PCOMPG

バルクデータエントリ 複合積層材材料の構造とプロパティを定義し、グローバルプライの識別を可能にします。

フォーマット

(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10)
PCOMPG PID Z0 NSM SB FT TREF GE LAM  
  GPLYID1 MID1 T1 THETA1 SOUT1        
  GPLYID2 MID2 T2 THETA2 SOUT2        
  同様 同様 同様 同様 同様        
  DS NRPT              
  EXPLICIT ISOPE HGID NIP          

(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) (9) (10)
PCOMP 100 -0.5   1.E5 STRN 100.      
  101 120 0.2 0.0 YES        
  2 120 0.6 0.0 NO        
  103 120 0.2 0.0 YES        
  1.0                
  EXPLICIT BWC 100 5          

定義

フィールド 内容 SI単位の例
PID 固有の複合材プロパティ識別。
整数
このプロパティの識別番号を指定します。
<文字列>
このプロパティのユーザー定義の文字列ラベルを指定します。 1

デフォルトなし(整数 > 0、または<文字列>)

 
Z0 実数または文字入力(Top/Bottom)
実数
シェル要素基準面からシェルの底面までの距離を表します。

(デフォルト = -0.5 * Thick。Thickは複合材の全板厚となります (実数または空白))。

文字入力 18

 
NSM 単位面積あたりの非構造質量。

デフォルトなし(実数)。

 
SB 許容可能な層間せん断応力(結合材内部のせん断応力)。空白または0.0の場合は無視されます。

デフォルトなし(実数 ≥ 0.0)

 
FT
破壊理論コード。空白の場合、破壊計算は実行されません。以下の破壊理論コードがサポートされています:
HILL
Hill理論
HOFF
Hoffman理論
TSAI
Tsai-Wu理論
STRN
最大ひずみ理論
STRS
最大応力理論
HASH
Hashin基準
PUCK
Puck破壊基準

右記のコメントをご参照ください; 14 15 16 19

デフォルト = 破壊計算は実行されません。

 
TREF 参照(応力なし)温度。 2

デフォルト = 0.0(実数)

 
GE 減衰係数。 10 11
USEMAT
プライ材料データのGEを使用して減衰を計算します。

デフォルト = 0.0(実数)

 
LAM
積層構成オプション。空白の場合は、すべてのプライを指定する必要があり、すべての剛性項が展開されます。以下のオプションがサポートされています:
SYM
複合材レイアップの下半分のプライのみを指定する必要があります。これらプライは、複合材の上半分に自動的かつ対称的に反映され、下から上に向かって連続した番号が割り当てられます。
MEM
すべてのプライの指定が必要ですが、面内項MID1のみ展開されます。Z0 は無視されます(-0.5 * 板厚と仮定)。
BEND
すべてのプライを指定する必要がありますが、曲げ項MID2のみ展開されます。Z0 は無視されます(-0.5 * 板厚と仮定)。
SMEAR
すべてのプライの指定が必要であり、積層順序は無視され、MID1は算出された等価PSHELL上のMID2と等しくなるように設定されますが、MID3MID4、TS/T、および12I/T**3は空白に設定されます。Z0 は無視されます(-0.5 * 板厚と仮定)。
SMEARZ0
全てのプライが指定される必要があります。積層順序は無視されます。均質化された(混ぜ合わされた)材料の生成で積層はなお考慮されるため、オフセットZ0の効果は考慮されます。したがって、Z0 ≠ -0.5 * Thickの場合、等価なPSHELLMID1MID2MID4を含みます。横せん断変形は考慮されないため、MID3は空白のままです。
SMCORE
すべてのプライの指定が必要です。最後のプライはコアのプロパティを指定し、それより前のプライはフェイスシートのプロパティを指定します。フェイスシートのプロパティは、積層順序に関係なく計算されます。その後で、フェイスシート全体の厚みの半分がコアの上に配置され、残りの半分が下に配置され、対称積層板が形成されます。コアの剛性は無視されますが、その密度は慣性計算で考慮されます。Z0 は無視されます(-0.5 * 板厚と仮定)。
SYMEM
複合材レイアップの下半分のプライのみを指定する必要があります。これらプライは、複合材の上半分に自動的かつ対称的に反映され、下から上に向かって連続した番号が割り当てられます。全積層板の膜項のみ展開されます。Z0 は無視されます(-0.5 * 板厚と仮定)。
SYBEND
複合材レイアップの下半分のプライのみを指定する必要があります。これらプライは、複合材の上半分に自動的かつ対称的に反映され、下から上に向かって連続した番号が割り当てられます。全積層板の曲げ項のみ展開されます。Z0 は無視されます(-0.5 * 板厚と仮定)。
SYSMEAR
複合材レイアップの下半分のプライのみを指定する必要があります。これらプライは、複合材の上半分に自動的かつ対称的に反映され、下から上に向かって連続した番号が割り当てられます。積層順序は無視され、MID1は算出された等価PSHELL上のMID2と等しくなるように設定されますが、MID3MID4、TS/T、および12I/T**3は空白に設定されます。Z0 は無視されます(-0.5 * 板厚と仮定)。

