/MAT/LAW43 (HILL_TAB)

ブロックフォーマットのキーワード この材料則は、Hill直交異方性材料を記述します。これは、シェル要素にのみ適用可能です。この材料則とLAW32(HILL)の違いは、降伏応力の入力方法のみです(この材料則ではユーザー関数で定義します)。

フォーマット

(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10)
/MAT/LAW43/mat_ID/unit_IDまたは/MAT/HILL_TAB/mat_ID/unit_ID
mat_title
ρ i                
E ν            
fct_IDE   Einf CE        
r00 r45 r90 Chard Iyield0  
εpmax εt εm Fcut Fsmooth  
1行につき各塑性関数
(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10)
fct_IDi   Fscalei ε ˙ i        

定義

フィールド 内容 SI単位の例
mat_ID 材料識別子

(整数、最大10桁)

 
unit_ID 単位識別子

(整数、最大10桁)

 
mat_title 材料のタイトル

(文字、最大100文字)

 
ρ i 初期密度

(実数)

[ kg m 3 ]
E ヤング率

(実数)

[ Pa ]
ν ポアソン比

(実数)

 
fct_IDE ヤング率のスケールファクターの関数ID(ヤング率が塑性ひずみの関数である場合) 12

デフォルト = 0: この場合はヤング率の進展はEinfおよびCEに応じて決まります。

(整数)

 
Einf 無限の塑性ひずみに対する飽和ヤング率

(実数)

[ Pa ]
CE ヤング率進展のパラメータ 12

(実数)

 
r00 0°のランクフォードパラメータ 3

デフォルト = 1.0(実数)

 
r45 45°のランクフォードパラメータ

デフォルト = 1.0(実数)

 
r90 90°のランクフォードパラメータ

デフォルト = 1.0(実数)

 
Chard 硬化係数。
= 0
硬化は完全等方性モデルです。
= 1
硬化は運動学的Prager-Zieglerモデルです。
= 01の値
硬化は2つのモデル間で補間されます。

(実数)

 
Iyield0 降伏応力フラグ
= 0
平均降伏応力入力
= 1
直交方向1の降伏応力

(整数)

 
ε p m a x 破壊塑性ひずみ。

デフォルト = 1.0 × 1030(実数)

 
ε t 応力が減少し始める引張破壊ひずみ。

デフォルト = 1.0 × 1030(実数)

 
ε m 要素内の応力が0に設定される最大引張破壊ひずみ

デフォルト = 2.0 × 1030(実数)

 
Fcut ひずみ速度フィルタリングのカットオフ周波数。

(実数)

[Hz]
Fsmooth ひずみ速度スムージングオプションフラグ。
= 0(デフォルト)
ひずみ速度を平滑化しません。
= 1
ひずみ速度スムージングはアクティブ。

(整数)

 
fct_IDi 塑性曲線のi番目の関数の識別子

(整数)

 
Fscalei i番目の関数のスケールファクター

デフォルトは1.0に設定されます(実数)

 
ε ˙ i i番目の関数のひずみ速度

(実数)

[ 1 s ]

例(金属)

#RADIOSS STARTER
#---1----|----2----|----3----|----4----|----5----|----6----|----7----|----8----|----9----|---10----|
/UNIT/1
unit for mat
                  Mg                  mm                   s
#---1----|----2----|----3----|----4----|----5----|----6----|----7----|----8----|----9----|---10----|
#-  2. MATERIALS:
#---1----|----2----|----3----|----4----|----5----|----6----|----7----|----8----|----9----|---10----|
/MAT/HILL_TAB/1/1
metal
#              RHO_I
             7.8E-09      
#                  E                  NU
              206000                  .3
#FUNCT_IDE                          EINF                  CE
         0                             0                   0	 
#                r00                 r45                 r90              C_hard   Iyield0
                1.73                1.34                2.24                   0         0
#           EPSP_max              EPS_t1               EPS_m                Fcut   Fsmooth
                   0                   0                   0               15000         1
# func_IDi                      Fscale_i           EPS_dot_i
         5                             0                   0                                        
#---1----|----2----|----3----|----4----|----5----|----6----|----7----|----8----|----9----|---10----|
#-  3. FUNCTIONS:
#---1----|----2----|----3----|----4----|----5----|----6----|----7----|----8----|----9----|---10----|
/FUNCT/5
metal
#                  X                   Y
                   0                 260
                .002                 270
                .005                 280
                 .01                 297
                 .02                 322
                 .05                 370
                  .1                 422
                 .15                 457
                  .2                 485
                  .3                 528
#---1----|----2----|----3----|----4----|----5----|----6----|----7----|----8----|----9----|---10----|
#ENDDATA
/END
#---1----|----2----|----3----|----4----|----5----|----6----|----7----|----8----|----9----|---10----|

