ラティス構造最適化

コンセプトから最終的な詳細設計に至るまで、ソリッド構造とラティス構造のブレンドを作成する新しいソリューション。

このテクノロジーは、特に、積層造形法(3Dプリント)による設計革新を支援するために開発されています。このソリューションは、2つの最適化フェーズを通して実現されます。フェーズIでは、従来のトポロジー最適化が行われます。ただし、中間密度を持った多孔質材料を増やすため、低減されたペナルティオプションが指定されます。フェーズ2では、フェーズ1での多孔質領域が明示的なラティス構造に変換されます。さらにフェーズIIでは、一般に応力、変位などに詳細な制約条件のあるラティス部材寸法が最適化されています。最終結果として、材料体積が変化するソリッドパートとラティス領域がブレンドされた構造が生成されます。このリリースでは、四面体セルとピラミッド / ダイヤモンドセル(それぞれ四面体メッシュ、六面体メッシュに由来)の2種類のラティスセルレイアウトが提供されています。このリリースでは、ラティスセルの寸法はモデル内のメッシュサイズに直接関係しています。

利用目的

ラティス構造最適化は、当初はトポロジー最適化と似ていましたが、現在では設計領域に中間密度を持った要素を含めることができます。物理的な観点からすると、理論的にはこのような構造は、設計要素の密度に0か1のペナルティが科せられる構造に比べ、効果的となり得ます。


図 1. ラティス最適化(フェーズI)とトポロジー最適化との違い

ラティス構造最適化の主な適用例として考えられるのは積層造形法による製造で、ここでは中間密度の複雑なラティス表現を利用できます。これにより、ブロック構造より効果的な構造を実現できます(ブロック構造の場合、同じ荷重を維持するにはより多くの材料が必要)。

周期的なラティス構造で表現される一般的な多孔質材料は、密度が1の材料に比べ、体積単位あたりの剛性が低くなることに注意する必要があります。四面体およびダイヤモンドのラティスセルの場合、均質なヤング率と密度の関係は近似的に E = ρ 1.8 E 0 と表されます。ここで 、 E 0 はその密度の材料のヤング率です。トポロジー結果におけるラティス / 多孔質領域のレベルの変化は、パラメータPOROSITYで制御されます。POROSITYLOWに定義された場合、1.8という自然ペナルティが適用されます。この場合、一般に、単純な‘最も剛性の高い構造’の定式(特定のターゲットの体積に対してコンプライアンス最小化)が適用されると、最終的にほとんどが密度1の材料の分布(または空白)による設計となります。ただし、剛性以外を考慮するため、設計でラティス領域の比率をもっと高くすることもできます。このような考慮内容としては、座屈挙動、熱性能、動的特性などがあります。また、生物医学インプラントなどへの適用では、コンポーネントの空隙率は重要な機能要件となり得ます。このような要件に対しては、POROSITYに2種類のオプションが用意されています。HIGHの場合、ヤング率と密度の関係にペナルティは適用されません。これにより、一般的にはフェーズIの最終結果でのラティス領域の割合は高くなります。MEDの場合、より低いペナルティ、1.25が適用され、ラティスの存在に関するプリファレンスが中間レベルになります。

設計制約条件は、ラティス最適化プロセスのフェーズ1と2の両方で定義できます。応力(LATSTRによる)など、特定の一部の制約条件は、フェーズIには適用されませんが、フェーズIIに渡されます。一部の設計制約条件はフェーズ1でも適用されますが、重要なのは最適化プロセスのフェーズ2で必要なすべての設計制約条件を考慮することです。最終的な設計が直接‘3Dプリント’されることが想定される場合、フェーズ2での設計制約条件は、そのユースケースを維持するため、徹底的に定義される必要があります。従来の構造の場合、通常ユーザーが実行する第2ステージでは、トポロジーコンセプトが解釈され、すべて設計制約条件を含む寸法最適化により微調整されます。ラティス最適化プロセスのフェーズIIは、設計の微調整ステージとみなされます。これは、数十万ものセル部材を持つラティス構造をさらに手動で操作することはほとんど不可能であるためです。
注: フェーズIIで、Euler座屈制約条件は自動的にラティス構造モデルに適用されます。理論的に、ラティスビームのEuler座屈計算での柱の有効長さ係数は境界条件によって変わり、特定のビームに影響を及ぼします。柱の有効長さ係数に影響を与える主な境界条件は、その終端でのビームの結合方法です。一般的に、この係数は理想的なヒンジ結合(1.0)から剛的な固定(0.5)までの間で変化します。OptiStructでは、柱の有効長さ係数は、この2つの間の値に内部的に設定されます。この値はすべてのビームに対して同じ値に設定されます。したがって、結果として生じる構造は、理想的なヒンジ結合モデルほど保守的ではなくなります。座屈パフォーマンスがモデルにとって重要となる場合、最終的な構造のパフォーマンスが期待どおりであることを確認する必要があります。また、座屈安全係数(LATPRM,BUCKSF)を使用すると、座屈の荷重計算における安全係数を調整できます。内部的に作成されたパラメータLATPRM,LATTICE, YESNOに再設定すると、Euler座屈制約条件は非アクティブになります(非推奨)。
制約事項:
  1. 現時点では、グローバル-ローカル解析およびマルチモデル最適化はラティス最適化ではサポートされていません。
  2. 形状、フリー寸法、等価静的荷重(ESL)、トポグラフィー、およびレベルセットトポロジーの各最適化は、ラティス最適化と連携して使用できません。
  3. 熱伝導解析、および流体と構造の相互作用はサポートされていません。

