RD-E:5101 Bピラーの寸法最適化

この例題では、Bピラー上の衝突試験を定義します。最適化の目的は、シェルの板厚を変更することによって、Bピラーの質量を最小化することです。最適化制約で定義される貫入は、乗る人の安全を確保するため、オリジナルのモデルより大きくならないようにする必要があります。

Radiossの最適化機能は、Radiossブロックフォーマットの最適化問題のセットアップを容易にします。この例題の目的は、衝突試験(Radiossブロックモデル)に基づく最適化のセットアップ方法を示すことです。

ex_51_Bpillar
図 1.

Radiossの最適化をセットアップするには、通常のStarterとEngine入力ファイルのほかに追加の入力ファイルが必要です。必要なファイルは<name>.radoptという名前の最適化入力ファイルです(StarterとEngineファイルの名前は、それぞれ、<name>_0000.rad<name>_0001.radになります)。<name>.radoptファイルは、最適化目的、最適化制約、設計変数、最適化応答などの最適化エンティティを定義します。

使用されるオプションとキーワード

入力ファイル

必要なモデルファイルのダウンロードについては、モデルファイルへのアクセスを参照してください。

モデリングビデオ

モデル概要

単位: mm、s、ton、N、MPa

フルカーモデルからBピラーをカットして、剛な円筒で初速度を設定します。
  • 目的:質量の最小化
  • 制約:節点2021524のY方向の最大変位(内部補強) < 19.7 [mm]

    ex_51_problem
    図 2. 問題の詳細
  • 設計変数:
    • 中間補強のシェルの板厚 - 許容範囲[0.5mm, 3.0mm]
    • 内部補強のシェルの板厚 - 許容範囲[0.5mm, 3.0mm]

詳細な最適化セットアップ


ex_51_optimization_setup
図 3. Radioss最適化のセットアップ

最適化目的

/DESOBJは、最適化の目的を定義するために使用します。この例題では、最小応答#1を定義します。

応答#1は、パートグループ#2000329(Radioss Starterファイルで定義される)の質量の組み合わせである最適化応答を定義します。このパートグループには、中間補強と内部補強の両方のパートが含まれます。

ex_51_desobj
図 4. Radioss最適化での最適化目的のセットアップ

最適化の制約条件

この例題では、貫入がオリジナルのモデル(最適化前)より大きくならないように制約します。オリジナルのモデルでは、節点2021524の最大Y変位が19.7mmです。この値を/DCONSTRcmaxとして定義し、応答2で、19.7を節点2021524(RTYPE=5ATTA=7)の最大Y変位(PTYPE=1ATTI=2021524)として定義します。

最適化の基準設定次第で、cmaxの値が異なる場合があります。

ex_51_dresp1
図 5. Radioss最適化での最適化制約条件のセットアップ

設計変数

/DESVARは設計変数を定義するために使用し、/DVPREL1は設計変数を解析モデルプロパティに関連付けるために使用します。

2種類の設計変数:パート2000327用の変数およびパート2000329用の変数のを定義します。

例えば、内部補強用(パート2000327)の設計変数は次のように定義されます。
  • /DESVARで範囲[0.5,3.0]を指定 - これは/DVPREL1で使用されます。

    /DVPREL1prop_typprop_fidを指定して、上記変数をシェルの板厚に使用できます。また、prop_IDを指定して、シェルプロパティ2000327内の厚みを最適化実行に使用します。