コメント

  1. この材料則は、プロパティセット/PROP/TYPE9(SH_ORTH)または/PROP/TYPE10(SH_COMP)と共に使用する必要があります。
  2. 降伏応力はユーザー関数で定義し、次の等価応力と比較されます:(1)
    σ e q = A 1 σ 1 2 + A 2 σ 2 2 A 3 σ 1 σ 2 + A 12 σ 12 2
  3. ランクフォードパラメータの角度は、直交異方性方向1に対して定義されます。(2)
    R = r 00 + 2 r 45 + r 90 4 H = R 1 + R A 1 = H ( 1 + 1 r 00 ) A 2 = H ( 1 + 1 r 90 ) A 3 = 2 H A 12 = 2 H ( r 45 + 0.5 ) ( 1 r 00 + 1 r 90 ) r 00 = A 3 2 A 1 A 3 r 45 = 1 2 ( A 12 A 1 + A 2 A 3 1 ) r 90 = A 3 2 A 2 A 3

    ランクフォードパラメータraは、面内の塑性ひずみと厚み方向の塑性ひずみ ε 33 との比率です。

    (3)
    r α = d ε α + π / 2 d ε 33

    ここで、αは、直交異方性方向1に対して成す角度です。

    このランクフォードパラメータraは、角度で実施する簡易な引張試験によって特定できます。

    Rの大きな値は、成形性に優れていることを意味します。

  4. 最初の(静的)関数の最後のポイントの応力が0に等しい場合、 ε p m a x のデフォルト値は ε p の対応値に設定されます。
  5. 要素の削除:
    • ε p (塑性ひずみ)が1つの積分点で ε p m a x に到達すると要素が削除されます。
    • ε 1 ε t に到達すると、応力は次の関係式に従って減少します: (4)
      σ = σ ( ε m ε 1 ε m ε t )
    • ε 1 (最大主ひずみ)が ε m ε 1 > ε m )に到達すると、要素の応力は0に減少します(ただし、要素は削除されません)。
    • ε 1 (最大主ひずみ)が ε f (最大引張破壊ひずみ)に達した場合、その要素は削除されます。
  6. 入力可能な曲線の最大数は10です。
  7. ε ˙ ε ˙ n の場合、降伏は f n f n 1 の間で補間されます。
  8. ε ˙ ε ˙ 1 の場合、関数 f 1 が使用されます。
  9. ε ˙ max を超えた場合、降伏は外挿されます。

    mat_law43_yield
    図 1.
  10. ラジアルリターンは使用できません(反復塑性のみ)。
  11. 降伏応力が直交方向1で取得された場合は、Iyield0 =1を定義します。そうでない場合は、Iyield0=0を定義します。
  12. ヤング率の進展:
    • fct_IDE > 0であれば、この曲線は等価な塑性ひずみ ε ¯ p によるヤング率の進展に対するスケールファクターを定義します。これは、関数 f ( ε ¯ p ) によって以下のようにヤング率がスケーリングされることを意味します:(5)
      E ( t ) = f ( ε ¯ p ) E

      このスケールファクターの初期値は1で、この値から減少していきます。

    • fct_IDE = 0の場合、ヤング率は次のように計算されます:(6)
      E ( t ) = E ( E E inf ) ( 1 exp ( C E ε ¯ p ) )

      ここで、 E E inf はそれぞれ初期と漸近するヤング率の値で、 ε ¯ p は累積の相当塑性ひずみです。

      注:

      fct_IDE = 0CE = 0の場合、ヤング率Eが一定になります。

  13. パラメータFsmoothFcutは、ひずみ速度のフィルタリングを可能にします。3つのケースが設定できます:
    • Fsmooth = 0 + Fcut = 0.0の場合、ひずみ速度フィルタリングはオフ。
    • Fsmooth = 1 + Fcut = 0.0の場合、ひずみ速度フィルタリングは、デフォルトのカットオフ周波数10 kHzを使用。
    • Fcut ≠ 0, Fsmoothの場合、自動的に1に設定され、ひずみ速度フィルタリングは、指定されたカットオフ周波数を使用。