PRSPENE

バルクデータエントリ 接触インターフェース上のサーフェスに浸透する流体をシミュレートできる圧力浸透荷重を設定します。

フォーマット

(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10)
PRSPENE SID CTID SPDIR MPDIR TRMP        
+ P1 PCRT1 SG1/SSET1 FSSET1 MG1/MSET1 FMSET1      
+ P2 PCRT2 SG2/SSET2 FSSET2 MG2/MSET2 FMSET2      
+ etc.                

定義

フィールド 内容 SI単位の例
SID 荷重セットの識別番号。

デフォルトなし(整数 > 0)

 
CTID 圧力浸透荷重の適用対象とする接触インターフェースの識別番号。

デフォルトなし(整数 > 0)

 
SPDIR セカンダリサーフェスに適用する圧力の方向。シェル要素で構成されたセカンダリサーフェスにのみ適用されます。このフラグの設定に関係なく、ソリッド要素上に設定したセカンダリサーフェスには、必ず内向きの圧力が適用されます(要素のフェイスに垂直なデフォルトベクトルとは逆方向の圧力)。
REVNORM(デフォルト)
接触力をセカンダリサーフェスに対するデフォルトベクトル法線と反対の向きにします。
NORM
接触力をセカンダリサーフェスに対するベクトル法線の向きにします。

(文字)

 
MPDIR メインサーフェスに適用する圧力の方向。シェル要素で構成されたメインサーフェスにのみ適用されます。このフラグの設定に関係なく、ソリッド要素上に設定したメインサーフェスには、必ず内向きの圧力が適用されます(要素のフェイスに垂直なデフォルトベクトルとは逆方向の圧力)。
REVNORM(デフォルト)
接触力をメインサーフェスに対するデフォルトベクトル法線と反対の向きにします。
NORM
接触力をメインサーフェスに対するベクトル法線の向きにします。

(文字)

 
TRMP 新たな浸透領域に対する圧力が現在の通常荷重レベルまで増加するために要する時間。 6

デフォルト = 0.001(0.0 < 実数 ≤ 1.0)

 
Pi 圧力プールの大きさ。

デフォルトなし(実数 > 0.0)

 
PCRTi 法線方向接触圧力の臨界値。法線方向接触圧力がこの値を下回っていれば流体が浸透できます。

デフォルト = 0.0(実数 > 0.0)

 
SGi/SSETi
SGi
流体圧力の浸透が始まる場所であるセカンダリサーフェス上で、その流体に最初にさらされる節点の識別番号。 2
SSETi
流体圧力の浸透が始まる場所であるセカンダリサーフェス上で、その流体に最初にさらされる複数節点のSETの識別情報。この場合は、FMSETフィールドを指定する必要があります。

デフォルトなし(整数 > 0)

 
FSSETi SGi/SSETiフィールドがSETまたは節点のどちらとして認識されるかを指定するフラグ。
GSET
SGi/SSETiフィールドは節点のSETとして認識されます。
空白(デフォルト)
SGi/SSETiフィールドは節点として認識されます。

(文字)

 
MGi/MSETi
MGi
流体圧力の浸透が始まる場所であるメインサーフェス上で、その流体に最初にさらされる節点の識別番号。 2
MSETi
流体圧力の浸透が始まる場所であるメインサーフェス上で、その流体に最初にさらされる複数節点のSETの識別情報。この場合は、FMSETフィールドを指定する必要があります。
空白(デフォルト)
メインサーフェス上のどの節点も初期ポイントとして指定されません。

(空白または1以上の整数を指定)

 
FMSETi MGi/MSETiフィールドがSETまたは節点のどちらとして認識されるかを指定するフラグ。
GSET
MGi/MSETiフィールドは節点のSETとして認識されます。
空白(デフォルト)
MGi/MSETiフィールドは節点として認識されます。

(文字)

 

コメント

  1. 圧力浸透荷重を使用して、接触インターフェースのサーフェス上に広がっている流体圧力の挙動をシミュレートできます。
  2. セカンダリ節点ベースの広がり手法を採用しているので、セカンダリサーフェス上で隣接する領域に流体圧力が浸透できます。この浸透は、SGi/SSETiフィールドで指定した初期節点を起点として広がり、PCRTiで指定した臨界値よりも法線方向接触圧力が大きくなる領域でブロックされるまで続きます。障害物および浸透を受けている節点の幾何学的形状パターンをセカンダリサーフェスからメインサーフェスに投影することで、セカンダリサーフェスの状態に応じてメインサーフェス側で圧力荷重が適用されます。セカンダリサーフェスからの投影がないものの、圧力の適用対象と想定される領域がメインサーフェス上に存在することも考えられます。その場合は、オプションのMGi/MSSETiフィールドを使用して、メインサーフェス上の初期圧力プールプロパティを追加の入力として指定できます。
  3. 結合している複数の節点のグループが障害物によって分断されている場合、分断によって発生した複数のグループを別々の圧力プールとして認識できます。各プールに対応する継続行ごとに、初期圧力プールのプロパティ(初期節点、圧力の大きさ、臨界接触圧力)を設定します。それぞれ異なるプールプロパティを設定した複数の初期節点を複数の継続行に記述できます。流体浸透の段階で、これらのプールは結合され、また分割されます。異なるプロパティを設定した複数のプールが結合すると、それらのプールの中で最大の流体の大きさと最大の臨界接触圧力値が結合後のプールに割り当てられます。
  4. 圧力浸透荷重は、非線形荷重が一定の増分で増加し始めるときに更新され、その増分が反復されている間は一定に保持されます。
  5. 接触インターフェース上のメインサーフェス側とセカンダリサーフェス側を、複数のサーフェスまたは複数の要素SETとして定義する必要があります。圧力浸透荷重では自己接触はサポートされていません。FREEZEタイプの接触インターフェースはサポートされていません。
  6. 圧力浸透荷重が適用されている節点では、そこに適用している外力が頻繁に変化することがあります。TRMPフィールドでは、接触状態の変化に伴う圧力の増減に要する時間を、サブケースの時間全体に対する比率として制御します。 は、LOADサブケース情報エントリで参照されているPRSPENEが適用されている節点で見た荷重の増減曲線を、通常のLOADの増減曲線と対比して例示しています。この例では、2つの連続する非線形静的サブケースにわたって、節点での浸透状態が3回変化しています。また、PRSPENEDLOAD/TLOADiで参照でき、TRMPフィールドも同様に有効です。


    図 1. 圧力浸透荷重が適用されている節点で見た荷重の増減曲線例
  7. 圧力荷重と同様に、PRSPENETLOADxエントリで参照できます。
  8. PRSPENEは、次の解析タイプでサポートされています:
    • 線形静解析(TYPE=SLIDEの場合のみ)
    • 非線形静解析(微小変位と大変位)
    • 非線形過渡解析(微小変位と大変位)
  9. 現在のところ、次のケースでは圧力浸透がサポートされていません:
    • 2D(軸対称、平面応力、平面ひずみ)解析
    • 陽解法動解析
    • 自己接触
    • TYPE=FREEZEである接触インターフェース