デフォルト = 空白。すべてのプライの指定が必要です。

 
GPLYID# グローバルプライ識別番号。 12

デフォルトなし(整数 > 0)

 
MID# 個別プライの材料ID。各プライは、最下層の1から順に連続した番号を割り当てられることによって識別されます。MIDは、MAT1MAT2MAT4MAT5、またはMAT8バルクデータエントリを参照する必要があります。MID#が指定されていない場合、デフォルトは最後に定義されたMID#になります。

デフォルト = 最後に定義されたMID#(整数 > 0または空白。ただし、MID1は指定する必要があります)

 
T# 個別プライの厚み。T#が指定されていない場合、デフォルトは最後に定義されたT#になります。

デフォルト = 最後に定義されたT#(実数 ≥ 0.0または空白。ただし、T1は指定する必要があります)

 
THETA# 指定の要素に関連付けられた材料座標系のX軸に対する各プライの長手方向の配向角(単位=度)。要素の材料座標系が指定されていない場合は、その要素の側面1-2を基準に角度が測定されます。

デフォルト = 0.0(実数または空白)

 
SOUT# 個別プライの応力および破壊指数の出力要求。 3 4
NO(デフォルト)
YES
 
DS 設計スイッチ。ゼロ以外(1.0)の場合、このPCOMPデータに関連付けられた要素はトポロジー設計体積または空間に含まれます。

デフォルト = 空白(実数 = 1.0または空白)

 
NRPT 積層材の繰り返し回数 20

デフォルト = 空白(整数 > 0、または空白)

 
EXPLICIT 陽解法解析のパラメータが次に続くことを示すフラグ。  
ISOPE 陽解法解析の要素定式化フラグ。 21 22 23
BT
Belytschko-Tsay。
BWC(陽解法解析の4節点のCQUAD4要素ではデフォルト)
完全投影によるBelytschko-Wong-Chiang。
空白
 
HGID アワグラス制御の識別番号(HOURGLS)のエントリ。 24 25

デフォルト = 空白(整数 > 0)

 
NIP 板厚方向のガウス点の数。

デフォルト = 3 (1 ≤ 整数 ≤ 10)

 

コメント

  1. 文字列によるラベルを使用すると、他のカードで参照する際などに、プロパティを識別しやすくなります(たとえば、要素のPIDフィールド)。詳細については、Bulk Data Input File内の文字列ラベルベースの入力ファイルをご参照ください。
  2. PCOMPGエントリ上で指定されたTREFは、個別のプライ材料に対して指定された参照温度を無効にします。PCOMPGカード上でTREFが指定されていない(空白)場合、すべてのプライ材料は同じ参照温度を持つ必要があります。
  3. SOUTiを有効にするには、入力デックの入出力オプションセクションでCSTRESSを要求する必要があります。均質化された複合材プロパティに基づくシェルの応力およびひずみに加えて、個別プライの結果が得られます。
  4. プライ結果と共に使用可能な追加情報は、“要素の破壊指数”です。これは、この要素内の個別プライの最大破壊指数です。この最大値の評価では、SOUTiYESに設定されたプライのみが考慮されます。
  5. すべてのプライでゼロ横せん断係数(MAT8カード上のG1ZG2ZMAT1の等方性GMAT2では使用不可)が指定されている場合は、面内せん断率を使用して複合材の横せん断剛性を決定します。
    注: 横せん断率にゼロ以外の値が指定されている層が1つでもある場合、この代用は行われず、ユーザー指定の値がすべてのプライに対して使用されます。
  6. 圧縮と引張(MAT1STSCMAT8XtXcなど)の応力限界に対して指定された符号には意味がありません。絶対値が取られ、破壊指数の計算に適切な状況下で使用されます。
  7. オフセット(Z0 ≠ 0.5 * 厚み)を持つ複合材の場合、シェルの底面と上面のサーフェスにおけるシェル応力の正確な値が算出されます。
    注: これらのシェル応力は、均質化されたシェルプロパティを使用して計算されるため、慎重に解釈する必要があります。
  8. PCOMPGデータを参照する要素のGRID厚みは定義できません。
  9. プライは、要素の法線方向に対して底面サーフェスから上方向にリストされます。


