PCNTX20
バルクデータエントリ 幾何学的非線形解析用のCONTACT面のプロパティTYPE20を定義します。
フォーマット
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PCNTX20 | PID | ISYM | IEDGE | GRNDID | EdgeAngle | ||||
IGAP | IBAG | IDEL | |||||||
FPENMAX | |||||||||
STFAC | FRIC | GAP | TSTART | TEND | |||||
IBC | INACTI | VISS | VISF | ||||||
IFRIC | IFILTR | FFAC | IFORM | ||||||
FRICDAT | C1 | C2 | C3 | C4 | C5 | C6 |
例
(1) | (2) | (3) | (4) | (5) | (6) | (7) | (8) | (9) | (10) |
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PCONT | 34 | ||||||||
PCNTX20 | 34 |
定義
フィールド | 内容 | SI単位の例 |
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PID | 関連するPCONTのプロパティ識別番号。 デフォルトなし(整数 > 0) |
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ISYM | 対称的な接触のフラグ。
SSIDで節点セットを定義している場合、接触は常にメイン-セカンダリ間接触になります。 CONTPRMで定義されているデフォルト(文字) |
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IEDGE | セカンダリサーフェスおよびメインサーフェスからのエッジ生成対象フラグ。
CONTPRMで定義されているデフォルト(文字) |
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GRNDID | オプションの節点グループの識別子。 (整数) |
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EdgeAngle | エッジ角度(IEDGE = FEATの場合にのみ用いられます) デフォルト = 91(実数) 2つのエッジ間の角度がEdgeAngleより小さい場合、そのエッジは考慮されます。 |
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IGAP | ギャップ定義フラグ。
CONTPRMで定義されているデフォルト(文字) |
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IBAG | 接触時のエアバッグベントホール閉鎖フラグ
(整数) |
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IDEL | 節点およびセグメントの削除対象フラグ。
CONTPRMで定義されているデフォルト(整数) |
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FPENMAX | 最大初期貫通係数(0 < FPENMAX < 1) 8 デフォルト = 1.0(実数) |
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STFAC | インターフェース剛性スケールファクター。 CONTPRMで定義されているデフォルト(実数 ≥ 0) |
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FRIC | Coulomb摩擦。 CONTPRMで定義されているデフォルト(実数 ≥ 0) |
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GAP | 衝撃アクティブ化のギャップ。 4 6 CONTPRMで定義されているデフォルト(実数 ≥ 0) |
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TSTART | 開始時間。 デフォルト = 0.0(実数 ≥ 0) |
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TEND | 一時的な非アクティブ化の時間。 デフォルト = 1030(実数 ≥ 0) |
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IBC | セカンダリグリッドセットに適用された衝撃時点での境界条件を非アクティブ化するフラグ。 CONTPRMで定義されているデフォルト(文字 = X、Y、Z、XY、XZ、YZ、またはXYZ) |
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INACTI | 初期貫通の処理対象フラグ。 9
