推奨されるチェックリスト
真に非適合の運動条件(IKC)は注意深くチェックし、存在する場合は解決する必要があります。AMSは失敗するか非常に低い目標時間ステップで実行され、パフォーマンスが低下する可能性があります。一方、同じモデルに対する従来の時間ステップコントロールは正常に実行されます。この意味で、AMSはモデリングの弱点を明らかにします。
AMSを適用するすべてのターゲットモデルは、最初に/DT/NODA/CSTでそのシミュレーション時間で意味のあるエネルギー誤差(ERROR < +2%)と受け入れ可能な付加質量(MAS.ER < 0.02)になるように実行されるべきです。/DT/NODA/CSTで実行できないモデルはAMSでも同じです。
/DT/NODA/CSTを使用した場合、質量が必要以上に付加されると、付加質量の無い結果と比較して結果の違いを引き起こします。必要であれば、/DT/NODA/CSTモデルに戻り、より小さな時間ステップで付加質量の量を減らし、次にAMS結果と比較します。
AMSジョブが失敗または発散する場合、多くはエラーメッセージが出力されます。しかしながら、AMS実行が最後まで行われた場合でも、最大の経過時間節約と共に信頼できる結果の品質のために、多くの項目を注意深くチェックする必要が依然としてあります。
- 時間ステップ変化と目標時間ステップとの比較
- 時間ステップは、時間ステップの落ち込みなしに目標時間ステップに従うべきです(場合による)。
- 時間ステップが常に目標のものよりも小さい場合、目標時間ステップは減少させるべきです。
- サイクルでの時間ステップを制御するエンティティ(SOLID、SHELL、SPRING、BEAM、NODE、INTERなど)
- エネルギー誤差変化(負の方向にゆっくりと減少するべき - 増加でない)
- CPUコストを増加させることなく収束の品質をモニタリングするのに、/DT/AMS/Iflag - Iflag = 2によるサイクル当たりのAMS反復回数の出力を活用することもできます。
発散により停止する前の最大許容反復回数は1000です。サイクル当たり75~100回は収束が悪いことを示しています。50回ではいくらかのスピードアップが得られることがあります。
30回以下で収束が良いと見なされます。
基本的品質インデックス
一定節点時間ステップコントロール(/DT/NODA/CST)で、エネルギーエラー(ERROR %)と付加質量(MASS.ER)が出力ファイル(_0001.out)内で最初にチェックする項目です。
AMSでは付加質量は無効です。エネルギーエラー、時間ステップ変化、サイクル当たりの反復回数の確認が残ります。
両方のアプローチの共通点はエネルギーバランスの曲線です。
結果の精度
AMSの結果への数値的効果は、構造の最大固有周波数の低下と同様です。AMSは高い周波数に影響を与えるため、準静的解析、落下試験と製造(スタンピング)シミュレーションに向いています。爆発や弾道シミュレーションの様にひどく変形した構造または非常に高速の現象に用いるのは推奨しません。細かいメッシュの構造パートのグループに選択的に適用される場合、AMSが衝突シミュレーションで使用されることがあり、モデル全体のパフォーマンスの計算を規制する可能性があります。そのような場合、選択されたこれらのパート(バリア、ダミー、エアバッグ、拘束システムなどの安全サブシステムを除く)のAMS目標時間ステップは、従来のマススケーリングが適用される、残りのモデルの時間ステップ値に設定する必要があります。
多くのケースでは、座屈挙動は(AMSの時の)固有ベクトルの影響を受けません。ボックスビームの様な特別なケースでは、ピーク力の幅と大きさがAMSの大きな時間ステップでは検知できないために変わることがあります。座屈パターンは正しくとも、最初のピークでの吸収エネルギーが等しくなりません。
剛体回転: AMSにより小さな剛体の回転慣性が影響を受けるかもしれません。これらの小さな剛体の慣性が目標の時間ステップを達成するために増加されます。
AMS結果を参照ランと比較した時、参照ランの付加質量が結果に影響を与えない程度に十分に小さいことを確認してください。
まとめ
- 伝統的な一定節点時間ステップ値に近すぎる場合、AMSの数値安定性は素晴らしく、結果も“参照”とほとんど同じです。もちろん、速度増加はAMS反復コストのために望めません。理論的に目標倍率x3は “スピードアップ効率” x1で利点はありません。