ラティス生成(フェーズI)

最初のフェーズでは、通常のトポロジー最適化と同様に設計領域が最適化されますが、モデル内に中間密度の要素が保持される点が異なります。

前述したとおり、これは理論的には、通常のトポロジー最適化に比べ、コンプライアンス以外(座屈など)を考慮して最適化される構造のパフォーマンスを向上させます。最適化された構造の中間密度は、ユーザーが定義したラティスタイプ(マイクロ構造)によって表されます。ラティス構造の体積率は、最初のフェーズの最後の要素密度に対応します。この最適化プロセスで、中間密度の剛性はマイクロ構造の均質なプロパティに対応します。

定義

ラティス最適化プロセスの最初のフェーズでは、すべてのDTPLバルクデータエントリにLATTICE継続行を含める必要があります。これによりラティス最適化がアクティブになり、LBおよびUBフィールドを使用して、ラティス要素に変換できる要素の密度範囲を指定できます。UBより密度の高い要素は、ソリッド要素として残り、LBより密度の低い要素はモデルから削除されます。

LATTICE継続行で定義されたLBUBの密度境界の内側にある(中間密度)ソリッド要素は、対応するラティス構造(ラティスタイプ – LT)で置換されます。ソリッド要素は1次要素または2次要素のいずれかです。ラティス構造は1D テーパ付きビーム(CBEAM)要素を使用して以下のように形成されます(図 2)。それぞれのラティス構造セルのラティス構造ビーム要素の最初の半径は、置換された中間密度要素の密度に比例します(フェーズIIの最初の体積はフェーズIの最後の体積と等しくなる)。フェーズIIで、ラティスビーム要素の半径のコンセプトは、ジョイントの太さとして解釈されます。ラティスビーム要素の結合部での各ジョイントの太さは決定されますが、各要素の半径はビームの長さ方向に沿って変化する可能性があります。ビーム要素にはプロパティPBEAMLTYPE=RODがあり、各要素に自動的に割り当てられます。テーパ付きビーム要素の太さは長さ方向に沿って変化する場合があり、断面は円のみ使用可能です。PBEAMLエントリのX(1)/XBフィールドは、テーパ付きビーム要素の場合、常に1.0に設定されます。

TYPE=RODの場合、X(1)/XBが1.0だとDIM(1)Aは端点Aでのビームの半径を参照し、DIM(1)1は端点Bでのビームの半径を参照します。この要素はテーパ付きビームの定式で、ビームの平均半径を求めるための平均化は使用されません。代わりに、特定の寸法で実際のテーパー付きビームの定式が使用されます。実際のテーパー付きビームの定式は、TYPE=RODの場合にのみ使用できます。


図 2. テーパー付きビームの定式

LATTICE継続行のLATSTRフィールドを使用して、フェーズIIでの応力の制約条件を指定できます(応力の制約条件)。

ラティスのタイプは、LATTICE継続行のLTフィールドを使用して制御できます。このフィールドは六面体要素にのみ適用されます。これは、他の要素タイプには単一のラティスタイプしか関連付けられないためです。六面体要素では、LT = 123、または4の値を使用して、中間密度要素を置換するラティス構造を制御できます。
注: LTフィールドは六面体要素にのみ適用できます。

