/MAT/LAW78

ブロックフォーマットのキーワード この法則は、金属の大規模ひずみ周期的塑性を記述するためのYoshida-Uemoriモデルです。また、この法則は、2曲面理論(降伏曲面と境界曲面)の枠組みに基づいています。

塑性変形では、降伏曲面が境界曲面内部を移動するだけでそのサイズは変化しません。境界曲面はサイズと位置の両方が変化します。この法則では、ヤング率の塑性ひずみ依存性と加工硬化停滞の影響も考慮されます。SPHに関してはソリッドにのみ適合し、/SPH/WavesCompressionテストで検証できます。ソリッドのバージョンは等方性のみです。シェルのバージョンはHill規準に基づいた異方性です。

フォーマット

(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10)
/MAT/LAW78/mat_ID/unit_ID
mat_title
ρiρi                
E νν            
Y b CKH2CKH2 h B0
m Rsat OptR C1 C2  
r00 r45 r90 Mexp Icrit  
fct_IDE   Einf CE CKH1CKH1    

定義

フィールド 内容 SI単位の例
mat_ID 材料識別子

(整数、最大10桁)

 
unit_ID 単位識別子

(整数、最大10桁)

 
mat_title 材料のタイトル

(文字、最大100文字)

 
ρiρi 初期密度

(実数)

[kgm3][kgm3]
E ヤング率

(実数)

[Pa][Pa]
νν ポアソン比

(実数)

 
Y 降伏応力。

(実数)

[Pa][Pa]
b 境界曲面の中心

(実数)

[Pa][Pa]
CKH2CKH2 降伏曲面の移動硬化則に関する(または CKH1>CKH2CKH1>CKH2 の場合は CC の計算に使用される)パラメータ。 5

(実数)

 
h 加工硬化停滞を制御するための材料パラメータ

(実数)

 
B0 境界曲面の初期サイズ

(実数)

[Pa][Pa]
m 両方の曲面の等方と移動硬化のパラメータ

(実数)

 
Rsat 等方硬化応力の飽和値

(実数)

[Pa][Pa]
OptR 修正等方硬化則のフラグ(シェルのみ使用可能):
= 0(デフォルト)
Yoshida定式化
=1
修正定式化(C1C2を定義)

(整数)

 
C1C2 境界曲面等方硬化の修正定式化の定数(シェルのみ使用可能)

(実数)

 
r00 シェル要素に使用するランクフォードパラメータ(0°)

デフォルト = 1.0(実数)

 
r45 シェル要素に使用するランクフォードパラメータ(45°)

デフォルト = 1.0(実数)

 
r90 シェル要素に使用するランクフォードパラメータ(90°)

デフォルト = 1.0(実数)

 
Mexp シェル要素のBarlat 1989降伏基準の指数部 MM 。コメント8を参照してください。
> 2.0
2.0を上回る値であれば有効です。
= 6.0(デフォルト)
体心立法(BCC)材料用
= 8.0
面心立法(FCC)材料用

(実数)

 
Icrit 塑性基準の選択フラグ。
= 0
1に設定
= 1(デフォルト)
Hill 1948
= 2
Barlat 1989。シェル要素でのみ使用できます。
(整数)
 
fct_IDE 有効塑性ひずみに対するヤング率の進展のスケールファクターを定義する関数ID 9

(整数)

 
Einf ヤング率の漸近値

(実数)

[Pa][Pa]
CE ヤング率の有効塑性ひずみ依存性を制御するためのパラメータ

(実数)

 
CKH1CKH1 降伏曲面の移動硬化則に関するパラメータ CC 5

CKH1CKH2CKH1CKH2 の場合は無視します。

(実数)

 

#RADIOSS STARTER
#---1----|----2----|----3----|----4----|----5----|----6----|----7----|----8----|----9----|---10----|
/UNIT/1
unit for mat
                  Mg                  mm                   s
#---1----|----2----|----3----|----4----|----5----|----6----|----7----|----8----|----9----|---10----|
#-  2. MATERIALS:
#---1----|----2----|----3----|----4----|----5----|----6----|----7----|----8----|----9----|---10----|
/MAT/LAW78/1/1
DP600-HDG
#              RHO_I
              7.8E-9
#                  E                  NU
              206000                  .3
#                  Y                   B                C2KH                   H                  B0
                 420                 112                 200                   0                 555
#                  m                RSAT      OPTR                  C1                  C2
                  12                 190         0                   1                   1
#                 R0                 R45                 R90                Mexp     Icrit
                   1                   1                   1
#  Fct_IDE                          EINF                  CE                C1KH
         0                        163000                  50                   0
#---1----|----2----|----3----|----4----|----5----|----6----|----7----|----8----|----9----|---10----|
#ENDDATA
/END
#---1----|----2----|----3----|----4----|----5----|----6----|----7----|----8----|----9----|---10----|