CONTPRMで定義されているデフォルト(整数 = 0、1、2、3、または5) 陽解法解析で有効な値:0, 1, 2, 3および5。 無効なエントリは無視されます。 |
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VISS | インターフェース剛性の臨界減衰係数。 CONTPRMで定義されているデフォルト(実数 ≥ 0) |
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VISF | 接触インターフェース摩擦の臨界減衰係数。 CONTPRMで定義されているデフォルト(実数 ≥ 0) |
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IFRIC | 摩擦定式化フラグ。 10
CONTPRMで定義されているデフォルト(文字) |
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IFILTR | 摩擦フィルタリングフラグ。 11
CONTPRMで定義されているデフォルト(文字) |
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FFAC | 摩擦フィルタリングファクター。 CONTPRMで定義されているデフォルト(実数 = 0.0 ≤ FFAC < 1.0) |
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IFORM | 摩擦ペナルティ定式化のタイプ。 12
CONTPRMで定義されているデフォルト(文字) |
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FRICDAT | 摩擦特性の付加情報が続くことを示します。IFRIC= GEN、DARM、またはRENの時のみ使用可能。 | |
C1、C2、C3、C4、C5、C6 | IFRIC= GEN、DARM、またはRENで可変摩擦係数を定義するための係数。 CONTPRMで定義されているデフォルト(実数 ≥ 0) |
コメント
- プロパティ識別番号は、既存のPCONTバルクデータエントリの番号である必要があります。特定のPCONTに関連付けることができるのは、1つのPCNTX20プロパティ拡張のみです。
- PCNTX20は、ANALYSIS = EXPDYNで定義される幾何学的非線形陽解法動解析サブケースでのみ適用されます。他のすべてのサブケースでは無視されます。
- 幾何学的非線形解析の/INTERエントリでは、PCONTX/PCNTX#エントリでFRICが明示的に定義されていない場合は、CONTACTまたはPCONTエントリのMU1値がFRICに対して使用されます。定義されている場合は、PCONTX/PCNTX#のFRICにより、CONTACT/PCONTのMU1値が上書きされます。
- 陰解法解析では、セカンダリとメインのセットが重なったり(自己接触)、重ならなかったりする接触に対して異なる接触定式化が使用されます。
自己接触の場合、ギャップのゼロはあり得ないため、一定のギャップが使用されます。小さな初期ギャップの場合、GAPの方が初期ギャップよりも大きければ、収束はより安定し、収束までの時間も短縮されます。
陰解法解析では、スケーリングファクターが縮小される(STFAC = 0.01など)剛性や衝撃を受ける厚さが縮小される(剛体の場合)剛性を使用すると、力の不均衡を低減し、収束が向上する場合があります。これは特に、実効剛性が膜剛性よりはるかに小さい構造や、曲げられているシェル構造などで顕著です。ただし、値が小さ過ぎても発散につながる可能性があるので注意してください。
- ISTF ≠ 1の場合、インターフェース剛性Kはメインセグメント剛性Kmやセカンダリセグメント剛性Ksから算出されます。
メイン剛性は、Km = STFAC * B * S * S/V(ソリッドの場合)およびKm = 0.5 * STFAC * E * t(シェルの場合)によって算出されます。
セカンダリ剛性は、Ks = STFAC * B * V-3(ソリッドの場合)とKs = 0.5 * STFAC * E * t(シェルの場合)から算出される等価節点剛性です。
これらの等式において、Bは体積弾性率、Sはセグメント面積、そしてVはソリッド体積です。剛性係数の値に対する制限はありません(ただし、値が1.0より大きいと、初期時間ステップが短くなる場合があります)。
インターフェース剛性は、K = max (STMIN, min (STMAX, K1))と次の式で求められます。- ISTF = 0の場合、K1 = Km
- ISTF = 2の場合、K1 = 0.5 * (Km + Ks)
- ISTF = 3の場合、K1 = max (Km, Ks)
- ISTF = 4の場合、K1 = min (Km, Ks)
- ISTF = 5の場合、K1 = Km * Ks / (Km + Ks)
- 一定のギャップ(IGAP = CONST)のデフォルトは、下記の中で最も小さい値になります。
- t(メインシェル要素の平均板厚)
- l/10(lはメインソリッド要素の辺の平均長)