ラティスタイプ

LT = 1

chexa_lt1
LT = 2

chexa_lt2
LT=2CHEXA要素の場合、ラティスとソリッドのインターフェース部分で隣接するソリッド要素に面しているラティス構造面の中央にある浮遊節点は、自動的に生成されたFREEZE CONTACTを使用して結合されます。このようなCONTACTの自動作成は、ソリッド要素に結合される面の中心節点がフェーズIIで浮遊した(無接続)状態のままにならないようにするためのものです。
LT = 3

chexa_lt3
LT = 4

chexa_lt4
注:
  1. ラティスは新たに作成された節点のみに基づきます。したがって、元のモデルに存在し、設計領域に適用されていたSPCおよびFORCEは保持されず、再度定義する必要があります。
  2. 設計領域に少なくとも1つのサーフェスを持つ接触インターフェースも保持されません。OptiStructは内部的に新しい節点とソリッド要素間に新しいN2S接触を作成します。新たに生成された接触インターフェースを検証し、接触挙動が期待どおりであることを確認することをお勧めします。
四面体要素(CTETRA)

ctetra_lattice
ピラミッド要素(CPYRA)

cprya
五面体要素(CPENTA)

cpenta_lattice

ラティス最適化ソルバーデックの名前が<name>.femの場合、フェーズIの最後に新しいファイル<name>_lattice.femが生成されます。この新しいファイルには、新しいラティス構造および寸法最適化セットアップを表す1次元要素データが含まれます。最適化の応答、制約条件、および目的関数を再定義する必要があります。さらに接触セットも再定義する必要があります(接触)。

空隙率の制御

モデル内の中間密度の値は、主に適用されているペナルティに依存します。これは、トポロジー最適化の際に適用されるペナルティに似ています。ペナルティが増加すると、中間密度は0.0または1.0に近づきます。これにより、中間密度を持つ要素の数は少なくなります。これは、ラティス構造の割合の低さに対応します(低空隙率)。ペナルティが低下すると、ラティス構造の割合は高くなります(高空隙率)。

設計パラメータLATPRM, POROSITYを使用すると、ラティス構造最適化の実行の最初のステージでモデル内の中間密度の値を制御することにより、モデルの空隙率を制御できます(デフォルト = HIGH)。
HIGH
このオプションでは、最適化実行の最初のステージで比較的多くの中間密度要素を生成します(高空隙率)。このオプションを選択すると、ヤング率と密度の関係にペナルティは適用されません。これにより、一般的に、フェーズIの最終結果におけるラティス領域の体積率は高くなります。
注: これは、特定のモデルの剛性パフォーマンスを過剰に見積もることにつながる可能性があります。これは、暗黙的にフェーズ2では剛性パフォーマンスが大幅に下がる可能性があることを意味します。
MED
このオプションでは、最適化実行の最初のステージで比較的中くらいの数の中間密度要素を生成します(中空隙率)。このオプションが選択されると、より低いペナルティ、1.25が適用され、ラティス領域の存在に関するプリファレンスが中間レベルになります。一般に、このオプションでは、オプションがHIGHの場合と比べ、ラティス領域の数が少なくなります。
LOW
このオプションでは、最適化実行の最初のステージで比較的少ない数の中間密度要素を生成します(低空隙率)。このオプションが選択された場合、1.8という自然ペナルティが適用されます。この場合、一般に、単純な“最も剛性の高い構造”の定式(特定のターゲットの体積に対してコンプライアンス最小化)が適用されると、最終的にほとんどが密度1の材料の分布による設計となります。


図 3. HIGH、MED、およびLOWの空隙率オプションの違い

剛性ペナルティ

フェーズIにおいて、変更されたトポロジー最適化が実行され、中間密度の範囲(0.0から1.0)で構造が生成されます。

トポロジー要素の密度は、次の式を使用してその剛性と相互に関連付けられます:(1) E = E 0 ρ p
ここで、
E
最適なトポロジー要素の剛性@密度 ρ
E 0
初期設計空間材料の剛性(実際のデータ)
ρ
トポロジー要素の密度(または体積率)
P
中間密度要素の生成を制御するため、その密度に適用されるペナルティ
これは仮想的なコンセプトであるため、実際には“中間密度”を持つ要素に使用できる物理要素はありません。ただし、ラティス構造の可用性により、各トポロジー要素の可変体積率(または密度)と内部的に結合されたビーム(CBEAM)要素のタイプを使用して、これらの仮想的な“中間密度”の挙動を近似することができます。ただし、これらのラティス要素の性質に基づき、これらがある程度正確な中間密度の物理表現を提供するのは、体積率と剛性の関係が以下の場合のみです:(2) E = ρ 1.8 E 0

