MotionSolve ベアリングAPIステートメントは、解析ベアリング要素のモデル化を支援します。
ベアリングは、ギアボックス、エンジン、ロボットアームなど、ほぼすべてのメカニズムに関与しています。従来のマルチボディダイナミクスでは、ベアリングが、しばしば、回転ジョイントやブッシングなどの運動学的拘束によって簡略化されます。運動学的拘束は、拘束冗長性につながり、結果的に一部の拘束が解除される可能性があります。メカニズムのキネマティクスは保たれますが、ベアリング間の荷重分布が誤って表現されます。同様の問題が、ベアリングが線形ブッシングによって表現される場合に発生する可能性があります。これは、ベアリングのコンプライアンスが非線形であるためです。代わりに、ベアリングは、軌道と転動体がお互いに接触している剛体または弾性体で表現されるマルチボディサブシステムを使って表現できます。ただし、このようなサブシステムは、特に、メカニズム内のベアリングの数が多すぎる場合に計算効率が悪くなります。この欠点を克服するために、
MotionSolve には、システム解析用に特別に設計されたベアリング部品が含まれています。つまり、ベアリングの非線形コンプライアンスを正確に再現するように設計されていますが、高い計算性能のニーズを満たすために十分簡略化されています。ベアリング部品に必要なものは、多くのベアリングカタログで見かけるシンプルなユーザー入力だけです。この結果を使用して、ベアリング荷重とその平均寿命を調査します。ベアリング部品は、
MotionSolve API上で開発されます。ベアリングのライブラリは、現在、以下のベアリングタイプをサポートしています:
アンギュラコンタクトボールベアリング
円筒ローラーベアリング
深溝ボールベアリング
球面ローラーベアリング
テーパーローラーベアリング
各ベアリングは、剛体として定義された内軌道と外軌道で構成されます。どちらの軌道も軌道間のボール / ローラーを表す非線形スプリングダンパシステムによって互いに接続されます。スプリングダンパシステムは、点接触(ボール)用のヘルツアプローチと線接触(ローラー)用のパルムグレン式を使用して解析的に定義されます。その剛性と減衰特性は、軌道間の相対位置と相対速度によって異なります。初期静止位置では、内輪 / 外輪の局所z軸がシャフトの方向を指し、局所フレームの原点が質量の中心になります。
図 1. 解析ベアリングの説明
ベアリングのケージと転動体は、1つの剛体として含まれています。その質量と慣性は、転動体のジオメトリを使用して近似されます。この剛体は、ベアリングの総重量を見積もり、ローラーの回転を可視化するのに役立ちます。
機械ベアリングの入力引数のほとんどは、ベアリングOEMから提供されているカタログや表から抽出できます。内部ジオメトリパラメータのすべてがこれらの表に記載されているとは限らないため、OEMから提供されているCADジオメトリファイルから抽出する必要があります。
注: CADファイルは、ベアリングの本当のジオメトリを正確にキャプチャしていない可能性があります。しかし、ほとんどの場合、CADファイルはベアリングモデルの十分な出発点になり得ます。
OEMのオンライン計算機を使用すれば、ベアリング潤滑油のタイプや粘着性などの必要なパラメータの多くを抽出したり、摩擦トルク計算に使用される計算係数を抽出したりできます。