FVMエアバッグのスタンドアロン実行

FVMエアバッグは、正しい展開挙動およびエアバッグ特性を検証するため、スタンドアロンで実行する必要があります。有限体積マージパラメータおよび時間ステップの制御は、解析時間を短縮し、一方で現実的な結果を与えるよう修正することが可能です。

典型的な有限体積パラメータは、Engineファイルで次のように入力されます(2019.1より、/MONVOL/FVMBAG1/MONVOL/FVMBAG2カードにも追加可能):
/DT/FVMBAG/1
1.5 1.0e-05
/FVMBAG/MODIF
666000001
1  0.010  0.001  1

解析の最後における正しい有限体積の数と時間ステップを提供するために、時間ステップのスケーリング係数と全体マージパラメータの調整が必要です。

有限体積の数、および有限体積時間ステップは、HyperGraphでプロットできます。


図 1.

有限体積の数は、有限要素の初期数の2%から10%にスムーズに減少する必要があります。マージストラテジーでは、衝突シミュレーションで必要となる最小時間ステップよりも大きい時間ステップを提供する必要もあります。

有限体積のマージは、Engine出力ファイルで確認しなければなりません。
    2  0.6688E-03  0.2863E-03 FVBAG  666000001   0.0%   2.739      0.1415E-14   0.000     -0.8103E-19   0.000
 ** MONITORED VOLUME ID: ********TIME STEP:  0.2878E-03 FINITE VOLUME:   21940
 
 ** MONITORED VOLUME ID: ******** - FINITE VOLUME MESH UPDATE **
    NUMBER OF FINITE VOLUMES :    30605
    SUM VOLUME FINITE VOLUMES :   155386.459        (VOLUME AIRBA  155386.459    )
    SUM AREA SURFACE POLYGONS :   227440.887        (AREA AIRBAG   227440.887    )

妥当な数の有限体積が必要であり、有限体積マージ処理によってその数がすぐに1つの有限体積まで減少することにならないようにする必要があります。

/DT/FVMBAGカード内の有限体積時間ステップは、Starter出力での初期有限要素時間ステップの出力よりも小さくする必要があります。/FVMBAG/MODIFにおけるマージパラメータCgmergは、有限体積のマージ過程がスムーズになるよう、あまり高くしないようにする必要があります。

有限体積の合計の体積は、次のように実際のエアバッグ体積と等しくなる必要があります。
** MONITORED VOLUME ID:        1 - FINITE VOLUME MESH UPDATE **
NUMBER OF FINITE VOLUMES :     1565
SUM VOLUME FINITE VOLUMES :   298121.912        (VOLUME AIRBA 298121.912)
SUM AREA SURFACE POLYGONS :   230093.158        (AREA AIRBAG   230093.158)
有限体積がマージされるたびに、Engine出力でこのメッセージが表示されます。
44  0.1320      0.2865E-02 FVBAG          1   1.0%   7.222      0.1104       0.000      0.4265E-01   0.000
** MONVOL ID        1 FINITE VOLUME MESH UPDATE - LOOPING - NUMBER OF FINITE VOLUMES :     1564
** MONVOL ID        1 FINITE VOLUME MESH UPDATE - LOOPING - NUMBER OF FINITE VOLUMES :     1563
** MONITORED VOLUME ID:        1TIME STEP:  0.4293E-02 FINITE VOLUME:     396

エアバッグ内の気体の動きは、気体の温度と速度のアニメーション出力をコンタープロットすることで確認する必要があります。この動きは、インフレータからエアバッグ体積へと明白に展開され、エアバッグトポロジー(内壁、バッフル、ベントホールなど)を考慮しなければなりません。

エアバッグの気体パラメータは、一定圧力のエアバッグの実行と比較する必要があります。重要な相違点を調べ、原因を明らかにする必要があります。


図 2. AIRBAG1およびFVMBAG1シミュレーションのエアバッグ出力の比較


図 3. AIRBAG1およびFVMBAG1シミュレーションの排気パラメータの比較

ベント面積およびベント流出は、ベントごとにプロットし、制御して、一定圧力実行と比較する必要があります。