これは、単位体積内でラティス構造を均質化し、その剛性を、変更したトポロジー最適化の密度に対してペナルティを科した剛性と比較することによって計算されます。広範なテストに基づいて、最適化されたトポロジー設計セルは、最初の変更済みトポロジー最適化でペナルティが1.8に設定されている場合、ラティス単位セルによって正確に表されることが確認されています。

つまり、物理的なラティス構造と仮想的な中間密度との相関の精度は、ペナルティ( ρ )が1.8に近づくにつれて高くなります。これは、自然ペナルティと呼ばれ、POROSITY=LOWに対応します。

ただし、コンプライアンスのパフォーマンス以外を考慮するため、より空洞の多い構造が必要な場合もあります(座屈など)。したがって、POROSITY=MEDまたはHIGHを使用して、仮想的な中間要素の数が多くなる、低いペナルティ(p)を設定することができます。中間要素の数は、一般にHIGH ρ =1.0またはペナルティなし)の場合に最も多く、MED ρ =1.25)の場合は少なくなります。これらの中間密度要素は、より高いコンプライアンスと関連付けられるラティス構造で置換されます(前述したように、最大のコンプライアンスパフォーマンスはペナルティが1.8付近の場合にのみ達成されます)。したがって、MEDまたはHIGHの空隙率オプションを使用している場合は、構造および最適化応答が過剰に予測される可能性がある(HIGHが使用される場合、この差はより顕著になる)ため、重要な制約条件をすべてフェーズIIに含めるようにすることが重要です。さらに、フェーズIIより限度を控えめに設定して、フェーズIにもこれらの重要な制約条件を含めることをお勧めします。フェーズIの最後に生成される<name>_lattice.femファイルには、仮想的な中間密度要素ではなく実際のラティス構造が含まれるため、このファイルの解析により、より正確なコンプライアンスパフォーマンスの図が得られます(図 4)。


図 4. 剛性パフォーマンスに関する、LOW、MED、およびHIGHの空隙率オプションの違い
フェーズIの制約条件が重要な場合、次のいずれか、または両方を採用することをお勧めします。
  1. 中間密度要素がラティス構造で置き換えられた後で一般的な剛性の損失を補うため、元のトポロジー設計空間の制約条件を必須条件より厳しくする(MEDおよびHIGHの空隙率オプション)。
  2. POROSITY=LOWを使用して、最初の設計空間の変更済みトポロジー最適化を、ラティス構造の“均質な”自然ペナルティ値(1.8)に揃える。これにより、ラティス構造で置換される最適化された設計空間がかなり正確に近似されます。

寸法(パラメータ)最適化(フェーズII)

フェーズIIでは、寸法最適化を使用してラティス構造を最適化します。

フェーズIは、ラティスのマイクロ構造表現が等方性(またはほぼ等方性)の均質なプロパティを持つため、等方性材料の最適化を表します。寸法(パラメータ)最適化フェーズは、ラティス構造に異方性を組み込み、構造をより効果的なものにすることを目的としています。特定の荷重に対し、新たに作成されたファイル<name>_lattice.femには、寸法(パラメータ)最適化のセットアップが含まれています。最適化応答、制約条件、および目的関数は、フェーズIIで確認し、(必要に応じて)再定義する必要があります。接触セットについても確認し、必要に応じて再定義する必要があります。ジョイント(ラティスのテーパ付きビーム要素の結合部)ごとに1つの設計変数(DESVAR)が自動的に作成され、そのジョイントでのすべてのビーム断面の半径を表します。DESVARは、寸法(パラメータ)最適化プロセスでDVPRELエントリにより各テーパ付きビーム要素の半径に関連付けられます。寸法設計変数の下限は、自動的に非常に低い値に設定されます( ( U B / 10 6 ) )。

ここで、UBはラティスの寸法最適化フェーズの設計変数の上限です。この下限は、LATPRM,MINRADおよびLATPRM,CLEANを使用して制御できます(詳細についてはLattice Sizing+をご参照ください)。