  • /DVPREL1内のCOEF1 各反復で、Pi(厚み値)は C 0 + ( 1.0 X ) MathType@MTEF@5@5@+= feaagKart1ev2aaatCvAUfeBSjuyZL2yd9gzLbvyNv2CaerbwvMCKf MBHbqefqvATv2CG4uz3bIuV1wyUbqedmvETj2BSbqefm0B1jxALjhi ov2DaebbnrfifHhDYfgasaacH8srps0lbbf9q8WrFfeuY=Hhbbf9v8 qqaqFr0xc9pk0xbba9q8WqFfea0=yr0RYxir=Jbba9q8aq0=yq=He9 q8qqQ8frFve9Fve9Ff0dmeaacaGacmGadaWaaiqacaabaiaafaaake aacaWGdbGaaGimaiabgUcaRmaabmaabaGaaGymaiaac6cacaaIWaGa ey4fIOIaamiwaaGaayjkaiaawMcaaaaa@40B7@ と一致します。ここで、 X [ 0.5 , 3.0 ] MathType@MTEF@5@5@+= feaagKart1ev2aaatCvAUfeBSjuyZL2yd9gzLbvyNv2CaerbwvMCKf MBHbqefqvATv2CG4uz3bIuV1wyUbqedmvETj2BSbqefm0B1jxALjhi ov2DaebbnrfifHhDYfgasaacH8srps0lbbf9q8WrFfeuY=Hhbbf9v8 qqaqFr0xc9pk0xbba9q8WqFfea0=yr0RYxir=Jbba9q8aq0=yq=He9 q8qqQ8frFve9Fve9Ff0dmeaacaGacmGadaWaaiqacaabaiaafaaake aacaWGybGaeyicI48aamWaaeaacaaIWaGaaiOlaiaaiwdacaGGSaGa aG4maiaac6cacaaIWaaacaGLBbGaayzxaaaaaa@422E@ であり、これは/DESVARで定義されます。(1)

ex_51_desvar
図 6. Radioss最適化での設計変数のセットアップ

使用されるRadiossオプション

/INIVEL/INTER/TYPE7も使用されます。

/INIVELは、同じ初期運動エネルギーの下でBピラーを最適化するために使用します。

この例題では、シェルの板厚をBピラーの質量が最小になるように変更します。2つの接触パート間の厚みが変化することで初期貫通が発生します。/PARTで初期厚みを定義することによって、この問題を回避することができ、厚みはインターフェース内のギャップの計算にのみ使用されます。

ex_51_part
図 7. Radioss Starterファイル内の/PARTカード

結果

結果で、以下をチェックします。
  1. 最新の設計で最良の結果が得られます。結果が適切かどうかを確認します。*.outファイル(Neon-b_pillar.out)では、次のデータが各反復の最後に出力されます。

    FEASIBLE DESIGN (ALL CONSTRAINTS SATISFIED) - 設計が良好であることを示します。

    INFEASIBLE DESIGN (AT LEAST ONE CONSTRAINT VIOLATED)- 設計変数定義をチェック/改善する必要があることを示します。

    この情報は、出力ファイル hwsolver.mesgでも確認できます。

  2. *.outファイル(Neon-b_pillar.out)で、最適化定義をチェック/確認します。 Objective Function: Minimize Combined MassRun Type: Sizing Optimizationなど。
  3. Radiossで最適化を実行すると、同等のOptiStructモデルも自動的に作成され、*.femNeon-b_pillar.fem)という名前が付けられます。
*.esloutNeon-b_pillar.eslout)ファイル、*h3dファイル、または各ANIM、T01ファイルで結果をチェックします。*.esloutファイルには、各反復内の最適化された目的の値が保存されています。

ex_51_selout_file
図 8. *esloutファイル内の各反復での最適化結果

オリジナルのモデルでは2つのパートの質量は3.0011e-3[Ton]で、この2つのパートの最適化された質量は2.4158e-3[Ton]です。質量は約19.5%減少しています。

パート#2000327の厚みは1.328mmで、最適化された厚みは0.5539mmです。厚みも減少しています。

パート#2000329の厚みは0.7060mmで、最適化された厚みは0.8933mmです。このモデルの厚みは、この2つのパートのパフォーマンスを向上させるために増加しています(応答1で、ATTB =1(COMB用)が定義されます)。

ex_51_2000329
図 9. 2つの補強パートのシェルの板厚の最適化結果

ex_51_mass_results
図 10. 2つの補強パートの合計質量の最適化結果

最後の反復で、質量が2.4158e-3[Ton]に減少しています。この新しい設計は、/DCONSTRで定義されている制約(<19.7[mm])も満たしています。

節点2021524では、最大Y変位が

19.57[mm](最後の反復) < 19.7 [mm](制約内)です。制約を満たしています。

ex_51_202154
図 11. オリジナルのモデルと最適化されたモデル内の節点2021524上のY変位