コメント

  1. ソリッド要素ではvon Mises降伏基準が用いられ、その降伏関数は次のように表されます:(1)
    f=32(sα):(sα)Y2
    シェル要素ではHill(1948)またはBarlat(1989)の降伏基準を使用します。これによって、異方性材料をモデル化できます。
    • Hillの基準は次の式で表すことができます。(2)
      f=φ(σα)Y2
      ここで、
      Y
      降伏応力。
      α
      全逆応力。
      A=σα ,であれば、 φ は次のようになります。(3)
      φ(A)=A2xx2r01+r0AxxAyy+r0(1+r90)r90(1+r0)A2yy+r0+r90r90(1+r0)(2r45+1)A2xy
    • Barlatの基準は次の式で表すことができます。(4)
      f=ϕ(σα)2YM

      M はBarlatの降伏基準の指数部です。

      ϕ は次のように記述できます。(5)
      ϕ(A)=a|K1+K2|M+ a|K1K2|M+c|2K2|M

      ここで、

      K1= Axx+hAyy2 および K2=(AxxhAyy2)2+p2A2xy となります。

      a c 、および h の各パラメータはランクフォード係数から算出されます。

      a=22r001+r00 r901+r90 c=2a h= r001+r00 1+r90r90 

      パラメータ p は次の式を解くことで求めることができます。(6)
      2MYM(fAxx+ fAyy)σ451r45=0
  2. 降伏応力、ポアソン比、およびヤング率は真に正にする必要があります。その他のパラメータは非負値にする必要があります。
  3. 2曲面モデルの慨略図を図 1に示します。
    ここで、0は降伏曲面の元の中心であり、中心 α と半径Yを持つ降伏曲面がB+Rによって指定されたサイズと中心の位置を示すテンソル β を持つ境界曲面内部を運動学的に移動しています。

    law78_2-surface_model
    図 1. 2曲面モデルの概略図
  4. 降伏曲面は移動硬化を受けます。その移動は以下の式の α* により記述されます:
    • シェル要素に対して(7)
      ˙α*=C[(aY)(σα)aα*α*]˙ˉεp
    • ソリッド要素に対して(8)
      ˙α*=C[(23)a˙εpaα*α*˙ˉεP]
    ここで、
    ˙ˉεp
    相当塑性ひずみ速度
    Cおよびa
    材料パラメータおよび a=B+RY
    α=α*+β
    全逆応力
    注: 2次(HillまたはBarlatで M = 2.0を使用)および等方性基準( r00= r45=r90=1 )の場合、シェルの運動方程式はソリッドの運動方程式に等しくなります。
  5. 移動硬化則に関するパラメータ C は、順方向および逆方向の変形の加工硬化速度の変化を記述するために2つの異なる値を取ることができます。
    • CKH1>CKH2 の場合、 {C=CKH1ifMax(α*)<BYC=CKH2otherwise
    • CKH1CKH2 の場合、加工硬化速度の変化は無効になり、 C=CKH2 になります。
  6. 境界曲面は等方-移動硬化を受けます。等方硬化の進展の式は:
    ˙R=m(RsatR)˙ˉεp
    デフォルト(OptR = 0の場合)のYoshidaの表現
    R=Rsat[(C1+ˉεp)C2CC21]
    OptR = 1の場合、シェル要素でのみ使用可能
    境界曲面の移動硬化の進展の式は:
    • シェル要素に対して:(9)
      ˙β=m[(bY)(σα)β]˙ˉεp
    • ソリッド要素に対して:(10)
      ˙β=m(23b˙εpβ˙ˉεp)
    注: 2次(HillまたはBarlatでMexp = 2を使用)および等方性基準( r00= r45=r90=1 )の場合、シェルの移動硬化方程式はソリッドの移動硬化方程式に等しくなります。
  7. 除荷の間の加工硬化の停滞はJ2-タイプの曲面 gσ を半径rと中心qを用いて表現されます:(11)
    gσ(β,q,r)=32(βq):(βq)r2˙q=μ(βq)r=h˙Γ,˙Γ3(βq):˙β2r
    ここで、
    h(0<h1)
    曲面 gσ の膨張速度を決定する材料パラメータを示します。
    β
    曲面 gσ の内側か曲面上です。
  8. Barlatの降伏基準(1989)の指数部は、材料の微細構造を考慮することによって設定できます。2.0を上回る値であれば有効ですが、一般的には次のように設定します。
    • Mexp = 6.0(デフォルト): 体心立法(BCC)材料の場合
    • Mexp = 8.0: 面心立法(FCC)材料の場合
  9. ヤング率の進展:
    • fct_IDE > 0であれば、この曲線は等価な塑性ひずみによるヤング率の進展に対するスケールファクターを定義します。これは、関数 f(ˉεp) によって以下のようにヤング率がスケーリングされることを意味します:
      • E(t)=Ef(ˉεp)

      このスケールファクターの初期値は1で、この値から減少していきます。

    • fct_IDE = 0の場合、ヤング率は次のように計算されます:(12)
      E(t)=E(EEinf)[1exp(CEˉεp)]
      ここで、
      E および Einf
      それぞれ初期と漸近するヤング率の値。
      ˉεp
      累積の相当塑性ひずみ。
      注: fct_IDE = 0CE = 0の場合、ヤング率Eが一定になります。
  10. この材料則は陰解法解析では利用できません。