フェーズIIの最後には、新しい<name>_lattice_optimized.femファイルが作成され、最適化されたラティス構造が格納されます。非常に小さな半径のビームは、このフェーズで自動的にこの構造から削除されます(Lattice Sizing+)。したがって、最終的な応答を見るには、<name>_lattice_optimized.femファイルを使用した検証解析をお勧めします。

パラメータLATPRM,TETSPLT,YESを使用して、非設計またはソリッドのすべての要素の四面体要素への分割をオンにし、3Dプリントソフトウェアでも使用できるようにすることもできます。

コンプライアンス管理

ラティス最適化実行のフェーズでは、モデルのコンプライアンスがさまざまな内部プロセスに基づいて変化します。

コンプライアンスの低下は一般的に好ましくなく、パフォーマンスの低下が発生したステージには注意が必要です。
  1. フェーズIの最後では、モデル内の空白要素および低密度要素の削除(LBより低い密度の要素が削除されます)によりパフォーマンスの低下が発生します。LATPRM,LATLBを使用して、選択したLBの値によって、コンプライアンスが大幅に低下していないかどうかを確認することができます。
  2. 中間密度要素が対応するラティス構造に置換される、フェーズIからフェーズIIへの移行の際には、さらにパフォーマンスが低下します。モデルにペナルティなし(POROSITY, HIGH)または低いペナルティ(POROSITY, MED)が適用されている場合は、中間密度要素がラティスに置換された後、構造の剛性が過剰に見積もられます。

応力の制約条件

通常の制約条件に加えて、ラティス最適化には応力の制約条件を使用できます。応力の制約条件は、以下の2つの方法で適用できます。
  1. DTPLエントリ内のLATTICE継続行にあるLATSTRフィールドを使用して、フェーズIIの応力の制約条件を定義できます。応力の制約メソッドは、LATPRM,STRMETHを使用して選択できます。応力の上限値(LATSTR)はフェーズIでは適用されませんが、フェーズIIに渡されます。DRESP1に対応するフェーズIIのCBEAM要素の場合、応答は定義された応力制約条件に基づいて作成されます。LATPRM, STRMETH, PNORM (デフォルト)が指定されている場合、特定のCBEAM要素のセットに対して制約される最大応力値の計算には、Stress NORMメソッドが使用されます。フェーズIIではビーム要素の数が多いため、応力の制約条件にはStress NORMを使用することが重要です。すべてのビームの応力制約条件が最適化問題において個別の制約とみなされると、最適化問題のサイズは大きくなりすぎます。フェーズIIでのStress NORMの適用例であるEuler座屈制約条件、およびLattice Sizing+プロセスは、内部的に生成されたパラメータLATPRM, LATTICE, YESにより制御されます。このパラメータをさらに変更することはお勧めしません。このパラメータがNOに再設定された場合、Stress NORMメソッドはフェーズIIの応力制約条件の処理には適用されません。これにより、最適化の実行が遅くなったり、“Optimization problem is too large”というエラーでプログラムが終了することもあります。Stress NORMの使用により、フェーズ2の応力制約条件の処理の効率が向上するため、LATTICEパラメータはYESに設定しておくことをお勧めします(また、LATPRM,LATTICE, YESパラメータは、フェーズ2でEuler座屈の制約条件をアクティブにします)。Stress NORM機能では、モデルに対して2つの応答を作成します。1つは応力の大きさが上位10%の要素に対する応答で、もう1つはモデルのその他に対する応答です。したがって、OUTファイルのRetained Responsesテーブルには2つのStress Responseが表示されます。
  2. DTPLエントリのSTRESSフィールドを使用して、フェーズIのトポロジー最適化で応力制約条件を指定できます。この応力制約条件はフェーズIIには渡されません。
  3. DRESP1応力応答は、ラティス最適化のフェーズI(トポロジー)では使用できません。

    Stress NORMメソッド

    Stress NORMメソッドは、特定の応答に含まれるすべての要素の応力の最大値を近似的に計算するために使用されます。また、これは各要素に対して指定される応力の限度でスケーリングされます。したがって、特定の要素セットの最大応力を最小限に抑えるため、結果として生じるStress NORM値( σ N O R M )は、内部的に1.0より小さい値に制限されます。(3) σ N O R M = ( 1 n i = 1 n ( σ i σ b o u n d ) p ) 1 p
    ここで、
    σ N O R M
    Stress NORM値
    n
    要素の数
    σ i
    各要素の個別の応力値 i
    σ b o u n d
    各要素の応力限度
    p
    ペナルティ(パワー)値(デフォルト = 6.0)

