の系は節点温度
を見つけるために解かれます。
温度荷重ベクトルは次のように表されます:
(2)
ここで、
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- QBDY1で指定される境界での熱流束によるパワー
-
- CONVで指定される伝達による境界伝達ベクトル(CONVGバルク/サブケースの組み合わせで、自由対流の自動定義を有効にすることができます。)
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- QVOLで指定される内部熱生成によるパワーのベクトル
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- RADBCで指定される放射による境界放射ベクトル
式 1の左側のマトリックスは、温度境界条件が指定されない限り特異となります。
方程式のシステム(上記)はニュートン法を使用して解かれます。解のコントロールは、NLPARMバルクデータエントリでパラメータを定義することで与えられます。TEMPERATURE(INITIAL)を使用することにより、初期温度分布の設定が可能です。非線形熱伝導解析による温度結果は後続の構造解析で使用できます。
非線形定常熱伝導解析の設定
次の手順は、非線形定常熱伝導解析を設定するためのガイドラインです:
- サブケース情報セクションのソリューションシーケンスの識別子(ANALYSIS)を使用し、ANALYSIS=NLHEATを用いて非線形定常熱伝導解析を選択します。
- 初期温度分布はTEMPERATUREサブケース情報エントリ(type=INITIAL)を使用して定義できます。初期温度分布の予測が優れていれば、ソルバーの収束が改善されます。
- 温度依存の熱材料特性は、MATT4バルクデータエントリを使って定義することが可能です。
- サブケースに対して非線形解法が必要であることを示すには、NLPARMサブケース情報エントリが必要です。このサブケースエントリは、収束トレランスおよびその他の非線形パラメーターを指定するNLPARMバルクデータエントリを指します。
- 荷重条件および境界条件は、入力デックのバルクデータセクションで定義します。これらをサブケース情報エントリセクション内で参照する必要があり、これにはサブケースでSPCおよびLOADエントリを使用します。各サブケースは、1つの荷重ベクトルを定義します。
放射の入力
- 放射(Radiation)は1つの境界条件と見なされます(伝達(Convection)と同様)。
- 放射交換は、サーフェス要素と黒体空間節点との間で為されます。
- 環境空間節点はSPCバルクデータエントリによって定義され、RADBCバルクデータエントリのNODAMBフィールドを介して認識されます。
- RADBCはサーフェス要素に適用される際にのみ使用されます(CHBDYEバルクデータ)。
- 環境節点は、サーフェス要素と空間との間の放射交換について自身の温度を擁する黒体として扱われます。
- 放射ビュー係数( RADBCバルクデータエントリのFAMB)は、サーフェス要素と環境節点との間の幾何学的関係を定義します。
- 輻射率(EMIS1フィールド)と吸収係数(ABSORPフィールド)は、RADMバルクデータエントリ上で定義されることが可能です。
- RADMエントリは、サーフェス要素(CHBDYEエントリ)によって直接参照されます。
- 放射の計算には、2つのパラメータが必要です:
- PARAM, TABS: 壁温度スケールファクターの絶対値
- PARAM, SIGMA: シュテファンボルツマン定数
例:ANALYSISとNLPARMの使用方法
SUBCASE 5
ANALYSIS=NLHEAT
SPC=10
LOAD=20
NLPARM=30
…
BEGIN BULK
…
NLPARM, 30
…
ENDDATA
注:
- 非線形熱伝導解析に基づく最適化は、現時点ではサポートされていません。
- CNTNLSUBは現時点では、非線形熱伝導解析用としてサポートされていません。
- シェル要素は、熱伝導解析においては膜として扱われます。複合材プロパティ(PCOMP)は、均質化によってNLHEATでサポートされています。シェル要素の板厚を通した温度分布は計算されません。節点温度のみが決定されます(節点ごとに1つの自由度)
- 複合プレートまたはシェル要素の流束は、要素全体の均質化された伝導係数で計算されます。