レベルセット法

レベルセット法に基づくトポロジー最適化アルゴリズムの新たな改良版がOptiStruct 2021に実装されています。

OptiStruct 12.0で実装されたレベルセット法では、設計の境界が、有限要素メッシュで定義された関数 ϕ ( x ) のアイソサーフェス(ゼロレベルセット)として暗黙的に表現されます(図 1)。レベルセット法では、領域はレベルセット関数の値に基づいて定義されます:(1) { ϕ ( x ) > 0     :  x Ω / Ω ϕ ( x ) = 0     :  x Ω     ϕ ( x ) < 0     :  x D / Ω
ここで、 D は設計領域、 Ω は材料領域、 Ω は境界、 D / Ω は材料のない領域を表します。境界の動的挙動は、いわゆるレベルセット方程式で決定されます:(2) ϕ t = v n | ϕ |
ここで、 v n は垂直速度、 | ϕ | はレベルセット関数の勾配のノルムです。レベルセット方程式の基本的な考え方として、境界の進展をレベルセット関数 ϕ ( x ) の進展にマッピングします。

level_set_rep
図 1. 2次元設計と、それに対応するレベルセット描写

レベルセットベースのトポロジー最適化は、高度な形状最適化と考えることができ、境界を動かすことによって設計が変更され、同時に、境界の新たな出現や分裂といったトポロジー的な変化を自然に扱うことのできる従来の形状最適化と同様に機能します。

入力

レベルセット最適化の設定への手引き

以下の手順は、レベルセット最適化を設定するためのガイドラインです:
  1. OptiStructでのトポロジー最適化では、レベルセット最適化は、デフォルトでオフとなっています。
  2. これは、DTPLエントリでLEVELSET継続行を追加することにより、オンに切り替えることができます。
    (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10)
    DTPL 1 PSHELL 7 8 17        
      LEVELSET                
  3. 上記は、DTPLエントリの入力例です。これで、トポロジー最適化についてレベルセット法がデフォルトのAdaptive (ADAPT)法を使用してアクティブとなりますLEVELSET継続行上のフィールドは、インプリメンテーションの制御に使用することが可能です。詳細については、DTPLバルクデータエントリの項をご参照ください。

コメント

  1. レベルセットトポロジー最適化は、トポロジー最適化に対応しています。従来のDensity法(SIMP)に問題がある場合に試すことができます。そのような問題は、中間密度要素などが考えられます。モデルによっては、レベルセットトポロジーは、従来の密度法と比較して収束までに多くの反復を要する場合があります。
  2. レベルセットトポロジー最適化では、現在、最大部材寸法制御はサポートされていません。存在する場合、設定は無視され、メッセージが.outファイルに出力されます。
  3. 以下はレベルセット最適化ではサポートされていません。存在する場合、実行はエラーアウトとなります。
    • パターン繰り返し
    • 押し出し制約条件
    • マルチモデル最適化(MMO)
    • フェイルセーフ最適化(FSO)
  4. パターングルーピングは、TYPE=1231011対称タイプのレベルセット最適化でサポートされます。現時点ではTYPE=9はサポートされていません。
  5. PARAM,TOPDISC,YESは、レベルセットトポロジー最適化との併用はサポートされていません。存在する場合、パラメータは無視され、メッセージが.outファイルに出力されます。
  6. 型抜き方向制約条件はサポートされます。SINGLEおよび/またはSPLIT制約タイプのみサポートされています。モデル内のすべてのDTPL項目は、レベルセットトポロジーが指定されている場合、型抜き方向制約が定義されているか、定義されていないかのどちらかでなければなりません。モデル内のいくつかのDTPL項目が型抜き方向を持ち、他の項目が型抜き方向を持たない場合、実行はエラーアウトします。