    ペナルティまたはパワー値( p )は、パラメータDOPTPRM,PNORMを使用して変更できます。

    p = 6.0がデフォルトで、( p )の値を大きくすると、Stress NORM関数( σ N O R M ( σ max σ b o u n d ) )の精度が向上しますが、最適化実行が不安定になる可能性があります。値が6より小さい場合( p → 1)、Stress NORM関数は平均の比率に近づきます( σ N O R M 1 n i = 1 n ( σ i σ b o u n d ) )。デフォルト値は、比率の最大値の妥当な近似値で、不安定性が低下します。

    Stress NORM機能では、モデルに対して2つの応答を作成します。1つは応力の大きさが上位10%の要素に対する応答で、もう1つはモデルのその他に対する応答です。したがって、OUTファイルのRetained Responsesテーブルには2つのStress Responseが表示されます。

  4. デフォルトのStress NORMメソッドに加え、LATPRM,STRMETH,FSDを使用して代替メソッドを選択することもできます。モデルによっては代替メソッドのほうが高速になる可能性があります。

接触

一般に、ラティス最適化構造では、次の2種類のCONTACTの状況が発生します。
  1. ラティスタイプ2の項で説明したように、CHEXA要素(LT=2)では、設計と非設計のインターフェース部分のラティス構造は、コーナーフェイス節点で非設計ソリッド要素に結合されます。ただし、LT=2では、インターフェース部分で非設計ソリッド要素に隣接するラティス構造フェイスのフェイス中心に浮遊節点が存在します。これらの浮遊節点は、自動的に生成されるFREEZE CONTACTを使用して結合されます。CONTACTが作成されない場合は、ソリッド要素に結合されているフェイスの中心節点がフェーズIIではハングしたままとなります。
  2. 2つ目のCONTACTシナリオは、フェーズIの実行前にモデルに既存の接触が含まれている場合に発生します。このような場合、フェーズIIの前に、設計、非設計、および新たに作成されたラティス領域間の接触インターフェースを確認し、更新することをお勧めします。ラティス領域は常にセカンダリ(旧称“スレーブ”)として設定され、ラティスに接する非設計 / ソリッド領域はメイン(旧称“マスター”)として設定されます。このようになっていない場合、OptiStructは自動的にこれらを正しく再設定します。OptiStructはまた、非設計領域に接するラティス領域のS2S接触をN2S接触に変換します。さらに、このような場合、GRIDセットは非設計のメインを定義できません(SurfacesまたはElementセットを使用する必要があります)。

Lattice Sizing+

Lattice Sizing+は、ラティス最適化のフェーズ2における寸法最適化の最後の拡張寸法最適化プロセスです。

Lattice Sizing+は、モデルにLATPRM,CLEAN,YES(デフォルト)またはLATPRM,CLEAN,LESSが存在する場合にアクティブになります。ビームのクリーニング手順は2つ目の最適化フェーズの最後の寸法最適化の後に発生し、非常に小さな半径(LATPRM,MINRADを下回る)のビームにペナルティを課します。MINRADを下回るビームは、組み込みのトポロジー最適化により0または1に近付けられます。半径または縦横比の最小値は、LATPRM, MINRADおよび / またはLATPRM, R2LRATIOLATPRM, CLEANと共に使用して制御できます。