- lmin/2(lminはすべてのメインセグメント(シェルまたはソリッド)の最も短い辺の長さ)
- 可変ギャップ(IGAP = VAR)は、gs + gmで計算します。ここで:
- gm - 下記のようなメイン要素
gm = t/2(t: メイン要素の厚さ)(シェル要素の場合)
gm = 0(ソリッド要素の場合)
- gs - 下記のようなセカンダリ節点のギャップ:
gs = 0(セカンダリ節点がどの要素にも結合されていないか、ソリッドまたはスプリング要素にのみ結合されている場合)
gs = t/2(tは、セカンダリ節点に結合されているシェル要素の最大厚)
gs = 1/2√S(トラスおよびビーム要素の場合)。Sは要素の断面です。
セカンダリ節点が複数のシェルおよび/またはビームまたはトラスに結合されている場合は、計算された中で最も大きいセカンダリギャップが使用されます。
- gm - 下記のようなメイン要素
- 最大貫通値は、実際のギャップ(可変ギャップを含む)の割合として設定されます。
Penmax = FPENMAX * gap
セカンダリ節点の初期貫通が計算された最大値(Penmax)より大きい場合、その節点はインターフェースで非アクティブとなります(節点剛性の非アクティブ化)。
- INACTI = 3の使用は、初期貫通が小規模な場合にのみ推奨します。また、下記の理由から、その使用には注意が必要です。
- 変更した座標を元に戻すことはできません。
- 接触面に複数のサーフェス層を定義すると、他の初期貫通が発生する可能性があります。
- 節点がスプリング要素に属している場合、初期エネルギーが発生することがあります。INACTI = 5の場合は、下記のようになります。
- IFRICは摩擦モデルを定義します。
IFRIC = COUL - FT ≤ FRIC * FNを伴うCoulomb摩擦。
IFRIC > 0の場合、摩擦係数は関数( )によって設定されます。
ここで、 はメインセグメント上の垂直抗力の圧力、 はセカンダリ節点の接線速度です。
下記の式を使用できます。- IFRIC = 1 - 汎用の粘性摩擦則
(1) - IFRIC = 2 - Darmstad則
(2) - IFRIC = 3 - Renard則
0 ≤ V ≤ C5 C5 ≤ V ≤ C6 C6 ≤ V ここで、(3) - 最初の臨界速度のVcr1は0以外にする必要があります(C5 ≠ 0)。また、2番目の臨界速度Vcr2未満にする必要もあります(C5 < C6)。
- 静止摩擦係数のC1と動摩擦係数のC2は、最大摩擦のC3より小さくする必要があります(C1 < C3かつC2 < C3)。
- 最小摩擦係数C4は静摩擦係数のC1と動摩擦係数のC2より小さくする必要があります(C4 ≤ C1かつC4 ≤ C2)。
- IFRIC = 1 - 汎用の粘性摩擦則
- IFILTRは、摩擦フィルタリング係数を算出する方法を定義します。IFILTR ≠ NOの場合、接線摩擦力はフィルターを使用して下記のようにスムージングされます。
FT = α * F'T + (1 conref="../../bank/solvers_symbols_equations_r_b.dita#reference_xh2_vkk_pw/o2_sym_alpha" id="pcntx20_bulk_r_ph_z5p_lkn_l1b"/>) * F'T-1
ここで、- FT
- 接線力
- F'T
- 時間tにおける接線力
- F'T-1
- 時間t-1における接線力
- α
- フィルタリング係数
IFILTR = SIMP conref="../../bank/solvers_symbols_equations_r_b.dita#reference_xh2_vkk_pw/o2_sym_alpha" id="pcntx20_bulk_r_ph_jwp_jkn_l1b"/> = FFAC
IFILTR = PER conref="../../bank/solvers_symbols_equations_r_b.dita#reference_xh2_vkk_pw/o2_sym_alpha" id="pcntx20_bulk_r_ph_ubz_jkn_l1b"/> = 2π dt/FFAC、ここで、dt/T = FFAC, T はフィルタリング時間
IFILTR = CUTF conref="../../bank/solvers_symbols_equations_r_b.dita#reference_xh2_vkk_pw/o2_sym_alpha" id="pcntx20_bulk_r_ph_jyd_kkn_l1b"/> = 2π * FFAC * dt、ここで、FFACはカットオフ周波数
- IFORMは、2種類の接触摩擦ペナルティ定式化を選択します。
粘性(合計)の定式化(IFORM = VISC)では、接着力は下記のように算出されます。
Fadh = VISF * √(2KM) * VT
FT = min ( FN, Fadh)
剛性(増分)の定式化(IFORM = STIFF)では、接着力は下記のように算出されます。
Fadh = FTold + ΔFT
ΔFT = K * VT * dt
FTnew = min ( FN, Fadh)
- このカードは、HyperMesh内のPCONTプロパティの拡張として表現されます。