- 前のケースよりも少し上では、 AMS数値的な安定性は満足できる状態のままで、ほとんどは要素最小時間ステップを参照していることを示しています(インターフェースを参照することもあり得ます)。結果はなお “参照”に非常に近く、AMS反復コストは取り戻され、計算時間の上昇が見られ始めます。1つの推定として、目標倍率x3からx10は、ほとんどの場合でx1.5から x3の範囲の効果的なスピードアップを返し、それ以上も可能です。
- 上の結果では、数値安定性はサイクル当たりのより多い反復回数でより多くインターフェースの最小時間ステップを参照するようになっても、なお満足するように見えます。結果は、“参照”と比較してなお受け入れ可能にも見えますし、結構異なるとも見えます。スピードアップは、ペナルティ法に基づいたインターフェースが最小時間ステップが反復回数の増加とスピードアップに影響する時間ステップの落ち込みが引き起こされるまで続きます。しかしながら、目標倍率x10からx20、恐らく x30までは、それぞれ4から6、恐らく9倍の効果的なスピードアップを返すかもしれません(スタンピング解析ではそれ以上の例も見られます)が、上で定義された“参照”結果と比較してAMS結果がチェックされない限り、それが成功したと考えるべきではありません。
- 上の前のケースでは、計算が発散してAMSメッセージが表示されて停止、エネルギー誤差の限界(付加質量はなし)で停止、あるいは時間ステップの急激な落ち込みによってユーザーがインタラクティブに停止するかのいずれかです。
1.outファイルの例は、入力された目標時間ステップによるRadioss出力ファイル(1.out)でのAMSの効果を示します。
ヒント
モデルにメッシュサイズが非常に異なるパートが含まれる場合、時間ステップを規制するパートにのみAMSを適用した方が良いかもしれません。この場合、計算時間のパフォーマンスを最適化するには、/AMSパートグループに属さないパートには古典的なマススケーリングを適用することも推奨されます。そうしないと、AMSにより処理されないパートは、デフォルトでは本来の要素時間ステップで計算されます。
/DT/AMS/1
Tol_AMS
/DT/NODA/CST
時間ステップが小さいほど性能が制限されるため、従来のマススケーリングで使用するよりも大きなタイムステップをAMSで使用しても効果はありません。パートグループが指定されていない(空白行)か0の場合、 AMSはモデル全体に適用され、/DT/NODA/CSTを追加しても効果はありません。
AMSでは、通常のマススケーリングと同様に、TYPE7(摩擦あり)接触が同じパートに既に定義されている場合、TYPE11内の摩擦は持たせないことが推奨されます。これは、時間ステップの落ち込みを避け、モデルの収束を助けるためです。この推奨事項は、TYPE11の摩擦でIform=2(13.0以降にエッジ-エッジ接触で利用可能)が使用されている場合は不要となります。
** WARNING SECONDARY NODE OF AN INTERFACE TYPE2 & AMS INTERFACE TYPE[7 or 11], ID=xxxxxx: SECONDARY NODE ID=yyyyyyy IS ALSO SECONDARY NODE OF AN INTERFACE TYPE2 THE NODE CONTACT STIFFNESS WILL BE DE-ACTIVATED CASE OF /DT/AMS
この接触非アクティブ化は、Spotflag=25、27または28(TYPE2ペナルティ定式化)を使用することで回避できます。
スポット溶接のための運動条件定式化(TYPE2)では、多数のスポット溶接、特にヘキサスポット溶接がある場合は、AMSのパフォーマンスが変化する可能性があります。
一部の動的なケース(多くの場合弾性状態にある)では、AMS目標時間ステップが強制的に小さくなりAMSのパフォーマンスが低下する、不自然な弾性振動が示されます(アルルカンのようなvon Misesコンターが表示される)。これらの振動は減少させることができ、Rayleigh減衰を適用することで、AMS目標時間ステップが再度増加してパフォーマンスが向上します。減衰の推奨値は、次のとおりです。