組み込みのトポロジー最適化は、寸法最適化フェーズの最後の2つの追加フェーズで構成されます。最初の追加フェーズでは、目的関数に次のペナルティ項が付加されます。これは、目的関数に対する寸法最適化の収束時に、その目的関数に等しい値を付加することと等価です。(4) p e n = ( i = 1 n D V p e n i ) o b j c p e n c MathType@MTEF@5@5@+= feaagKart1ev2aqatCvAUfeBSjuyZL2yd9gzLbvyNv2CaerbuLwBLn hiov2DGi1BTfMBaeXatLxBI9gBaerbd9wDYLwzYbItLDharqqtubsr 4rNCHbGeaGqiVu0Je9sqqrpepC0xbbL8F4rqqrFfpeea0xe9Lq=Jc9 vqaqpepm0xbba9pwe9Q8fs0=yqaqpepae9pg0FirpepeKkFr0xfr=x fr=xb9adbaqaaeGaciGaaiaabeqaamaabaabaaGcbaGaamiCaiaadw gacaWGUbGaeyypa0ZaaeWaaeaadaaeWbqaaiaadchacaWGLbGaamOB amaaBaaaleaacaWGPbaabeaaaeaacaWGPbGaeyypa0JaaGymaaqaai aad6gadaWgaaadbaGaamiraiaadAfaaeqaaaqdcqGHris5aaGccaGL OaGaayzkaaWaaSaaaeaacaWGVbGaamOyaiaadQgadaWgaaWcbaGaam 4yaaqabaaakeaacaWGWbGaamyzaiaad6gadaWgaaWcbaGaam4yaaqa baaaaaaa@4ED6@
ここで、
p e n MathType@MTEF@5@5@+= feaagKart1ev2aqatCvAUfeBSjuyZL2yd9gzLbvyNv2CaerbuLwBLn hiov2DGi1BTfMBaeXatLxBI9gBaerbd9wDYLwzYbItLDharqqtubsr 4rNCHbGeaGqiVu0Je9sqqrpepC0xbbL8F4rqqrFfpeea0xe9Lq=Jc9 vqaqpepm0xbba9pwe9Q8fs0=yqaqpepae9pg0FirpepeKkFr0xfr=x fr=xb9adbaqaaeGaciGaaiaabeqaamaabaabaaGcbaGaamiCaiaadw gacaWGUbaaaa@38C9@
目的関数に付加されるペナルティ項
p e n i MathType@MTEF@5@5@+= feaagKart1ev2aqatCvAUfeBSjuyZL2yd9gzLbvyNv2CaerbuLwBLn hiov2DGi1BTfMBaeXatLxBI9gBaerbd9wDYLwzYbItLDharqqtubsr 4rNCHbGeaGqiVu0Je9sqqrpepC0xbbL8F4rqqrFfpeea0xe9Lq=Jc9 vqaqpepm0xbba9pwe9Q8fs0=yqaqpepae9pg0FirpepeKkFr0xfr=x fr=xb9adbaqaaeGaciGaaiaabeqaamaabaabaaGcbaGaamiCaiaadw gacaWGUbWaaSbaaSqaaiaadMgaaeqaaaaa@39E3@
各寸法設計変数に関連付けられたペナルティ値
o b j c MathType@MTEF@5@5@+= feaagKart1ev2aqatCvAUfeBSjuyZL2yd9gzLbvyNv2CaerbuLwBLn hiov2DGi1BTfMBaeXatLxBI9gBaerbd9wDYLwzYbItLDharqqtubsr 4rNCHbGeaGqiVu0Je9sqqrpepC0xbbL8F4rqqrFfpeea0xe9Lq=Jc9 vqaqpepm0xbba9pwe9Q8fs0=yqaqpepae9pg0FirpepeKkFr0xfr=x fr=xb9adbaqaaeGaciGaaiaabeqaamaabaabaaGcbaGaam4Baiaadk gacaWGQbWaaSbaaSqaaiaadogaaeqaaaaa@39D5@
前の寸法最適化フェーズの収束時の目的関数の値
p e n c MathType@MTEF@5@5@+= feaagKart1ev2aqatCvAUfeBSjuyZL2yd9gzLbvyNv2CaerbuLwBLn hiov2DGi1BTfMBaeXatLxBI9gBaerbd9wDYLwzYbItLDharqqtubsr 4rNCHbGeaGqiVu0Je9sqqrpepC0xbbL8F4rqqrFfpeea0xe9Lq=Jc9 vqaqpepm0xbba9pwe9Q8fs0=yqaqpepae9pg0FirpepeKkFr0xfr=x fr=xb9adbaqaaeGaciGaaiaabeqaamaabaabaaGcbaGaamiCaiaadw gacaWGUbWaaSbaaSqaaiaadogaaeqaaaaa@39DD@
前の寸法最適化フェーズの最後での合計ペナルティの値
各設計変数(ビーム半径)のペナルティ値は、LATPRM,CLEANで選択した方法に基づいて計算されます。YESを選択した場合、ヘヴィサイドペナルティ関数が使用され、LESSを選択した場合、2次のペナルティ関数が使用されます。


図 5. Lattice Sizing+のヘヴィサイドペナルティ関数(LATPRM,CLEAN,YES)


図 6. Lattice Sizing+の2次のペナルティ関数(LATPRM,CLEAN,LESS)