    図 1. 非対称積層板の積層順序
  10. PCOMPエントリ上でGEが実数として指定されている場合、これを要素に使用するため、個別プライの材料エントリ上の値は無視されます。このフィールドにUSEMATを指定すると、複合材の減衰マトリックスの計算には、プライ材料データの係数GEが使用されます。一般的に、これらのマトリックスは膜、曲げ、およびせん断の状態によって異なります。
  11. 減衰係数GEを取得するには、臨界減衰率の C / C 0 MathType@MTEF@5@5@+= feaagKart1ev2aaatCvAUfeBSjuyZL2yd9gzLbvyNv2CaerbuLwBLn hiov2DGi1BTfMBaeXatLxBI9gBaerbd9wDYLwzYbItLDharqqtubsr 4rNCHbGeaGqiVu0Je9sqqrpepC0xbbL8F4rqqrFfpeea0xe9Lq=Jc9 vqaqpepm0xbba9pwe9Q8fs0=yqaqpepae9pg0FirpepeKkFr0xfr=x fr=xb9adbaqaaeGaciGaaiaabeqaamaabaabaaGcbaGaam4qaiaac+ cacaWGdbWaaSbaaSqaaiaaicdaaeqaaaaa@391F@ に2.0を掛けます。
  12. グローバルプライ識別番号は、エントリ内の他のプライも含めた中で固有である必要があります。
  13. 便宜上、SMEARオプションとSMCOREオプションの要素出力には、均質化されたシェル応力と個別プライの応力の両方が含まれます。ただし、これらのオプションでは積層順序が無視されるため、個別プライの応力は純粋な膜変形でのみ有効になります。
  14. Hillの破壊理論では、圧縮強度と引張強度は区別されません。それぞれの強度限界の許容値は異なりますが、この基準が使用されている場合は、XtXcと等しく設定し、YtYcと等しく設定することが推奨されます。XtXcは、材料のX主方向における許容可能な引張応力と圧縮応力です。YtYcは、材料のY主方向における許容可能な引張応力と圧縮応力です。
  15. 最大ひずみ理論による破壊インデックスの計算は全ひずみではなく、ひずみの機械成分のみに基づきます。これはそれぞれのプライでの実際の損傷への寄与は機械ひずみのみのためです(純熱膨張は損傷効果を生み出しません)。
  16. 公式により、いくつかの破壊規準(例えば、Tsai-WuとHoffman)は問題によっては負の破壊を起こすことがあります。
  17. PARAM, SRCOMPS,YESが入力ファイルに追加されている場合、破壊指数が要求された複合材要素に対して、指定された破壊理論に関する強度比が出力されます。
  18. Z0フィールドでは、以下の2つのフォーマットを使用可能です:

    実数:

    シェル要素基準面からシェルの底面までの距離を表します(デフォルト = -0.5 * Thick。Thickは複合材の全板厚となります (実数または空白))。

    サーフェス:

    Top:

    シェル基準面、節点によって定義された平面、およびシェルの上面は同一平面上にあります。

    これにより、有効な“実数”のZ0値は複合材の全板厚と等しくなります(-1.0 * Thick)。図 2をご参照ください。


    図 2. Z0のTopオプション

    Bottom:

    シェル基準面、節点によって定義された平面、およびシェルの底面は同一平面上にあります。

    これにより、有効な“実数”のZ0値は0と等しくなります。図 3をご参照ください。


    図 3. Z0のBottomオプション

    プライ板厚(プライ寸法)の最適化と、指定したオフセット値が板厚の変化に基づいて自動的に更新されるフリー寸法最適化では、オフセットの自動制御機能を使用できます。フリー寸法最適化では、Z00.0またはBOTTOMに設定した場合にのみ、このような自動オフセットを適用できます。

  19. 破壊基準計算のためにMAT8バルクデータエントリ上の材料パラメータXtXcYtYcSを指定する必要があります。
  20. 積層材の繰り返しは現在の積層の底面に追加されます。積層材の繰り返しの出力はOPTI、H3D、およびPUNCHフォーマットでサポートされています。
  21. 陽解法解析のCTRIA3要素には、三角形シェル定式化が自動的に適用されます。したがって、陽解法解析では、ISOPEの定義はCTRIA3要素に何の効果も示しません。
  22. Belytschko-TsayとBelytschko-Wong-Chiangの両シェル定式化は、非常に効果的でロバストです。しかし、Belytschko-Tsayのパフォーマンスは、要素がねじれている場合には劣ります。Belytschko-Wong-Chiang定式化では、20~30%の計算コストを追加するだけで、要素のねじれに対する限界を修正することができます。
  23. Belytschko-TsayシェルとBelytschko-Wong-Chiangシェルは、面内の回転自由度の剛性を備えていないので、陰解法解析では特異な剛性マトリックスが生成されることがあります。陽解法解析では、拘束されていない面内回転自由度に伴う困難は発生しないことが普通です。その理由は、剛性マトリックスを必要としないことにあります。
  24. 陽解法解析では、誤ったゼロエネルギーモードを回避するために、4節点の四角形要素にアワグラス制御が必要になります。三角形要素にはアワグラス制御が不要です。
  25. HGIDが指定されていない場合は、デフォルトのアワグラス制御が使用されます。
  26. このカードは、HyperMesh内のプロパティとして表現されます。