2番目の追加フェーズでは、目的関数の1000倍のペナルティが付加されます。

Lattice Sizing+プロセスでは、寸法最適化の収束したステップと比べて大きくコンプライアンスが低下することなく、小さなビームをクリーンアップすることができます。クリーニングプロセスがオプティマイザーに表示されるようになったため、制約条件違反はなくなり、パフォーマンスの低下が最小限に抑えられます。

スムージングとリメッシング

OSSmoothを起動して、最初の最適化ステージの後で(かつラティス生成の前に)スムージングプロセスをアクティブにすることができます。これはLATPRM,OSSRMSHを使用してアクティブになります。必要に応じて、パラメータでターゲットのメッシュサイズを指定することにより、リメッシングも実行できます。

  1. このパラメータが指定されている場合、リメッシングはオプションとなり、実数値のメッシュサイズが指定されたときにのみ実行されます。
  2. 最初の入力ファイルが<filename>.femである場合、最初の最適化ステージの最後に<filename>_oss.femおよび<filename>_oss_lattice.femが作成されます。2番目の最適化ステージでは、<filename>_oss.femファイルが使用されます。
  3. このパラメータがリメッシングのアクティブ化を行わずに使用された場合、同じメッシュサイズでOSSmoothingのみが実行されますが、要素は四面体(CTETRA)、五面体(CPENTA)、およびピラミッド(CPYRA)の各要素に分割されます。
  4. 2番目の最適化ステージ(寸法最適化)の後には、<filename>_oss_lattice_optimized.femが作成されます。
  5. このパラメータを使用してOSSmoothをアクティブにするには、バッチモードでHyperMeshを実行します。必要な環境変数を定義する必要があります。
  6. ターゲットのメッシュサイズが指定されていない場合、探索距離(CONTACTSRCHDIS)はデフォルトで0.5*メインのメッシュサイズ(非設計空間)になります。ターゲットのメッシュサイズが指定されている場合、探索距離は0.5*セカンダリのリメッシュされたメッシュサイズ(設計空間)に設定されます。

自動化された再解析

フェーズIの最後で、ラティス構造の生成の前に、一部の中間密度要素がモデルから削除されます。

これは、LATTICE継続行のLBフィールドを使用して制御できます。一般的にラティス構造パフォーマンスは、LATTICE継続行の下限(LB)の値に影響されます。LBの値を少し変更するだけで、コンプライアンスのパフォーマンスが大きく変化する可能性があります。例えば、密度の下限を少し上げる(保持するCBEAM要素の数が減少する)と、コンプライアンスのパフォーマンスが大幅に低下する場合があります。そのような場合、LATPRM, LATLBを使用して、パフォーマンスを向上させることができます。その後、OptiStructは、密度の値がLBより低い要素に対して非常に低い剛性値を割り当てることによって、その構造を再解析します。この再解析された構造のコンプライアンスパフォーマンスが、最初の構造と比較されます。パフォーマンスのパーセンテージ差異が大きい場合、LB値が下げられ、モデルが再解析されます。このプロセスは、コンプライアンスパフォーマンスの差異が特定の閾値内に収まるまで繰り返されます。この最後の繰り返しの後のLBの値が、フェーズ2の最終ラティス構造の生成に使用されます。このプロセスの目的は、CBEAM要素を最大限削除できるモデルを生成すると同時に、モデルの妥当なコンプライアンスパフォーマンスを維持することです。DTPLLATTICE継続行の下限(LB)を指定しない場合、再解析プロセスにはデフォルト値の0.1が使用されます。

パラメータLATPRM, LATLB, AUTOを使用すると自動化された再解析がONになり、USER(デフォルト)を使用するとこの再解析プロセスがOFFになります(ユーザーが指定したLBが使用されます)。3番目のオプションCHECKを使用すると、再解析の繰り返しが1回実行され、元の構造と再解析された構造とのコンプライアンスのパーセンテージ差異を含む警告が出力されます。このCHECKオプションは、指定されたLBを使用して、構造のコンプライアンスパフォーマンスに関する情報を取得するために使用できます。コンプライアンスパフォーマンスが期待どおりではない場合、より適切な密度の下限(LB)を見つけられる可能性のあるAUTOを使用してフェーズIを再実行することを検討してください。

自動化された再解析は、コンプライアンスまたは重み付きコンプライアンスを目的とする最適化モデルに対してのみ利用可能です。